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カテゴリー「番号通知、通知カードの交付」の記事

DV等の被害者への番号通知など

2015年8月 8日 (土)

DV被害者等への通知カードの送付先変更についての「よくあるご質問」(いわゆるQ&A) ――不思議なことに「Wordファイル」

総務省は、新たに開設したサイト「マイナンバー制度と個人番号カード」(http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/index.html)の中の「東日本大震災による被災者、 DV・ストーカー行為等・児童虐待等の被害者、 一人暮らしで長期間医療機関・施設に入院・入所されている方へ」(http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/08.html)で、「よくあるご質問」、いわゆるQ&Aを公開している。
 申請を考えている人は、ぜひ読みたいのではないかと思うのだか、ダウンロードされるのは、なんと Word ファイルである。スマホではちょっと辛いのではないか。

 ※ いつのまにか PDF 版もダウンロードできるようになっていた。ついでに HTML 版もも提供すればスマホでも読みやすくなって、みなさん助かるだろうに。

 ということで、勝手に全文、以下に転載(一部強調は転載者による)。
 思いっきりお役所言葉なので「閲覧注意」。

やむを得ない理由により住所地において通知カードの送付を受けることができない方への各種質問について

(事務手続全般)

問1 居所情報の登録を行いたいがどのように行えばよいか。
答 居所情報の登録を行う場合は、居所情報登録申請書を市区町村の窓口や総務省ホームページなどから入手し、必要事項を記入の上、本人確認書類(免許証など)、居所に居住していることの証明書(賃貸借契約書、公共料金の領収証など)を住民票のある市区町村の「通知カード担当課」あてに提出すること。
なお、代理人が本人に代わって申請する場合には、さらに代理権を証する書類(委任状など)と代理人の本人確認書類を提出すること。

問2 居所情報の登録を行うことができる者はどのような者か。
答 居所情報の登録を行うことができる者は次のとおりである。
① 東日本大震災により被災し、やむを得ない理由により、居所へ避難していて、住所地において通知カードの送付を受けることができない者
② DV等被害者であり、やむを得ない理由により、居所へ移動していて、住所地において通知カードの送付を受けることができない者
③ 番号利用法の施行日以降、長期間にわたって医療機関・施設等に入院・入所することが見込まれ、かつ、入院・入所期間中は住所地に誰も居住していないため、住所地において通知カードの送付を受けることができない者
④ ①から③までに掲げる者以外の者で、やむを得ない理由により住所地において通知カードの送付を受けることができない者

問3 居所情報の登録申請を行うことができる期間はいつからいつまでか。
答 8月24日から9月25日までである。

問4 居所情報の登録を8月24日より前に郵送にて行ったが、再度の登録を行った方がよいか。
答 居所情報の登録を行った市区町村に確認されたい。

問5 居所情報の登録の期限が9月25日となっているが、9月25日に居所情報登録申請書を投函した。居所情報は登録されるか。
答 居所情報の登録を行った市区町村に確認されたい。

問6 居所情報登録申請書はどこで手に入れればよいか。
答 総務省のホームページからダウンロードできるほか、市区町村の窓口などで入手可能。

問7 居所が住民票のある市区町村と離れているが、郵送で居所情報の登録申請を行うことは可能か。
答 郵送により居所情報を登録することが可能。なお、その場合、居所情報登録申請書、本人確認書類などの必要書類を住民票のある市区町村の「通知カード担当課」あてに郵送すること。

問8 DV等被害者であり、住民票のある市区町村に行くのが精神的に負担であるが、郵送で居所情報の登録申請を行うことは可能か。
答 郵送により居所情報を登録することが可能。なお、その場合、居所情報登録申請書、本人確認書類などの必要書類を住民票のある市区町村の「通知カード担当課」あてに郵送すること。

問9 居所情報の登録申請を郵送で行う場合、郵送費の補助はあるか。
答 郵送費の補助はない。

問10 居所情報の登録申請を家族分まとめて郵送にて行いたいが、居所情報登録申請書を家族分まとめてもよいか。
答 居所情報の登録申請は、一人につき一件ずつ行うことになっている。なお、複数の居所情報登録申請書及びそれに添付する本人確認書類等を同封して郵送することについては差し支えない。

