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カテゴリー「マイナンバーカードの申請・交付」の記事

2016年8月23日 (火)

マイナンバーカードに旧姓併記  誰にとっての「朗報」か?

 「マイナンバーカードに旧姓併記…住民票にもOK」。これは読売新聞、2016年8月21日付けの記事の見出しです。その内容は、

 結婚後も女性が通称として旧姓を使い続けやすくなるよう、政府は住民票やマイナンバーカードに旧姓を記載できるようにする。
 希望者は住民票やカードの氏名欄に、旧姓を併記できるようになる見込みだ。
 8月2日に閣議決定した経済対策に盛り込んだ。総務省は2017年度予算の概算要求に、住民票の記載事項を記録しているシステムや、マイナンバーカードを発行する機器の改修費用を盛り込む方針だ。
 <以下、略>

 夫婦別姓を求める人などにとって、一見、「朗報」のように読めますが、少し捻くれた解釈をしてみました。

■旧姓を併記するためのシステム改修はIT公共事業?

 マイナンバーカードに旧姓を併記するためには、マイナンバーカードを発行し、マイナンバー制度のシステムを管理をしているJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)のシステムの改修が必要になります。

 もちろんそれだけで済みません。旧姓を併記させるには、もとになる住民票に旧姓を登録する必要があります。先の新聞記事には、住民票にも旧姓を記載できるようにするとありますが、実際は住民票に旧姓を載せるので、マイナンバーカードにも併記できるのです。

 さて、住民基本台帳法の第七条には、住民票の記載事項が次のように列記されています。

(住民票の記載事項)
第七条  住民票には、次に掲げる事項について記載(前条第三項の規定により磁気ディスクをもつて調製する住民票にあつては、記録。以下同じ。)をする。
一  氏名
二  出生の年月日
三  男女の別
四  世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
五  戸籍の表示。ただし、本籍のない者及び本籍の明らかでない者については、その旨
六  住民となつた年月日
七  住所及び一の市町村の区域内において新たに住所を変更した者については、その住所を定めた年月日
八  新たに市町村の区域内に住所を定めた者については、その住所を定めた旨の届出の年月日(職権で住民票の記載をした者については、その年月日)及び従前の住所
八の二  個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 (平成二十五年法律第二十七号。以下「番号利用法」という。)第二条第五項 に規定する個人番号をいう。以下同じ。)
九  選挙人名簿に登録された者については、その旨
十  国民健康保険の被保険者(国民健康保険法 (昭和三十三年法律第百九十二号)第五条 及び第六条 の規定による国民健康保険の被保険者をいう。第二十八条及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十の二  後期高齢者医療の被保険者(高齢者の医療の確保に関する法律 (昭和五十七年法律第八十号)第五十条 及び第五十一条 の規定による後期高齢者医療の被保険者をいう。第二十八条の二及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十の三  介護保険の被保険者(介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第九条 の規定による介護保険の被保険者(同条第二号 に規定する第二号 被保険者を除く。)をいう。第二十八条の三及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一  国民年金の被保険者(国民年金法 (昭和三十四年法律第百四十一号)第七条 その他政令で定める法令の規定による国民年金の被保険者(同条第一項第二号 に規定する第二号 被保険者及び同項第三号 に規定する第三号 被保険者を除く。)をいう。第二十九条及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一の二  児童手当の支給を受けている者(児童手当法 (昭和四十六年法律第七十三号)第七条 の規定により認定を受けた受給資格者(同条第二項 に規定する施設等受給資格者にあつては、同項第二号 に掲げる里親に限る。)をいう。第二十九条の二及び第三十一条第三項において同じ。)については、その受給資格に関する事項で政令で定めるもの
十二  米穀の配給を受ける者(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律 (平成六年法律第百十三号)第四十条第一項 の規定に基づく政令の規定により米穀の配給が実施される場合におけるその配給に基づき米穀の配給を受ける者で政令で定めるものをいう。第三十条及び第三十一条第三項において同じ。)については、その米穀の配給に関する事項で政令で定めるもの
十三  住民票コード(番号、記号その他の符号であつて総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)
十四  前各号に掲げる事項のほか、政令で定める事項

 住民票に旧姓を登録するには、第七条に1項加えるか、十四項の政令を改正する必要が出てきます。

 これらの改正が済めば、市区町村は、住民登録に関わるシステムの改修を始めなければなりません。旧姓併記は希望者にのみです、全員ではありません。しかし、併記を希望する人が、例え、その市にたった1人しかいなくても、すべての住民について併記できるようにシステムを改修する必要があります。

 システム改修が必要なのは、すべての市区町村です。関連業界にとっては、間違いなくものすごい「朗報」でしょう。1市区町村100万円(そんなに低額でできるとは到底思えませんが仮に)としても18億円です。新規のIT公共事業ですね。

■旧姓併記は住民票だけ? 課税証明などはどうするのか

 ところで、市区町村は住民票を管理しているだけではありません。税や福祉、教育などに関わる様々な個人情報を管理し、住民に必要に応じて通知を出したり、求めに応じて諸証明を発行したりしています。
 もし、こうした通知や諸証明にも旧姓の併記をするとしたなら、システム改修の経費はさらに大きく膨らむでしょう。
 もちろん、例えば「課税証明には旧姓は併記しない」という選択を市区町村がとることは可能です。
 しかし、勤務先や融資先などに課税証明を出さなければならないときに、「旧姓は併記されません」では、施策として中途半端すぎます。「住民票に載っているのになぜだ」と、住民からは間違いなく苦情が出るでしょう。

■戸籍にマイナンバーを紐付ければ、旧姓併記は簡単に実現?

 旧姓併記は、これから結婚する人だけが、婚姻届の際に希望することになるのでしょうか。いくらなんでも、そんなことはないでしょうね。常識的に考えて、既婚者にも遡って適用されるでしょう。そうなれば、戸籍のデータが必要になります。住民票には旧姓は「まだ」掲載されていませんから。

 さてさて、どうするのでしょう。本人からの申請を鵜呑みにするわけには行きません。旧姓を併記して欲しい希望者に戸籍謄抄本を持参させるのでしょうか。本籍地と住所地が違っていたら手間ですね。

 それとも、政府はマイナンバーを戸籍にも紐付ける予定ですから、「役所の方で自動的にします、何の問題もありません」ということなのでしょうか?
 もちろん、マイナンバーと戸籍を紐付けるには、各市区町村の戸籍簿の管理システムなどの大規模な改修が必要です。こちらは、どう考えても数十億円単位では解決しないでしょう。

 とにかくたくさんのお金が必要なのは間違いありません。

■旧姓併記は「女性活躍の推進」事業の一環

 ところで、記事に出て来る「8月2日に閣議決定した経済対策」とは何かというと、これは「未来への投資を実現する経済対策」(PDF)のことです。

 確かに「Ⅰ.一億総活躍社会の実現の加速」の「(2)若者への支援拡充、女性活躍の推進」に、「女性活躍推進等に対応したマイナンバーカード等の記載事項の充実等(総務省)」とあります(22頁)。
 しかし、書かれているのは、たったこれだけです。記事にある住民票云々はありません。

 安倍政権の目玉施策である「女性活躍の推進」にとって、旧姓併記がどれだけ貢献するのかはわかりません。また、そもそも旧姓で困っているのは「女性だけ」との認識にも違和感があります。
 もし、この施策が「女性活躍の推進」に有効だとしても、なぜ、マイナバーカードの発行システムを構築する前に検討しなかったのでしょう。
 また、既にマイナンバーカードの交付を受けている人で、併記を希望する方は、再度交付申請を位置からやらなければなりません。
 経費、要するに国民が支払った税金の無駄遣いとしかいいようがありません。

 まあどちらにしても、「夫婦別姓を求める人」にとっては肩すかし以上の意味はないでしょう。同じお金を使うなら、併記というような姑息なことではなく、夫婦別姓を実現するために使うべきではないでしょうか。

 なお、本稿は、旧姓併記を「婚姻によるもの」として書いていますが、旧姓は養子縁組でも生じます。また、戸籍のない外国人住民にも旧姓がある場合もあるでしょう。政府は、どこまでを範囲に考えているのでしょうか。

■補足 旧姓併記の意味

 では、マイナンバーカードや住民票に旧姓が併記されたことによって、市民にはどのようなメリットが生じるのだろうか。

 旧姓を併記したマイナンバーカードや住民票の写しを見せれば、旧姓で、預金口座を開設できるのか、ローンは組めるのか、クレジットカードを取得できるのか、不動産や自動車などは購入できるのか、公的機関が交付する免許証はもらえるのか、携帯電話の契約は出来るのか。おそらく関連法の改正が必要だろうし、そう簡単にはいかないだろう。

 ところで、従業員の源泉徴収や年金・健康保険・社会保険の事務処理には、現在、マイナンバーが必要となっている。
 旧姓使用している従業員がいると、マイナンバーカードなどを使った本人確認等の事務処理が煩雑になる。もし、マイナンバーカードに旧姓が併記されていれば、雇用主だけでなく、書類の提出を受ける税務当局や市役所、年金機構、健保組合、ハローワークなどは多少は楽になるだろう。

 詰まるところ、そういう意味しかないのではないか。旧姓で働く人たちを雇用しても、煩雑にならないように、政府として手を打ちました(=女性が活躍できる条件を改善した)のでよろしくということなのではないか。

2016年4月28日 (木)

マイナンバーカードの交付遅れ問題の責任を市町村に押し付ける高市総務相 ― どこまで行っても無責任な安倍政権

 NHKニュースが、高市総務大臣が4月28日の閣議後の記者会見で、マイナンバーカードの自治体による交付作業が遅れていることについて、「早期交付に向けて支援を行う考え」を示したと報じていることを知り、「支援」はおかしいだろうと思いちょっと調べて書いてみました。

■高市大臣はカードの交付は市区町村の業務と発言 しかし、交付は法定受託事務

 高市総務大臣が4月28日の記者会見で、述べた内容は総務省のサイトにあります。マイナンバーカードの交付がシステムの不具合により遅れている件についての発言を抜き出すと

 法的には、マイナンバーカードの交付につきましては市区町村の業務でございます。また、J-LISも地方共同法人ということでございますので、そのガバナンスや人事に対して、私どもが何か権限を持っているものではございません。

 しかし、マイナンバーカードの交付事務(番号法17条1項)は、市区町村が、自らの責任において独自に執り行う「自治事務」ではありません。
 番号法第44条によれば、「第一号法定受託事務」、すなわち 「国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるもの」(地方自治法2条9項1号)です。市区町村が「自らの意思」で「自主的」に行っているものではないのです。
 
 また、マイナンバーカードの発行など、制度に関わるシステムの維持管理を行っている J-LIS (地方公共団体情報システム機構)は、国が定めた「地方公共団体情報システム機構法」に基づく組織です。
 同法の第五条第二項には「機構の定款の変更は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない」とあることから見ても、大臣の「権限を持っているものではございません」との発言は、責任逃れだと言わざるを得ません。

番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)

第十七条  市町村長は、政令で定めるところにより、当該市町村が備える住民基本台帳に記録されている者に対し、その者の申請により、その者に係る個人番号カードを交付するものとする。この場合において、当該市町村長は、その者から通知カードの返納及び前条の主務省令で定める書類の提示を受け、又は同条の政令で定める措置をとらなければならない。

第四十四条  第七条第一項及び第二項、第八条第一項(附則第三条第四項において準用する場合を含む。)、第十七条第一項及び第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)並びに附則第三条第一項から第三項までの規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

地方自治法

第二条第九項第一号 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第一号法定受託事務」という。) 

地方公共団体情報システム機構法

第五条第二項 機構の定款の変更は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

■市町村を「支援」と他人事のような発言も

 最初に出てきたNHKニュースにある高市大臣の「支援」発言の部分は次の通りです。

 総務省としましても、ここにきましたら、一刻も早く、申請された方の御手元にカードがお届けできるように、J-LISのシステム障害の解消を一つの契機としまして、市区町村と連携しながら、交付のスピードアップに取り組むための支援をしたいと思っています。

 市区町村が自らの意思で「自主的」に行っていることが、何らかの理由により困難になったのなら、国からの「支援」はわかります。しかし、繰り返しますが、交付事務は法定受託事務です。主体はあくまでも国であり、総務省です。市区町村は国の「命令」で、唯々諾々と従っているだけです。

 高市大臣は、マイナンバーの制度を作り、カードの交付を始めたのは誰であると思っているのでしょう。まさか市区町村が勝手に始めたとでも思っているのでしょうか。
 こうした発言は、国の責任者としてはあまりにも無責任です。

 「支援など必要ない。マイナンバーカード交付事務は国に返上する」と怒る市区町村が一つぐらいあっても良いとは思うのですが、安倍政権のもとでは、そんな勇気を出すのは無理でしょうね。

■不勉強なのは大臣だけではないようです

 ところで、この大臣発言は、日経新聞の記者からの質問に答えたものです。質問の一部を抜き出すと

 基本的に交付事務は自治体の仕事であると思うので、そこは裁量に任されている部分もあると思うのですけれども・・・

 不勉強なのは、残念ながら高市大臣だけではなかったようです。大臣もこんな記者相手なら楽で良いですね。

2016年4月14日 (木)

「あなた 会社(学校)辞めますか、それともマイナンバーカード持ちますか」の恐怖の選択が今そこに  企業・学校での一括申請を薦める総務省

 以前、「マイナンバーのカードの一括申請、会社だけではなく、学校法人や医療法人、社会福祉法人、宗教法人でも可能に」と題した記事を書きましたが、総務省は「企業や学校等でのマイナンバーカードの一括申請」のリーフレット(PDF)を作り、ウェブサイトで公開しています。
 さて、どんなことが書かれているのでしょう。

■一括申請には、2つのやり方が

 まず、ウェブサイトの方ですが、こちらは「マイナンバーカードの交付・申請方式について」のところで、一般的な方法の説明のあとに、次の様に書かれています。

 このほか、企業や学校等でマイナンバーカード交付申請書を取りまとめ、個人番号カードの申請を一括して行うことができます。また、市町村と調整のうえ、企業や学校等に市町村職員が出向き、本人確認を行い一括して申請を受け付けることができます。

・ 企業や学校等でのマイナンバーカードの一括申請についてはこちら(リーフレット)PDF

478

 一方、リーフレット(PDF)はどうでしょう。上の方に「従業員や学生等が個人番号カードを取得するメリット」が書かれています。そして、その下には「交付までの業務フロー」として、一括申請の2つのやり方が書かれています。これは先に紹介したウェブサイトの記述を詳しくしたものです。
 市役所ではシステムの不具合などにより、交付が中々進んでいないようですから、受け取る側から見れば「case2」の方が楽で確実ですね。
 もっとも求められた市区町村にはたいへんな負担となるでしょう。はたして市区町村は、対応できませんと断ることはできるのでしょうか。

474_2
■一括申請のメリットを強調するリーフレット

 では、「従業員や学生等が個人番号カードを取得するメリット」は何でしょうか。リーフレットは、次の3点をあげています。

(1)現在発行している社員証・学生証を個人番号カードに一元化することが可能です。

(2)ICチップを活用して、個人番号カードに社員向け・学生向けの独自のサービスを搭載することが可能です。

(3)ICチップを活用して、従業員のマイナンバーの収集が必要な場面で、正確かつ効率的な収集を行うことが可能です。

 この記述の下には「個人番号カードの交付は個人の自主的な申請に基づくものです」という注意書きがあります。白々しいですね。
 (1)にあるように勤務先(通学先)が社員証(学生証)に一元化してしまえば、「私はマイナンバーカードはいりません。これまでの社員証(学生証)を使います」は許されないでしょうし、そうした主張も困難でしょう。「自主的な申請」など現実的にはあり得ません。

 結局、「会社(学校)辞めるか、マイナンバーカード持つか」を迫られることになります。

475_2

■マイナンバーカードのICチップを利用

 (1)の社員証・学生証への一元化は、カード券面の利用だけでも可能です。しかし、メリットの(2)はそれに飽き足らず、カード内のICチップの独自利用を図るものです。
 ICチップについては、下記の図(内閣官房社会保障改革担当室「マイナンバーの概要について H27.10.7講演資料」(PDF)17枚目より)を参考にしてください。

479_2
 ICチップの独自利用を総務省が具体的にどのように想定しているのかわかりませんが、例えば社員食堂の利用状況(料金請求、健康管理?)や、成績の記録(保護者への提供)などに使われるようになるかも知れません。

■「ICチップの民間開放」は法律上すでに可能に

 こうしたICチップの独自利用は、番号法18条2号の規定、及び、施行令18条2項の4項に基づくいわゆる「ICチップの民間開放」で実現されます。

 番号法

第十八条  個人番号カードは、第十六条の規定による本人確認の措置において利用するほか、次の各号に掲げる者が、条例(第二号の場合にあっては、政令)で定めるところにより、個人番号カードのカード記録事項が記録された部分と区分された部分に、当該各号に定める事務を処理するために必要な事項を電磁的方法により記録して利用することができる。この場合において、これらの者は、カード記録事項の漏えい、滅失又は毀損の防止その他のカード記録事項の安全管理を図るため必要なものとして総務大臣が定める基準に従って個人番号カードを取り扱わなければならない。
 
一 市町村の機関   地域住民の利便性の向上に資するものとして条例で定める事務
 
二 特定の個人を識別して行う事務を処理する行政機関、地方公共団体、民間事業者その他の者であって政令で定めるもの   当該事務

 番号法施行令

第十八条  略
 
2  法第十八条第二号の政令で定める者は、次に掲げる者とする。
 
 一 ~ 三 略
 
四  国民の利便性の向上に資するものとして総務大臣が定める事務を処理する民間事業者(当該事務及びカード記録事項の安全管理を適切に実施することができるものとして総務大臣が定める基準に適合する者に限る。)

■従業員みんながマイナンバーカードを持参すれば、番号集めも楽チンだよね

 メリットの(3)は勤務先、通学先が、番号法にもとづき個人番号関係事務実施者などとして従業員、学生(生徒)の個人番号を収集する際に、通知カードを持ってくる者や「住民票の写し(個人番号記載)」を持ってくる者がいると事務が複雑になりコストがかかる、しかし、全員がマイナンバーカード持参してくれるなら手間がかからずに便利かつ正確になりますよという話ですね。

 マイナンバーカードの交付の際にシステムの不具合等によって混乱が起きている現状では、一括申請されても市町村が対応できるのかどうかは不明です。
 しかし、混乱がいつまでも続くとは限りません。やがて収まれば、一括申請の実施に向け政府・総務省が、企業や学校等へに圧力をかけることも含め動き出すことは間違いないでしょう。
 マイナンバーで儲けている企業、儲けようと政府に尻尾を振りたい企業、国には逆らえない市役所・町村役場、逆らうのが困難な国立大学・学校あたりは狙い目になるでしょうね。