問11 居所情報の登録申請を郵送で行いたいが、どこに送付すればよいか。
答 住民票がある市区町村の「通知カード担当課」あてに送付することとなる。なお、その際封筒に「居所情報登録申請書在中」と朱書きすること。
また、住民票がある市区町村が政令指定都市である場合には、区役所の「通知カード担当課」あてに送付すること。

問12 居所情報の登録を行ったが、事情が変わり、居所の所在地が変わった場合又は居所に通知カードを送付する必要がなくなった場合は、どうすればよいか。
答 9月25日までに居所情報の登録内容が変わった場合には、改めて居所情報の登録を行うこととなる。
また、居所に通知カードを送付する必要がなくなった場合は、居所情報登録申請書の様式の備考欄にその旨を記載し、「1 居所情報登録を行う者の情報」に必要事項を記入した上で、居所情報の登録申請を行った際の本人確認書類を添付して、居所情報登録を行った市区町村に提出すること。

問13 通知カードの送付を受けるためには、全国民が登録する必要があるのか。
答 「居所情報の登録」は、やむを得ない理由により住所地において通知カードの送付を受けることができない者が、居所で送付を受けることができるようにするために行うもの。
それ以外の者は、手続をする必要はなく、住所地に通知カードが送付されることになる。

(登録対象者)

問14 通知カードの送付が見込まれる時期に長期出張のため、住所地において通知カードの送付を受けることができない単身世帯の者は、居所情報の登録申請を行うことができるか。
答 長期出張中、長期出張先の居所に居住し、当該居所において通知カードの送付を受けることができる場合は、当該居所について居所情報の登録申請を行うことができる。

問15 登録対象者が居住していない代理人の住所や勤務先等を当該登録対象者の居所として居所情報の登録申請を行うことはできるか。
答 通知カードは本人に送付することから、登録対象者が現に居住していない代理人の住所や勤務先等を当該登録対象者の居所として居所情報の登録申請を行うことはできない。

問16 単身世帯の成年被後見人へ直接通知カードが送付されないように、成年後見人が自らの住所等を当該成年被後見人の居所とする居所情報の登録申請を行うことができるか。
答 成年被後見人が成年後見人の住所等に居住している場合を除き、成年後見人の住所等を当該成年被後見人の居所として居所情報の登録申請を行うことはできない。

問17 日中に住所地において通知カードの送付を受けることが困難であるとの理由から、勤務先を居所として居所情報の登録申請を行うことはできるか。
答 本人が居所に居住していないため、勤務先を居所として居所情報の登録申請を行うことはできない。

問18 登録対象者の要件を満たし、同一の市区町村の中で住民票の住所と異なる居所に居住する場合であっても、居所情報の登録を行わないと居所に通知カードが送付されないのか。
答 お見込みのとおり。

問19 居所が国外である場合であっても居所情報の登録申請を行うことはできるか。
答 国外の居所を登録することはできない。

(居所情報の登録申請をすることができる者)

問20 登録対象者が15歳未満の者の場合、単独で居所情報の登録申請を行わせることはできないとあるが、登録対象者の年齢を判定する基準日は申請日となるか。
答 お見込みのとおり。

(居所情報の登録申請の方法)

問21 登録対象者のうち、長期間医療機関・施設等に入院・入所している者に係る居所に居住していることを証する書類については、別記様式の医療機関・施設等向け記入欄に、年月日、当該医療機関・施設等の名称及び担当者名の当該医療機関・施設等による記入又は押印があることをもって、当該書類としてよいか。
答 差し支えない。

問22 居所情報の登録申請があった際に、本人確認書類を用意できない場合はどうすればよいか。
答 本人確認書類が全く提示されない場合は、居所情報の登録申請を受け付けることはできない。
なお、事務処理要領第2-4-(2)-ア-Bに掲げる書類※のうち1点の提示を受けた場合は、窓口へ来庁し、当該者又は当該者と同一の世帯に属する者に係る住民票の記載事項についての申告を受けることその他の住所地市区町村長が適当と認める措置をとることにより、当該者が当該書類に記載された氏名及び住所又は生年月日により識別される者と同一の者であることを確認できたときは、居所情報の登録申請を受け付けることができる。