■マイナンバーカードを持たない自由は、もはや風前の灯火

 このまま行けば、先にも書いたように私たちは「会社(学校)辞めるか、マイナンバーカード持つか」の選択を迫られることになります。持たない自由は、もはや風前の灯火なのです。

 なお、マイナンバーカードを健康保険証にすることを政府は計画していますが、これを実現するためにも一括申請はなくてはならない「サービス」です。詳しくは後日あらためて。

 ※ 国家公務員には、既にマイナンバーカードを持たない自由は事実上ありません。

2016年1月26日 (火)

ツタヤが、マイナンバーの通知カードをTポイントカードの更新時の本人確認に使用していた問題

 ツタヤ(TSUTAYA)が、マイナンバーの通知カードをTポイントカードの更新時の本人確認に、昨年10月16日から使用していたことが報道され問題となっています。参考資料など取り急ぎ掲載しました。

 通知カードを本人確認書類として使う判断は、ツタヤの一部店舗による独自のものではなく、「よくある質問」の記述から明らかなように、ツタヤ(CCC)としてのものだったようです。

 なお、新聞報道によれば、ツタヤは、「国からの明確な通達は受け取っていなかった」、「利用者の利便性を考えた」、「違法性はないと認識している」などと開き直っていますが、今後利用はしないとしています。

 一方、内閣官房社会保障改革担当室の担当者は「防犯カメラに映ったり、店員が間違えてコピーしたりして個人番号が流出する可能性があり、適切ではない」などとしているようです。

■マスコミなどの報道

 すぐに切れてしまうかも知れませんが、マスコミなどの報道記事へのリンクを貼っておきます。

 朝日新聞「ツタヤ、マイナンバーを本人確認に使用 国の求めに反し」2016年1月26日01時26分

 日経新聞「通知知カードを会員登録確認に利用 ツタヤ、今後は中止」2016/1/26 0:33・・・共同通信

 毎日新聞「ツタヤ 通知カードを会員登録に利用 政府『適切でない』」2016年1月26日 00時34分

 産経新聞「ツタヤ、通知カードで本人確認 社保改革担当室「不適切」 個人番号流出の可能性指摘2016.1.25 23:13

 弁護士ドットコム「『ツタヤ』がマイナンバー通知カードを本人確認に使用、どんな法的問題があるのか?」2016年01月27日 16時24分

■マスコミなどが報じているツタヤの言い分など

朝日新聞

ツタヤの広報担当者は取材に対し、「国からの明確な通達は受け取っていなかった。マイナンバーを記録することはなかったが、26日から通知カードでの本人確認をやめるようにする」と話した

日経新聞

ツタヤは「今後は利用しない」とし、全国の店舗に通知する予定。

同社によると、昨年10月16日以降、本人確認の際に保険証や光熱費の請求書と合わせて身分証の代わりとし、氏名と住所だけを目視で確認していた。

毎日新聞

ツタヤ広報部によると、同社は、昨年10月16日から、保険証や光熱費の請求書と合わせた本人確認に通知カードを利用。カードに記載された名前と住所を従業員が目視で確認していたという。「不適切ではないか」との外部からの指摘を受けて総務省に確認したところ、「適当ではない」との回答があった。同社は通知カードを本人確認に利用しないよう全国の店舗に指示する方針。

同社広報部は「利用者の利便性を考えたが、不安を与えるかもしれないので今後は利用しない」と説明した。

産経新聞

同社によると、昨年10月16日以降、本人確認の際に保険証や光熱費の請求書と合わせて身分証の代わりとし、氏名と住所だけを目視で確認していた。

同社広報部は取材に「違法性はないと認識しているが、利用者に不安を与えるかもしれないので今後は利用しない」と回答した。

弁護士ドットコム

ツタヤでは昨年10月16日から、通知カードを本人確認に利用できる書類としていた。ツタヤ広報部は弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「お客様の利便性に柔軟に対応しようとしたが、望ましくないとの指摘を受けた」と話している。1月26日から全国の店舗に通知カードを使わないようアナウンスした。

 弁護士ドットコムの記事には、今回の件についての齋藤裕弁護士の「仮に法律違反とまでは言えないとしても、悪意ある店員によりマイナンバーが集められ、漏えいする危険性もあるので、マイナンバーの悪用を防止しようとするマイナンバー法の趣旨には反することになります」などとする意見も掲載されています。
 なお、齋藤弁護士は、1月25日に、マイナンバー違憲訴訟新潟弁護団として、改善を求める申し入れを新潟県に対して行っています。

各紙に掲載されている内閣官房社会保障改革担当室の見解など

日経新聞

内閣官房社会保障改革担当室の担当者は「防犯カメラに映ったり、店員が間違えてコピーしたりして個人番号が流出する可能性があり、適切ではない」としている。

毎日新聞

内閣官房社会保障改革担当室の担当者は「通知カードが防犯カメラに映ったり、従業員がコピーをとったりして番号が流出してしまうおそれがあり、こうした利用は適切ではない」としている。

産経新聞

内閣官房社会保障改革担当室の担当者は、「防犯カメラに写ったり、店員が間違えてコピーしたりして個人番号が流出してしまう可能性があるため、こういった利用は適切ではない」としている。

■高市総務大臣の記者会見での発言

 高市総務大臣は、2016年1月26日の閣議後の記者会見において、ツタヤが通知カードを本人確認に利用していた件に関する質問に、直ちにマイナンバー法に抵触するわけではないが、「一般的な本人確認の手続において本人確認書類として取り扱うことは、適当ではないと考えております」と考えを述べるとともに、ツタヤからは「通知カードを本人確認書類として取り扱わないようにということで、速やかに対処したいという報告を受けております」と答えています。

 問: 幹事社からもう1点ちょっと追加ですが、マイナンバーの関連で質問させてもらいます。大手ビデオレンタル店のツタヤが、マイナンバーの通知カードを本人確認に利用していたということが明らかになりましたが、大臣の御所見をお願いします。

 答: マイナンバー法に基づく本人確認以外の一般的な本人確認の手続におきまして、通知カードの提示を求めることが、直ちにマイナンバー法に抵触するわけではございません。
 提示を受けた通知カードに記載されたマイナンバーを見るだけでは、マイナンバー法には違反しないのですが、従業員の方が誤ってマイナンバーの写しを取ったり、マイナンバーが防犯カメラに映り込むなどによって、意図せずにマイナンバーの収集が行われ、マイナンバー法第20条の収集制限に違反する可能性があることから、一般的な本人確認の手続において本人確認書類として取り扱うことは、適当ではないと考えております。
 なお、通知カードを一般的な本人確認の手続における本人確認書類として取り扱うことについては、通知カードが、本来はマイナンバーの御本人への通知及びマイナンバーの確認のために発行されるものであること、マイナンバー法に基づくマイナンバーの収集制限があることに鑑みれば、適当でないということを、各省庁及び各都道府県に対して、昨年8月に通知を出しております。所管する関係団体や業界団体に対して、周知・広報等の依頼をしまし。
 また、ツタヤに対して事情を確認させていただいたところ、通知カードを本人確認書類として取り扱わないようにということで、速やかに対処したいという報告を受けております。
 もちろん、マイナンバーの通知カードではなくて、マイナンバーカードは、表面に写真があり、住所、氏名等が記載されていて、番号は裏側にありますので、今後は写真付きの本人証明のカードとしても使用していただけます。

■ツタヤの「よくある質問」に、通知カードを本人確認書類として使うとの記載が

 ツタヤ(TSUTAYA)の「よくある質問」にある質問「Tカードの更新手続きについて教えて欲しい(更新期間・必要書類・特典等)」への回答の当該部分(赤色強調は引用者)。

※ 2016年1月26日午前3時16分の時点ですでに「個人番号通知カード」の文言は削除されています。

Tカードの更新手続きについてご説明します。

・・・・・・・略・・・・・・・・

◆更新お手続きの方法と必要書類
【必要なこと】
(1)入会申込書への記入
(2)本人確認書類の提示 (※)
(3)レンタル利用登録料・年会費等の支払い

※【本人確認書類について】
TSUTAYA店舗が指定する「本人確認書類(ご本人であること及び現住所が確認できる書類)」等をご提示いただきます。

①本人確認書類:ひとつだけで有効なもの
 ≫運転免許証
 ≫更新ハガキ

・・・・・・・略・・・・・・・・

 ≫外国人登録証明書
 ≫在留カード
 ≫特別永住者証明書
 ≫障害者手帳(顔写真付き)
 ≫住民基本台帳カード(顔写真付き、生年月日、氏名、住所記載あり)

 ≫個人番号カード(顔写真付で、2016年1月以降に希望者に発行されます)
 ≫その他自治体が発行する証明書(顔写真付き、生年月日、氏名、住所記載あり) 等

 その他基本的な考え方として次の3点を満たすもの

・・・・・・・略・・・・・・・・

②本人確認書類:下記の「有効な住所確認書類」を併せてご提示いただく必要があるもの
 ≫健康保険証
 ≫障害者手帳(顔写真なし)
 ≫年金手帳各種
 ≫パスポート(有効期限内、住所記載あり)

 ≫個人番号通知カード
 ≫学生証 等

※「有効な住所確認書類」(下記のいずれか)
 ≫現住所記載の郵便物(消印又は「料金別納「料金後納」の記載のあるもの・メール便」)
 ≫公共料金の支払領収書等(現住所記載のもの)
 ≫住民票の写し
 ≫国税又は地方税の領収書又は納税証明書
 ≫社会保険の領収書

343
344

■参考資料(1)

 平成27年8月28日付け府番第286号・総行住第103号、内閣府大臣官房番号制度担当室参事官および総務省自治行政局住民制度課長の各都道府県社会保障・税番号制度担当部長あて通知「通知カード等の本人確認書類としての取扱いについて」(赤色強調は引用者)。

 当該通知文書は「やぶれっ!住基ネット市民行動」のサイトから、PDFがダウンロードできます。

通知カード等の本人確認書類としての取扱いについて

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号。以下「法」という。)の施行に伴い、平成27年10月5日より通知カードによる個人番号の通知が開始されます。

 今般、内閣府及び総務省に対し、法第16条の規定に基づく本人確認以外の本人確認の手続(以下「一般的な本人確認の手続」という。)における通知カード等の本人確認書類としての取扱いについて、質問が寄せられているところですが、下記のとおり考え方を整理しましたので、通知いたします。

 貴職におかれては、域内の市区町村に対してもこの旨を周知いただきますようお願いします。

 なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に基づく技術的助言であることを申し添えます。

1 通知カードに関する基本的考え方
 通知カードは、個人番号とともに基本4情報(氏名、住所、生年月日及び性別をいう。)が記載されておりますが、本来、個人番号の本人への通知及び個人番号の確認のためのみに発行されるものであること、また、法に基づく個人番号の収集制限があることに鑑みれば、一般的な本人確認の手続において、通知カードを本人確認書類として取り扱うことは適当でないと考えられます
 なお、個人番号カードは、基本4情報が記載された顔写真付きの公的な身分証明書として、一般的な本人確認の手続においても、本人確認書類として取り扱うことが可能です。

・・・・・・・以下略・・・・・・・

■参考資料(2)

 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則第5条第2項第4号の規定に基づき、書類を指定する件(平成27年国家公安委員会、金融庁、総務省、法務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省告示第1号) (PDF)

 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則第6条第1号トの規定に基づき、書類を指定する件(平成27年国家公安委員会、金融庁、総務省、法務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省告示第2号) (PDF)

2015年12月 6日 (日)

マイナンバーカード交付時の顔認証、ソフトウェアは J-LIS から市町村に無償で配布と判明

 「マイナンバーカードの交付の際に「顔認証システム」を拒否するとカードはもらえません ただし、その法的根拠は「事務処理要領」だけ」の続編です。

 この度、総務省自治行政局住民制度課から各都道府県社会保障・税番号制度担当課
市区町村担当課宛てに発せられた2015年9月9日付けの事務連絡「個人番号カード交付時における顔認証システムの活用について」を添付されていたと思われる仕様書とともに入手(全部で8頁)しましたので、以下に公開します。

 ※ 画像はクリックすると拡大されます。

■顔認証システムで判断するのは「疑義」がある場合だけ

 1頁 「個人番号カードに添付される顔写真と申請者との同一性の判断は、カード交付時に市区町村において、目視により行われることとなりますが、同一性に疑義がある場合に、顔認証システムによる判断をあわせて行うこととし、同一性が不適切である個人番号カードの発行を確実に防止することを予定しています」とあります。
 総務省は、目視で疑義がある場合のみ顔認証システムにかけて判断するとしているようです。カードの交付を受けるもの全員をシステムにかけるのではありません。

 また、この通知は「地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に基づく技術的助言である」としていますので、法的にいえば、市区町村は、この通知を守る義務はありません。もっとも総務省は、この通知の内容に沿った「事務処理要領」を9月29日に示していますから、市区町村は、結局のところこの通知に従って事務を行うことになります。

第245条の4 各大臣(内閣府設置法第4条第3項 に規定する事務を分担管理する大臣たる

内閣総理大臣又は国家行政組織法第5条第1項 に規定する各省大臣をいう。以下本章、次章及び第14章において同じ。)又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関は、その担任する事務に関し、普通地方公共団体に対し、普通地方公共団体の事務の運営その他の事項について適切と認める技術的な助言若しくは勧告をし、又は当該助言若しくは勧告をするため若しくは普通地方公共団体の事務の適正な処理に関する情報を提供するため必要な資料の提出を求めることができる。

281

 ↑ 【ご参考】として「世界最先端IT 国家創造宣言工程表」からの抜粋「個人番号カードの普及・利活用の促進  2016年1月より、個人番号カードの交付を開始する(電子証明書を含めて初回交付無料)。なお、交付に当たっては、顔認証システムも補助的に活用する。」の文言が記載されています。総務省としては、顔認証システムの活用は、法的な根拠はないが、この2015年6月30日閣議決定された方針が根拠なので従えよと言うことなのでしょう。

■顔認証システムでないと同一性の判断ができないカードは、身分証として不適切では?

 2頁は別紙1「個人審号カード変付時における顔認証システムの活用について」です。

 個人番号カードの顔写真が「所持者との同一性を容易に識別できる適切なものとすることが重要」だから、「同一性に疑義がある場合に、顔認証システムによる判断をあわせて行うこととし、同一性が不適切である個人番号カードの発行を確実に防止」とあります。
 これは明らかに矛盾しています。顔認証システムにかけないと同一性が判断できないカードは「同一性を容易に識別できる適切なもの」ではありません。
 例えば、カードをレンタルショップなどで身分証として使用する場合を考えてみましょう。おそらくそこに顔認証のシステムはないでしょう。店員が客とカードの顔写真を見比べて本人かどうか判断せざるを得ません。もともと「目視では同一性に疑義があるカード」ですから、「これは違うな」と思って断ることになるのではないでしょうか。顔認証システムでないと同一性の判断ができないカードは身分証として不適切ですね。

■「顔認証システムで事務負担を軽減」は、総務省官僚の机上の妄想?

 メリットとして、「②仮に不適切なカード貼付写真があった場合に、再申請が求められる申請者にとって、納得感が得られる手続となることから、国民の満足度向上にも資する。 ③申請者に対し、再申請の依頼を行う市町村において、申請者の納得を得やすくなることから、事務負担の軽減が期待できる。」とあります。
 しかし、職員が職員の主観で「疑義あり」と判断した住民に、顔認証システムにかけること自体、当該住民と職員の間にはなはだしい軋轢をもたらすでしょう。その上、機械にかけられて「これはあなたではない」と言われれば、確実にもめるでしょう。およそ「事務負担の軽減」など期待できないと思います。

282

■ソフトウェアは無償配布。パソコン、カメラ、スキャナは市区町村で準備

 3頁は別紙2「顔認証システムの活用(案)」です。

 準備として「機構において、本人確認用ソフトウェアを開発、市区町村に配布。(開発は8~10月、配布は11月、問い合わせ対応は11・12月を予定。) ※ 市区町村の負担なし。」とあります。機構は地方公共団体情報システム機構(J-LIS)のことです。
 本人確認用ソフトウェアは、J-LISからNECに発注されています。発注額は不明ですが、ワンセット1万円(到底そんなに安いとは思えませんが、あくまでも例えばです)としても1743市区町村に配れば1743万円の売上げです。

 市区町村で用意しなければならないのは、本人確認用ソフトウェアをインストールする端末、ウェブカメラ等、スキャナです。ワンセットで20~30万円ぐらいでしょうか。なお、「統合端末等とあわせて地方財政措置」とありますから、これらの経費の一部は地方交付税として措置されるようです。

■「本人の写真は、記録されない仕様」と言うが、本当なのか?

 運用には「個人番号カード交付時に、申請者とカードに添付されている写真との同一性に疑義がある場合には、申請者をウェブカメラ等で撮影するとともに、カードに添付された写真をスキャナで読み込み、顔認証システムによる判定を行う」とあります。あくまでも「疑義がある場合」に限るようです。システムにかける前に「疑義」があるかないかを職員が主観的に判断することになります。
 なお、「カード及び本人の写真は、記録されない仕様となっている」とありますが、本当にそうなのかどうかは、住民として確認する術はないようです。

283

■事務処理要領(案)ではシステムにかける対象は狭く、画像は消去としていたが

 4頁は「通知力一ド及び個人番号カードの交付等に関する事務処理要領(案)(抜粋)」と「通知力一ド及び個人番号カードの交付等に関する質疑応答集(案)(抜粋)」です。

 9月29日に市区町村に通知された「事務処理要領、質疑応答集」とは、一部異なっています。

◎通知力一ド及び個人番号カードの交付等に関する事務処理要領

9月9日時点での案9月29日の通知
 また、個人番号カードに添付された写真と交付申請者との同一性を、顔認証システムを補助的に活用しながら確認する。この場合において、まず目視により同一性の確認を行い、同一性が容易に識別できるか否か疑義があると認める場合には、あわせて顔認証システムによる同一性の判定を行う。当該判定において同一性が確認できるとされた場合には、特段の事情のない限り、交付して差し支えない。一方、当該判定において同一性が確認できないとされた場合には、交付しないこととする。
 なお、当該判定に先立ち、交付申請者に対し、個人番号カードに添付された写真と交付申請者との同一性を判定するため、顔認証システムを活用すること、及び撮影した画像は当該判定以外に利用せず、当該判定後速やかに消去することを説明するとともに、判定後、撮影した画像を、速やかに消去する。
 また、個人番号カードに添付された写真と交付申請者との同一性を、顔認証システムを活用しながら確認する。この場合において、まず目視により同一性の確認を行い、同一性が容易かつ確実に識別できると認める場合を除き、あわせて顔認証システムによる同一性の判定を行う。当該判定において同一性が確認できるとされた場合には、特段の事情のない限り.交付して差し支えない。一方、当該判定において同一性が確認できないとされた場合には、交付しないこととする。
 なお.当該判定に先立ち、交付申請者に対し、個人番号カードに添付された写真と交付申請者との同一性を判定するため.顔認証システムを活用すること、及び撮影した画像は当該判定以外に利用せず、かつ、保存されないことを説明する。