※ 事務処理要領第2-4-(2)-ア-Bに掲げる書類
官公署から発行され、又は発給された書類その他これに類する書類であって、住所地市区町村長が適当と認める書類

(具体例)
海技免状、電気工事士免状、無線従事者免許証、動力車操縦者運転免許証、運航管理者技能検定合格証明書、猟銃・空気銃所持許可証、特種電気工事資格者認定証、認定電気工事従事者認定証、耐空検査員の証、航空従事者技能証明書、宅地建物取引士証、船員手帳、戦傷病者手帳、教習資格認定証、検定合格証、官公署がその職員に対して発行した身分証明書、Aの書類が更新中の場合に交付される仮証明書や引換証類、地方公共団体が交付する敬老手帳、生活保護受給者証、健康保険又は介護保険の被保険者証、各種年金証書、児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書など。
また、官公署発行の書類のみならず、住民名義の預金通帳、民間企業の社員証、学生証、学校が発行する在学証明書も含まれる。

(居所情報の登録申請の受付)

問23 居所情報の登録申請が受け付けられた場合、市区町村から連絡があるのか。
答 居所情報の登録申請が受け付けられた場合、市区町村からの連絡はない。なお、受け付けられない場合には、市区町村から居所情報登録申請書に記載した連絡先に連絡がいくことになる。

(その他)
問24 居所情報の登録申請を行った場合、通知カードに記載される住所は、居所の情報となるのか。
答 通知カードに記載される住所は、住民票に記載されている住所となる。

問25 例えば、DV等被害者が居所情報の登録申請を失念していたり、通知カードの送付先情報の登録後にDV等の被害を受けたりすることによって、通知カードが加害者側に渡ってしまった場合、どうすればよいか。
答 個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められる場合は、番号利用法第7条第2項の規定により、本人からの請求又は職権により、個人番号の変更を行うことができるものとされている。したがって、このような場合に該当するときは、住所地の市区町村に対して請求することにより、個人番号の変更ができるものと考えられる。

申請すれば送付先は必ず変更されるのか  ― 総務省がDV被害者等への通知カードの送付先変更手続きについて報道発表したが

 通知カードの郵送が始まるまであと2ヶ月と迫った8月7日、総務省はDV被害者等への通知カードの送付先変更についてようやく報道発表(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei02_03000080.html)した。国民への周知は、果たして間に合うのか。申請さえすれば送付先は必ず変更されるのだろうか。

やむを得ない理由により住所地において
マイナンバーが記載された通知カードを受け取ることができない方へ
~ 居所で受け取るために居所情報を登録してください ~

○本年10月5日以降、「マイナンバー」が記載された「通知カード」が
 住民票の住所地に簡易書留で送付されます。

○やむを得ない理由により住民票の住所地で受け取ることができない
 ・東日本大震災による被災者
 ・DV、ストーカー行為等、児童虐待等の被害者
 ・一人暮らしで、長期間医療機関・施設等に入院・入所されている者
 等の方は、居所に送付することが可能ですので、
 本人確認書類等を添付した「居所情報登録申請書」を
 平成27年8月24日(月)から9月25日(金)までに(持参又は必着)
 住民票のある市区町村に持参又は郵送してください。

○なお、申請書については、お近くの市区町村や
 総務省ホームページ(http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/
 などから入手又はダウンロードが可能です。

 ※詳しくはこちらをご覧ください。

■総務省 チラシに加え説明資料も新たに公表

 「※詳しくはこちらをご覧ください。 」からは、PDFの資料(12頁)がダウンロードできる。
 中味は、まず説明資料が3枚(下記)。

150807___01

150807___02_2

150807___03

 白紙を1枚挟んで、チラシが2枚。

150807___05

150807___06

 それから「通知カードの送付先に係る居所情報登録申請書」(注意書き含め4枚)と申請書の記載例となっている。

■申請すれば必ず送付先は変更されるのか

 該当者で送付先の変更を希望する者は、この申請書をダウンロードし、必要事項を記入し、添付書類(居所情報登録を行う者の本人確認書類、居所情報登録を行う者が居所に居住していることを証する書類など)をつけ、8月24日から9月25日の間に、住民票のある市区町村に持参又は郵送する必要がある。