 まず「補助的」という言葉がなくなっています。補助ではなく全面的に活用するということなのでしょうか。
 案では「疑義があると認める場合」であったのが、通知では「容易かつ確実に識別できる場合を除き」に変わっています。顔認証システムにかける対象を広げたようです。
 案では「速やかに消去することを説明」とあったのが「保存されないことを説明」になっています。判定するには一時的にせよ、画像はパソコンのメモリに保存されるはずですから、案の方が正しい表現でしょう。また「消去する」ことを市区町村に求めていた文言を通知ではわざわざ削除してしまったのも不可解です。

■質疑応答集(案)では「顔認証システムは全市町村で導入」ではなかった

◎通知力一ド及び個人番号カードの交付等に関する事務処理要領に係る質疑応答集

9月9日時点での案9月29日の通知
問 顔認証システムは、必ず導入しなければならないのか。

答 原則として全市区町村で導入し活用することを想定しているが、例えば人口が少ないため申請者が少なく、同一性が容易に識別できるか否か疑義があると認める場合が少ないことが見込まれ、目視のみで十分に厳格な確認ができると判断する市区
町村においては、活用しないこととしても差し支えない。
問15 顔認証システムは、必ず導入しなければならないのか。

答 原則として全市町村で導入し活用することを想定している。
問 顔認証システムは、庁舎外において申請や交付を行う場合でも、活用しなければならないのか。また、代理人受領の場合にはどうするのか。

答 顔認証システムの活用は、一定の機器により構成され、電源が必要であり、また、一定の明るさ等も必要となる。このため、庁舎における活用を想定しているが、市区町村の判断により、庁舎以外の場所において活用しでももとより差し支えない。
 また、代理人受領の場合には、本人が出頭しないため、顔認証システムを活用することは想定していない。
問16 顔認証システムは、庁舎外において申請や交付を行う場合でも.活用しなければならないのか。また、代理人受領の場合にはどうするのか。

答 顔認証システムの活用は、一定の機器により構成され.電源が必要であり、また、一定の明るさ等も必要となる。このため、庁舎における活用を想定しているが、市町村の判断により、庁舎以外の場所において活用してももとより差し支えない。
 また.代理人受領の場合には、本人が出頭しないため、顔認証システムを活用することは想定していない。
問 申請者が顔認証システムの活用を拒んだ場合にはどうするか。

答 日常的に多くの場面で本人確認書類として活用される個人番号力一ドに添付される顔写真については、申請者との同一性を容易に識別できる適切なものとすることが重要であることを説明し、理解を求める。それでも理解されない場合には、交付しないこととする。
問17 申請者が顔認証システムの活用を拒んだ場合にはどうするか。

答 日常的に多くの場面で本人確認書額として活用される個人番号カードに添付される顔写真については、申請者との同一性を容易に識別できる適切なものとすることが重要であることを説明し、理解を求める。それでも理解されない場合には、交付しないこととする。

 9月29日の通知では「目視のみで十分に厳格な確認ができると判断する市区町村においては、活用しないこととしても差し支えない」が削られており、顔認証システムの活用を押し付けるものへと変更されています。自治体が自主的に判断することなど許さないという総務省の高圧的な姿勢の表れでしょう。

284

■市区町村で用意すべき機器の仕様

 5頁以降は「事務連絡」に添付されていた市区町村であらかじめ準備すべき機器の仕様書と思われます。

 「1 本入確認用ソフトウェア動作端末」は、顔認証のソフトウェアをインストールするためのパソコンの仕様です。販売されている一般的なパソコンなら大丈夫なようです。ただし、Windows10の載ったパソコンはダメなようです。

285

 「2 カメラ」を見ると、求められているのは、いわゆるウェブカメラのようです。有効画素数500万以上となっていますから、性能の低いものはダメです。

286

 ■利用可能なスキャナとして、PFU製とNEC製を例示

 「3 スキャナー」は、仕様とは別に、「利用可能なスキャナーの例」が示されています。

287

 どの程度のものか分かるように、「価格.COM」にリンクをと思ったのですが、残念ながらNECの製品は掲載されていませんでした。「価格.COM」へのリンクはPFU製品だけです。因みにPFUは富士通の子会社です。

  PFU FI-60F

  PFU FI-65F

 そこで、NECのウェブサイト内の該当製品へのリンクをと考えたですが、THY-67L079026 以外は案内のページを見つけられませんでした。一体どういうことなのでしょう。
 繰り返しますが、本人確認用ソフトウェアは、J-LISからNECに発注されています。

  NEC THY-67L079026 

  NEC THY-67M594004

  NEC THY-67M594002

288

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2015年11月10日 (火)

マイナンバーカードの申請の際に使った顔写真は、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)によって15年間、デジタル情報として保存される

 ブログ記事「個人番号カード(マイナンバーカード)を市役所に取りに行くと、顔認証されることが判明」に書いたように、個人番号カードを市区町村が交付する際に、本人確認のために「顔認証システム」が活用される。これは、交付申請書に添付した顔写真と、交付を受けに来た者の顔を比較し、同一人であるかどうかをコンピューターが自動的に判定するものだ。

 ところで、交付申請書に貼り付けた写真はどうなったのだろうか。誰かがどこかで保存しているのだろうか。
 まず、番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)(PDF)を見てみる。

(個人番号カードの交付等)

第十七条 市町村長は、政令で定めるところにより、当該市町村が備える住民基本台帳に記録されている者に対し、その者の申請により、その者に係る個人番号カードを交付するものとする。この場合において、当該市町村長は、その者から通知カードの返納及び前条の主務省令で定める書類の提示を受け、又は同条の政令で定める措置をとらなければならない。

とある。
 そこで、施行令(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令)(PDF)を見ると

(個人番号カードの交付)

第十三条 個人番号カードの交付を受けようとする者(以下この条及び附則第三条において「交付申請者」という。)は、総務省令で定めるところにより、その交付を受けようとする旨その他総務省令で定める事項を記載し、かつ、交付申請者の写真を添付した交付申請書を、住所地市町村長に提出しなければならない。

2 住所地市町村長は、前項の規定による交付申請書の提出を受けたときは、交付申請者に対し、当該市町村の事務所への出頭を求めて、個人番号カードを交付するものとする。

とあるので、今度は総務省令(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令)(PDF)を見る。すると

(個人番号カードの交付申請)

第二十条 交付申請者は、令第十三条第一項に規定する交付申請書(以下「交付申請書」という。)に署名し、又は記名押印しなければならない。ただし、総務大臣の定める方法により交付申請書を提出する場合には、この限りでない。

(交付申請書の記載事項)

第二十一条 令第十三条第一項の総務省令で定める事項は、交付申請者の氏名、住所並びに個人番号又は生年月日及び性別とする。

(交付申請書に添付する写真)

第二十二条 令第十三条第一項の規定により交付申請書に添付する写真は、申請前六月以内に撮影した無帽、正面、無背景のものとする。

(交付申請書の保存)

第二十三条 住所地市町村長は、法第十七条第一項の規定により交付した個人番号カードに係る交付申請書を、その受理した日から十五年間保存するものとする。

とある。

■ 総務省令は市町村長に顔写真の15年間の保存を要請するが、実際は・・・

 ようやく判明した。交付申請書は市町村長が15年間保存するとあるから、添付された顔写真も同様に市町村長が15年間保存することになるのだ。

 一方、個人番号カードの有効期間は、同総務省令(第26条)によると、発行の日において20歳以上の者は「当該発行の日から当該発行の日後のその者の十回目の誕生日まで」、また発行の日において20歳未満の者は「当該発行の日から当該発行の日後のその者の五回目の誕生日まで」となっている。
 交付申請書と添付写真は個人カードの有効期間が切れた後もおよそ5年または10年保存されることになる。

 では、市町村長―要するに市役所や町村役場―が交付申請書と添付写真を本当に保存するのかというと実はそうではない。

 総務省令(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令)(PDF)には次のような規定が存在する。

(通知カード・個人番号カード関連事務の委任)

第三十五条 市町村長は、地方公共団体情報システム機構(以下「機構」という。)に、通知カード及び個人番号カードに係る事務のうち次に掲げる事務(以下「通知カード・個人番号カード関連事務」という。)を行わせることができる。

一 通知カード、交付申請書の用紙及びこれらに関連する印刷物(この号及び次条第一項第二号において「通知カード等」という。)の作成及び発送(受取人の住所及び居所が明らかでないことその他の理由により返送された通知カード等の再度の発送を除く。)

二 通知カードの作成及び発送等に関する状況の管理

三 交付申請書及び第二十八条第一項に規定する再交付申請書の受付及び保存

 【以下略】

 現実には全ての市町村が、通知カード・個人番号カード関連事務を地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に委任しているのだから、機構が交付申請書と添付写真を保存することになる。

 なお、保存の方法については、2015年9月29日に自治行政局が定めた「通知カード及び個人番号カードの交付等に関する事務処理要領」の「第3 個人番号カード」―「2 個人番号カードの交付等」―「(1) 個人番号カードの交付」―「ア 交付申請書の受理」 に次のような記述がある。

(エ)交付申請書の保存
 住所地市町村長は、交付した個人番号カードに係る交付申請書を、その受理した日から15年間保存する(省令第23条)。保存の方法は、原本や写しを保存する方法でなくとも、電磁気的方法によることとして差し支えない。

■ 顔写真は、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が市町村長に代わってデジタル情報として保存。その数は8,700万人分に?