 では申請後は、どうなるのか。受け付けられれば後はすべて送付先が変更されるのだろうか。
 チラシには「申請が認められた方は、登録された居所にあなたの『マイナンバー』をお知らせします」とある。また、申請用紙の注意事項には「申請に不備がある場合などの理由により、申請を受け付けることができない場合は、市区町村から連絡があります」と書かれている。

106

 「認められない」のは具体的にどういう場合なのか、「申請を受け付けることが出来ない場合」の理由の「など」が具体的に何なのかはわからない。
 申請を受けて、送付先の変更の可否について、申請先市町村において審査が行われるのなら、その基準を明らかにすべきだろう。

 登録対象者は「①東日本大震災により被災し、やむを得ない理由により、居所へ避難していて、②DV等被害者であり、やむを得ない理由により、居所へ移動していて、③番号利用法の施行日以降、長期間にわたって医療機関・施設等に入院・入所することが見込まれ、かつ、入院・入所期間中は住所地に誰も居住していないため、④上記①~③に掲げる者以外の者で、やむを得ない理由により」のいずれかで、かつ「住所地において通知カードの送付を受けることができない者」としている。

105

 この中で特に気になるのは④の「上記①~③に掲げる者以外の者で、やむを得ない理由により」が、気になる。「やむを得ない理由」が正当か否かを判断する基準は具体的に何なのか。
 総務省としては、申請先の市町村にお任せということなのだろうかと。同様の理由にもかかわらずA市では変更を認められたが、B市では認められないということもありうるのか。マイナンバー制度に係わる事務は、市町村に裁量権のある自治事務ではなく、一方的に政府が押し付けた法定受託事務だ。政府が、責任を持って対応すべきであろう。

2015年8月 7日 (金)

総務省が、DV被害者等への通知カードの送付先変更の案内ページを開設

 総務省が、「東日本大震災による被災者、 DV・ストーカー行為等・児童虐待等の被害者、 一人暮らしで長期間医療機関・施設に入院・入所されている方へ」のページ(http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/08.html)を開設し、8月6には、内閣官房のマイナンバーのページ(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/)からもリンクが張られた。

103

 総務省は、このページで「やむを得ない理由により住民票の住所地で「通知カード」を受け取れない方は、居所に送付することも可能です。居所情報の登録をお願いします。」として手続きの方法を案内している。

関連記事 【速報】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能になりました

■医療機関・施設等への長期の入院・入所者も対象に

 送付先変更を受け付ける対象者については、

次に該当する方は、居所への通知カードの送付が可能です。

  • 東日本大震災により被災し、住所地以外の場所へ避難している方
  • DV等被害者で、住所地以外の場所へ移動している方
  • 医療機関・施設等への長期の入院・入所が見込まれ、かつ、住所地に誰も居住していない方
  • 上記以外の方で、やむを得ない理由により住所地において通知カードの送付を受けることができない方

としている。

 なお、申請書については、

 「通知カードの送付先に係る居所登録申請書」を入手し、氏名、居所、やむを得ない理由などの情報を記入してください。(申請書は、以下からダウンロードいただくか、お近くの市区町村でも入手できます。)

としている。

■申請期間は8月24日から9月25日まで

 申請先は住民票のある市区町村(持参又は郵送)、申請期間は2015年8月24日(月)から9月25日(金)まで。

 詳しくは、「東日本大震災による被災者、 DV・ストーカー行為等・児童虐待等の被害者、 一人暮らしで長期間医療機関・施設に入院・入所されている方へ」のページ(http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/08.html) で確認を。

 なお、このページからは、申請書の他、ポスター・リーフレット、「よくあるご質問」もダウンロードできるようになつているが、申請書と「よくあるご質問」は何故かWord形式のファイルとなっている。