 地方公共団体情報システム機構による交付申請書の保存の方法も、この規定に従って行われると思われるが、スマホからの申請や、自動証明写真機からの申請も可能なことから考えれば、顔写真は電磁気的方法、すなわちデジタル化された情報として記録されていると見て間違いないであろう。

 まとめてみると、個人番号カードの交付申請をする際に、申請書に貼り付けた顔写真は、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)によって、向こう15年間にわたって、デジタル化された情報として保存される。

 なお、政府は2020年3月末までに、個人番号カードを8,700万枚普及(「マイナンバー制度利活用推進ロードマップ(案)」(PDF))させるとしており、計画通りに進むなら、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)は、日本に住む8,700万人分のデジタル化された顔写真を保有することになる。

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マイナンバーカードの交付の際に「顔認証システム」を拒否するとカードはもらえません ただし、その法的根拠は「事務処理要領」だけ

個人番号カード(マイナンバーカード)を市役所に取りに行くと、顔認証されることが判明

2015年11月 9日 (月)

マイナンバーカードの交付の際に「顔認証システム」を拒否するとカードはもらえません ただし、その法的根拠は「事務処理要領」だけ

 ブログ記事「個人番号カード(マイナンバーカード)を市役所に取りに行くと、顔認証されることが判明」に書いたように、個人番号カードを市区町村が交付する際に、本人確認のために「顔認証システム」が活用されることになったようだ。

■ 顔認証を拒否する者には、カードは交付せず。その法的根拠は「事務処理要領に係る質疑応答集」だけ?

 もっとも、顔認証を活用としたところで、申請者の中には拒否する者も当然いるであろう。
 では拒否するとどうなるのか。2015年9月29日に自治行政局がとりまとめた「通知カード及び個人番号カードの交付等に関する事務処理要領に係る質疑応答集」には次の様に書かれている。

問17 申請者が顔認証システムの活用を拒んだ場合にはどうするのか。

答え 日常的に多くの場面で本人確認書類として活用される個人番号カードに添付される顔写真については、申請者との同一性を容易に識別できる適切なものとすることが重要であることを説明し、理解を求める。それでも理解されない場合には、交付しないこととする。

 国は、どうやら顔認証を拒否する者には個人番号カードを渡さない考えのようだ。極めて高圧的な態度だが、そもそも「交付しない」の法的根拠はどこにあるのだろうか。

 番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)(PDF)には

(個人番号カードの交付等)
第十七条  市町村長は、政令で定めるところにより、当該市町村が備える住民基本台帳に記録されている者に対し、その者の申請により、その者に係る個人番号カードを交付するものとする。この場合において、当該市町村長は、その者から通知カードの返納及び前条の主務省令で定める書類の提示を受け、又は同条の政令で定める措置をとらなければならない。

とあり、施行令(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令)(PDF)には

(個人番号カードの交付)
第十三条 個人番号カードの交付を受けようとする者(以下この条及び附則第三条において「交付申請者」という。)は、総務省令で定めるところにより、その交付を受けようとする旨その他総務省令で定める事項を記載し、かつ、交付申請者の写真を添付した交付申請書を、住所地市町村長に提出しなければならない。
2 住所地市町村長は、前項の規定による交付申請書の提出を受けたときは、交付申請者に対し、当該市町村の事務所への出頭を求めて、個人番号カードを交付するものとする。

とあるだけだ。
 「顔認証システムの活用を拒んだ場合には個人番号カードを交付しない」との規定は見あたらない。
 もっとも、こうした規定がないのは、本人確認のために顔認証システムを活用すること自体が、番号法にも施行令にも書かれておらず、「通知カード及び個人番号カードの交付等に関する事務処理要領」において初めて登場するのだから、ある意味当然であろう。

 個人番号カードの交付を受けに来た住民を顔認証するというプライバシーの侵害を起こしかねないことを、自治行政局が決めた「事務処理要領」だけを根拠にやろうとするのはあまりにも無茶ではないだろうか。

■ 顔認証システムが本人ではないと判定すれば、カードは不交付になるのだが、その根拠も「事務処理要領」だけ?

 では、顔認証システムが、交付を受けに来た者が、申請者本人でないと判定した場合はどうなるのか。

 総務省自治行政局が2015年9月29日に定めた「通知カード及び個人番号カードの交付等に関する事務処理要領」の「第3 個人番号カード」―「2 個人番号カードの交付等」―「(1)個人番号カードの交付」―「ウ 交付」の項には

 (個人番号カードの交付に際して―引用者)個人番号カードに添付された写真と交付申請者との同一性を,顔認証システムを活用しながら確認する。この場合において,まず目視により同一性の確認を行い,同一性が容易かつ確実に識別できると認める場合を除き,あわせて顔認証システムによる同一性の判定を行う。当該判定において同一性が確認できるとされた場合には,特段の事情のない限り,交付して差し支えない。一方,当該判定において同一性が確認できないとされた場合には,交付しないこととする。

とあり、「当該判定において同一性が確認できないとされた場合には,交付しないこと」になるようだ。
 しかし、こちらも法的根拠は、この事務処理要領を除けばどこにも存在しない。

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個人番号カード(マイナンバーカード)を市役所に取りに行くと、顔認証されることが判明

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 先日、住民行政の窓編集部編、市町村自治研究会編集協力『通知カード・個人番号カードの交付等に役立つ 窓口業務必携!』(日本加除出版株式会社)を入手した。

 「通知カード及び個人番号カードの交付等に関する事務処理要領」、「通知カード及び個人番号カードの交付等に関する事務処理要領に係る質疑応答集」、「通知カードの運用上の留意事項、個人番号カードの運用上の留意事項及び転入届の特例及び住民票の写しの広域交付の運用上の留意事項」などが収録されている。

■ 事務処理要綱 個人番号カードの交付時に市役所で「顔認証を行う」

 「通知カード及び個人番号カードの交付等に関する事務処理要領」は、2015年9月29日付けで、総務省自治行政局が定めたものである。
 市区町村における通知カードや個人番号カードの住民への交付などに関する手続きや処理の方法について事細かく書かれている。

 その「第3 個人番号カード」―「2 個人番号カードの交付等」―「(1)個人番号カードの交付」―「ウ 交付」の項に、「顔認証」の言葉が出て来る。

 (個人番号カードの交付に際して―引用者)個人番号カードに添付された写真と交付申請者との同一性を,顔認証システムを活用しながら確認する。この場合において,まず目視により同一性の確認を行い,同一性が容易かつ確実に識別できると認める場合を除き,あわせて顔認証システムによる同一性の判定を行う。当該判定において同一性が確認できるとされた場合には,特段の事情のない限り,交付して差し支えない。一方,当該判定において同一性が確認できないとされた場合には,交付しないこととする。
 なお,当該判定に先立ち,交付申請者に対し,個人番号カードに添付された写真と交付申請者との同一性を判定するため,顔認証システムを活用すること,及び撮影した画像は当該判定以外に利用せず,かつ,保存されないことを説明する。

 また、同じく2015年9月29日に、自治行政局がとりまとめた「通知カード及び個人番号カードの交付等に関する事務処理要領に係る質疑応答集」にも、次の様に書かれている。

問15 顔認証システムは、必ず導入しなければならないのか。

答 原則として全市町村で導入し、活用することを想定している。

■ 窓口で使われる顔認証システムはNEC製

 事務処理要領や質疑応答集に出で来る「顔認証システム」とは何か。
 2015年9月16日付けの「日経コンピュータ」の記事「NEC、マイナンバー制度で全国1743の地方公共団体に顔認証システム導入」には、「個人番号カード交付窓口用顔認証システム」は「マイナンバー制度の開始にともない、全国1743の地方公共団体の個人番号カード交付窓口で本人確認のために利用する」もので、NECが地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から受注したものとある。
 なお、受注額については公表していないとある。また、現在、地方公共団体情報システム機構のサイトには、顔認証システムに関する情報は一切掲載されていない。

 記事には、導入されるのは、顔認証エンジン「NeoFace」で、「個人番号カードの券面情報の顔写真か、個人番号カード交付申請書の顔写真をスキャナで読み込んで、読み込んだデータをカメラで撮影した来庁者の顔情報と照合。類似度を数値で画面に表示する。地方公共団体の職員は、表示した数値を各地方公共団体の基準に照らし合わせて、交付の可否を判断する目安とする」とある。

 顔認証エンジン「NeoFace」については、NECのサイトに詳しく紹介されており、「NEC、マイナンバー制度開始に伴う、全国の地方公共団体向け顔認証システムを受注 ~ 個人番号カード交付時のなりすましを防止 ~」とのプレスリリースも公開されている。
 また「顔認証で待ち時間を大幅短縮!ユニバーサル・スタジオ・ジャパンRのゲートシステム」という動画もあり、その説明文には

 パークチケットブースでQRコード付きの年間パスを受け取ったゲストが、エントランスの認証用のモニター画面で顔写真を登録して入場。2回目以降の入場からは、年間パスをリーダーにかざし、認証用モニター画面に顔を向けるだけで入場出来ます。最初に登録した写真との照合にかかる時間は、約1秒。まさに“顔パス”で入場するような環境を実現しています。

とあり、このシステムが大変すぐれたものであることが理解できる。おそらく各市区町村の窓口に設置される「顔認証システム」も、同等の識別能力をもつのだと思われる。

 なお、2015年9月16日付けの「琉球新報」は、「本人確認を厳格化して、申請者のふりをしてカードを受け取る『なりすまし』を防ぐ狙いだが、顔を撮影されることに抵抗を感じる住民もいるとみられる」と報じている。

■ NECが自民党に顔認証システムを提案したのは2015年4月

 先の「日経コンピュータ」の記事の末尾には、「NECは自民党IT戦略特命委員会で『個人番号カードの民間利活用』として顔認証システムを紹介していた」とある。これは、2015年4月22日に自民党本部にて開催されたIT戦略特命委員会マイナンバー利活用推進小委員会(PDF)のことであろう。
 その際にNECは「個人番号カードの民間利活用について」(PDF)と題した資料を提案しており、その6頁、7頁に顔認証に関する情報が掲載されている。この会議には、自民党から平井たくや氏が委員長として、福田峰之氏が小委員長として、また省庁からは内閣府の向井治紀社会保障改革担当室内閣審議官などが出席している。なお、福田氏はマイナンバーを所管する甘利明大臣の補佐官でもある。

 4月の自民党の会議に一企業が提案したものが、その5ヶ月後に、国によって、ほぼそのまま採用されているのだとしたら、安倍政権のスピード感はもはや尋常ではない。ほとんどミラクルである。
 因みに、街角にある証明写真機からも個人番号カードが申請できるように制度整備をしたのも一企業の提案から4ヶ月ほどの期間しか要しなかった(参考「DNPの自民党への提案がそのまま実現? マイナンバーカード、街角にある証明写真機からも申請OKに!」)。

226■ マイナンバー事業受注社が自民党に献金との報道も

 ところで、これは本稿とは直接関係ないと思われるが、日本共産党の「しんぶん赤旗」は、「マイナンバー事業 9社で772億円独占 国民のプライバシー食い物」と題した記事を2015年11月3日に、また「マイナンバー事業受注の4社 自民に2.4億円献金 09~13年 政官財の癒着浮き彫り」と題した記事を11月8日に、それぞれ掲載しており、そのどちらの記事にもNECの文字が見られる。

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2015年9月18日 (金)

個人番号カードの一括申請、町内会などでも可能に ――暴走続けるアベのマイナンバー

 9月18日付けの「毎日新聞」(http://mainichi.jp/select/news/20150918k0000m040112000c.html)が、「マイナンバー:町内会などでも一括申請OK」として、次の様に報じています。

 ・・・マイナンバーカードは通知カードと一緒に届く交付申請書を郵送するか、インターネットで申請し、本人が自治体窓口に受け取りに行く。この方法のほか(1)企業や学校、町内会などで一括申請(2)本人が自治体窓口で申請(3)ドメスティックバイオレンス(DV)などの被害者が現在住んでいる自治体に申請する――方法も可能にした。(1)~(3)の場合、カードは本人限定受取郵便で郵送される。また、マイナンバーカードに書かれたマイナンバーを盗み見されないためのケースも合わせて配布する。・・・

 企業だけでなく、学校や町内会でも、マイナンバーカード(個人番号カード)の一括申請が出来るとは驚くばかりですが、これまで一括申請に関して、いくつか記事を当ブログに書いてきましたので、参考になればと思い、あらためて紹介させていただきます。

 「社員のみなさん、マイナンバーカードの交付申請は会社で一括しますのでよろしく」もありに (1)

 ここでは、総務省がカードの交付方式として、これまで説明されてきた「①交付時来庁方式」に加え、「②申請時来庁方式」「③申請時来庁方式(被災者・DV等被害者対応)」、「④勤務先企業等による一括申請方式」と「⑤勤務先企業等による一括申請方式(勤務先企業等に職員が出向き一括申請受付)」の4つの方式を用意していることを紹介しています。
 「毎日新聞」記事の「(1)企業や学校、町内会などで一括申請」は④と⑤であろう。「(2)本人が自治体窓口で申請」は②、「(3)ドメスティックバイオレンス(DV)などの被害者が現在住んでいる自治体に申請する」は③に、それぞれ該当するのでしょう。

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 「社員のみなさん、マイナンバーカードの交付申請は会社で一括しますのでよろしく」もありに (2)

 勤務先が一括方式をとれば、カード取得は強制になるのではないかと問題点を指摘するとともに、一括方式を可能とすることで個人番号カードの社員証は現実味を帯びるのではとしています。
 さらに、一括方式は「勤務先」だけで収まらないのではないかとしましたが、、「毎日新聞」の記事は、まさにその通りになっているのです。

 「社員のみなさん、マイナンバーカードの交付申請は会社で一括しますのでよろしく」もありに (3)

 事実上「カード取得の強制」となる可能性が大きい「勤務先企業等による一括申請方式」を政府が用意するとしていることを、ほとんどの国民は知らない。安倍政権は、マイナンバーにおいても、国民に情報を正しく知らせることなく、ひたすら暴走しているのだとしています。

 日経新聞に「マイナンバー、職場で配布 カードの一括申請可能に」の記事が

 「政府の言う『勤務先企業等』の『等』には何が入るのかだ。勤務先だけでなく、入所している介護施設などの福祉施設も「等」に含まれる可能性があるのではないか」、また「多くの大学で、今や学生証はICカードになっている。政府の考えは、このICカードの学生証をマイナンバーのカードに置き換えようということなのだ」と指摘しています。

※ 関連するブログ記事 「マイナンバーのカードを学生証に」だって! 冗談なの? バカなの?

 「毎日新聞」の記事では、企業や学校、町内会などで一括申請としています。介護施設や福祉施設はあげられていませんが、当然含まれると見て間違いないでしょう。私の『予言』は、残念ながら的中したのです。

 マイナンバーのカードの一括申請、会社だけではなく、学校法人や医療法人、社会福祉法人、宗教法人でも可能に

 「毎日新聞」の記事の根拠となっている政令と総務省令の改正に関するパブリックコメントが行われていますという記事。
 「法人ならば、学校法人でも医療法人でも社会福祉法人でも宗教法人でも「一括申請」が出来るのではないだろうか。また、取りまとめる対象について従業員との限定もない。児童・生徒・学生、患者、入所者、信者も可能なことになる」と指摘しています。

 パブリックコメントが同じく行われていた「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則の一部を改正する命令」の中に、「法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む」とあることから、一括申請が可能な団体に町内会も含まれるのではと思っていたのですが、さすがにそこまで言及すると、そんな馬鹿なことあるはずないと一笑に付されるのではないかと考え書かなかったのです。反省する必要がありそうです。

2015年9月14日 (月)

大阪市では、マイナンバーの「通知カードの返戻対応及び個人番号等カードを交付するための一連の業務」を派遣社員さんにお任せしているようです。他の市町村はどうなのでしょう

 大阪市のサイトに「大阪市マイナンバー制度の導入に伴う通知カード・個人番号カード交付関連業務に関する労働者派遣業務」と書かれたページ[2015年7月17日]があります。
 これによれば、大阪市は「通知カードの返戻対応及び個人番号等カードを交付するための一連の業務」を外資の人材派遣企業に業務委託したようです。

業務委託入札案件

件名大阪市マイナンバー制度の導入に伴う通知カード・個人番号カード交付関連業務に関する労働者派遣業務 
公告(公開)日平成27年7月17日 
種目平成27・28年度本市入札参加有資格者名簿における業務委託種目 13 その他代行 07人材派遣 01人材派遣 
入札(締切)日時平成27年8月19日(水曜日)午前10時 
開札場所大阪市役所本庁舎 地下1階 第5共通会議室 
入札契約方式事後審査型制限付一般競争入札 
契約保証金その他の保証要 (大阪市契約規則第34条第1項による。) 
発注担当局等総務局 
履行(納入)場所本市指定場所 
契約期間(期限)平成28年3月31日まで 
公告(公募)文その他添付資料
質問への回答
備考 

 

■派遣労働者の活用は、効果的・効率的な業務執行体制を構築・運営する必要があるから

 仕様書(PDF)は、業務の目的を 

 ・・・平成27年10月より順次、各市町村から委任を受けた地方公共団体情報システム機構が通知カードを作成し、各世帯へ通知カードを簡易書留にて郵送することとなっているが、「あて所なし」や「保管期間超過」等の事由により、不達として本市へ返戻される通知カードの交付を各区役所にて実施する業務が発生するとともに、個人番号カード交付申請者に対しては、各区役所にて本人確認のうえ、個人番号カードの交付を行う業務など、一時的に大量な業務が発生することを見込んでいる。本事業を円滑かつ安定的に遂行するためには、人材教育等のノウハウを持つ人材派遣会社から派遣される当該業務を遂行する能力を有する労働者(以下、「派遣労働者」という。)を活用し、効果的・効率的な業務執行体制を構築・運営する必要がある。

としています。

 また業務の内容は、「通知カードの返戻対応及び個人番号等カードを交付するための一連の業務」とし、その詳細は仕様書(PDF)の別紙1「業務一覧」及び別紙2「全体業務イメージ」に書かれています。
 別紙1「業務一覧」によると、派遣労働者が担う業務は、2015年10月~の「1 市民からの問い合わせ対応」「2 通知カード返戻分の保管・交付対応」「3 紛失等に伴う再交付申請受付」、2016年1月~の「4 個人番号カード交付受付窓口」「5 個人番号カード等入出庫作業」「6 個人番号カード交付後の質疑応答対応」「7 フロアマネージャ(リーダー業務)」、2015年10月~の「8 通知カードの返戻分の確認・通知作業 市民からの問い合わせ対応」、「9 統括マネージャー業務」の9項目です。このうちの1から7は各区役所で就業、8は総務局で、9は共通となっています。

■誰への通知が返ってきたかを記録するデータベースへの「返戻登録入力」も派遣労働者の仕事

 具体的には、例えば「2 通知カード返戻分の保管・交付対応」は

 不達となった通知カードが区役所に返戻されるため、定期的に総務局へ発送する。総務局において、処理された通知カードが再度、区役所に届くため、整理したうえでキャビネットに保管、市民が受け取りに来た際、通知カードの交付対応をする。

 総務局の処理は、「8 通知カードの返戻分の確認・通知作業 市民からの問い合わせ対応」の

 国が10月より通知カードを送付するが、簡易書留(転送不可)郵便にて送付するため、一時的に大量に発生する返戻分の通知カードについて、返戻登録入力作業等を行い、返戻者に各区への来庁・取得を促す通知ハガキを送付した後、通知カードを各区へ送付する。
また、市民からの電話による問い合わせ対応を行う。

ことでしょう。誰への通知が返ってきたかを記録するデータベースへの「返戻登録入力」も派遣労働者の仕事なのです。
 なお、この入力の際に「不在による」「受取拒否」などの区別が付けられるのかどうかは不明です。また、「受取拒否」をした住民にも、来庁・取得を促す通知ハガキを送付するのかどうかもわかりません。

 また、「個人番号カード交付申請者より交付通知書・免許証等の本人確認書類を受領し、電子証明書の説明及び必要な暗証番号の設定について説明する。また、コンビニ交付等の利用案内を行う」(4 個人番号カード交付受付窓口)ことや、「個人番号カード交付申請者に個人番号カードを引き渡した後、質問等がある場合、その質疑応答対応を行う」(6 個人番号カード交付後の質疑応答対応)ことも、さらに「個人番号等カードの紛失等に伴う再交付申請及び本人確認資料を受付け、地方公共団体情報システム機構へ申請を行う」(3 紛失等に伴う再交付申請受付)ことも派遣労働者の仕事となっています。

 7は「フロアマネージャ(リーダー業務)」となっていますが、フロアマネージャーは、仕様書の別紙3「就業先・従事者数・派遣期間」によれば、2015年10月16日~2016年1月14日の間は総務局に1名、2016年1月15日~同3月31日までの間は各区役所に1名配置されます。
 また、9の「統括マネージャー業務」の統括マネージャーは、2015年10月16日~2016年1月14日は1名、2016年1月15日~同3月31日は2名置かれるようです。
 メンバー(マネージャー以外の一般の派遣労働者のこと)は、2015年10月16日~2016年1月31日の間は総務局に27名、各区役所に3名配置され、2016年1月15日~同3月31日は各区役所に1名ずつ増員されるとなっています。

■「マイナンバー制度に関する一般的な知識」を求めるけれど

 仕様書(PDF)は次の通りの「業務遂行にあたって求める知識・能力、経験等」を求めています。

(1)統括マネージャ

① 業務全般を統括・掌握するとともに、本市職員との調整及び連携等を行い、業務の運用調整を行えること。
② マイナンバー制度、住民情報を取り扱う事務等の知識を有すること。
③ 個人情報及び特定個人情報の適正な取り扱いを熟知していること。
④ リーダー・メンバーに対する労務管理、フォロー、業務指導を行い、業務全体を遂行するマネージメント能力を有すること。

(2)フロアマネージャ(リーダー)、メンバー等

① 基礎的なビジネスマナーを身につけていること。
② 協調性を有すること。
③ 端末操作(テンキー入力、検索操作等)が円滑に実施できること。
④ 電話対応・接客・窓口業務等対人サービスの経歴があること、もしくはその適性があること。
⑤ マイナンバー制度に関する一般的な知識を有すること。
⑥ 発送物の仕分け等の誤りを防ぐため正確な事務処理を行えること。
⑦ リーダーについては、グループリーダー等の取りまとめ業務を行うスキルをもつこと。

※業務開始前までに上記の知識・能力・スキルを有した人材となるよう、派遣元において適切な人選と初期教育を企画して実施すること。

 このように統括マネージャーには「マイナンバー制度、住民情報を取り扱う事務等の知識を有すること」「個人情報及び特定個人情報の適正な取り扱いを熟知していること」を、フロアマネージャー・メンバーには「マイナンバー制度に関する一般的な知識を有すること」を求めていますが、そんな知識や経験を有するものがおいそれと見つかるのでしょうか。正職員ですらマイナンバーの知識は乏しいのが現実ではないでしょうか。 

■マイナンバーの研修は派遣元企業の責任

 仕様書(PDF)では、事前研修については、派遣元企業の責任になっています。大阪市役所にとっては都合の良い契約内容です。

 事前に派遣労働者に対して、官公庁において勤務するために必要な基礎知識等を身に着けるよう教育・指導を行うこと。研修会場については、派遣元において用意し、研修実施日等の研修計画を総務局IT 統括課に報告すること。研修当日は、本市職員が視察を行う。研修日程は、全体で3日間を予定している。
 なお、研修資料、研修カリキュラム・時間、業務内容に係る研修等は、契約締結後、本市と協議のうえ決定する。
 研修内容としては、別紙4「研修内容(案)」参照。また、業務開始後において、従事する派遣労働者に対し、本市職員等より端末操作の説明や具体的な業務内容等の説明を適宜行う。

 「研修当日は、本市職員が視察を行う」とはあり、また別紙4「研修内容(案)」によれば、は、研修は3日間、22.5時間とかなりハードなものとなっています。研修は当然必要ですが、こうした詰め込みで各人が知識をどれだけ身につけ得るのかは、残念ながらわかりません。

 こうした研修だけで、プライバシー保護やセキュリティー確保は大丈夫なのでしょうか。大阪市としては「機密情報及び個人情報にかかる守秘義務の遵守に関する誓約書」にサインさせることで、確保出来ると考えているのかも知れません。
 しかし、派遣労働者から見れば、たった3日間の研修で

(罰則の了知)
 業務上知り得た個人情報及び機密その他を漏洩し、又は不正な目的に使用したとき並びにネットワーク又は記録媒体を通じて第三者に提供したときは、「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」その他法令等により懲役又は罰金(以下「罰則」という。)に処せられること及び大阪市の区域外においても同様に罰則が適用されることを十分理解したうえで業務に従事します。

と書かれた書類にサインさせられるわけですから、その不安はたいへん大きいでしょう。

 入札日時は、2015年8月19日となっていますが、その結果については、大坂市のホームページにはまだ掲載されていないようです。

■「住所変更していないかなど専用端末を使って詳細を調べる」のも派遣労働者の仕事?

 しかし、この委託契約に基づくと思われる求人情報がネットI流れています。
 「★10月スタート★未経験OK★土日祝休み!安心の官公庁!人気の受付事務♪20~50代活躍中☆」は、各区役所の業務のようです。
 また、「1月末迄!【24名】マイナンバー書類仕分け+入力◎自転車通勤OK」は、大阪市西区立売堀の総務局での仕事でしょう。「お仕事内容」には「まずは、各区から集まってくる不在で返送されてきた通知カードにバーコードを貼ります。次に、住所変更していないかなど専用端末を使って詳細を調べます。最後に、再送する郵送の準備作業をお願いします。」と具体的な作業内容が書かれています。
 専用端末が具体的にどのようなものかはわかりませんが、住民登録(転居、転出の有無)を調べるためのものであるのは間違いないでしょう。

 なお、どちらもマンパワーグループ(株)となっています。Wikipediaによると、マンパワーグループ(株)は、横浜ランドマークタワーに本社を構える企業で、「世界80ヵ国に4,300のオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材派遣のグローバルカンパニー」だそうです。すごい外資が落札したようです。
 同社のサイトで検索すると「交通費支給+1400円☆大阪市事業プロジェクトリーダー大募集」がヒットしました。落札したのは、同社で間違いないようです。
 業務内容は

 大阪市内24区役所にいるスタッフの管理です(各役所に3名ずついる)各区役所を巡回し、業務のフォローや指導をお願いします。事前に研修を受けた上でのスタートなので、マイナンバーについての知識がなくても安心♪

 とありますから統括マネージャのようです。「事前に研修を受けた上でのスタートなので、マイナンバーについての知識がなくても安心」とありますから、大阪市民のみなさんも安心ですね。

 もちろんこうした委託は大阪市だけが行っているのではありません。通知カードや個人番号カードの業務について民間委託を行っている自治体はいくつもあります。委託の内容もおそらく似たり寄ったりでしょう。

 政府は、プライバシー保護は万全、世界最先端なとど言っていますが、マイナンバー制度の足下は、低賃金、不安定雇用の労働者に頼らざるを得ないというお粗末なものなのです。日本社会を象徴している公共事業と言えます。

■派遣労働者やアルバイトはいても、通知カード・個人番号カードの業務の中に正職員はいない?

 最後に、仕様書(PDF)の別紙2「全体業務イメージ」(クリックすると拡大されます)を貼っておきます。興味のある方はじっくり見て下さい。臨時的任用職員(アルバイト)はいても正職員は絵の中にはいないようです。

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