 参考(当ブログ内) → DV被害者等への通知カードの送付先変更についての「よくあるご質問」

■周知がどこまで出来るかが課題

 対象を長期間医療機関・施設への入院・入所者にまで広げたことや、手続きを簡単なものにしたことは評価できる。しかし、通知カードの郵送が始まるまで、もう時間は余り残されておらず、申請期間は、たいへん短いものとなっている。
 該当する人たちへの周知はどこまで出来るのか。テレビCMなどは予定されているのだろうか。

2015年8月 3日 (月)

【速報】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能になりました

    簡単に言うと

  • いくつかの市町村が、DV等の被害者がマイナンバーの通知カードの送付先の変更を申し出るための具体的な手続きの案内を掲載していることがわかった。
  • 送付先の変更には、居所情報登録申請書を住民票のある市町村に提出することが必要。
  • DV等の被害を受けていることを証明する書類などを添付する必要はない。送付先変更の対象は、長期入院・入所にまで広げられている。
  • この程度の手続きで送付先変更がOKなら、3月の上戸さんのテレビCMにあわせて広報できたのではないか。なぜ、通知カード送付直前のこんなにぎりぎりの時期になったのか。政府の泥縄感が否めない。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 これまで「DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?」、「【続報】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?」、「【続々】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?」と書いてきたが、いよいよ、DV等の被害者について、申出すればマイナンバーの通知カードの送付先の変更が可能になったようだ。
 いくつかの市町村が、具体的な手続きの案内を始めている。
 取り急ぎ、鹿児島県奄美市のものを紹介する。

  → 総務省が、DV被害者等への通知カードの送付先変更の案内ページを開設

■ 鹿児島県奄美市

  https://www.city.amami.lg.jp/shimin/machi/koseki/kyosho.html

マイナンバー制度の開始に伴う居所情報登録申請について

居所登録申請について

 平成27年10月5日からマイナンバー制度がスタートいたします。

 今年10月以降、住民登録を行っている住所地の住所にあなたの「マイナンバー」をお知らせします。その際、やむを得ない理由により住民票の住所地で受け取ることが出来ない方は居所情報登録申請書を8月24日~9月25日(持参又は必着)までに住民票のある住所地の市区町村に持参又は郵送してください。

 DV、ストーカー行為等、児童虐待等の被害者で住所地以外の居所に移動されている方
 ○東日本大震災による被災者で住所地以外の居所に避難されている方
 ○一人暮らしで、長期間、医療機関・施設に入院・入所されている方

 申請が認められた方は、登録された居所にあなたの「マイナンバー」をお知らせします。

 申請書は下のリンクから取得してください。

■通知カードの送付先に係る居所情報登録申請書

 ダウンロードできるのは、Word形式の「通知カードの送付先に係る居所情報登録申請書」。注意事項、記載例も含めて6頁。

099

 申請書に記入が必要なのは

1 「居所情報登録を行う者の情報」として、氏名、生年月日、住民票の住所、通知カードの送付先、連絡先電話番号など

2 住所地において通知カードの送付を受けることができない理由は、「東日本大震災により被災し、住所地以外の地へ避難しているため」「ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待又はこれらに準ずる行為の被害者で、住所地以外の地へ移動しているため」「平成27年10月5日以降、医療機関・施設等への長期の入院・入所が見込まれ、かつ、入院・入所中は住所地に誰も居住していないため」「その他」から該当するものを選びチェックするだけ。ただし、「その他」については「具体的な状況を下の理由記載欄に記載してください。」とある。

である。

 DV等の被害を受けていることを証明する書類などを添付する必要はないようだ。また、対象も、長期入院・入所にまで広げられている。

 申請書の提出については「8月24日~9月25日までに(持参又は必着)」「お早めに住民票がある市区町村へ持参又は郵送してください」とある。
 今日は既に8月3日だ。対象となる人たちへの周知は間に合うのだろうか。テレビでCMを流すなどの計画はあるのだろうか。

■この程度の手続きでOKなら、もっと早くできたのではないか

 注意事項には、「申請書の偽造や、なりすまし等により不正に通知カードを取得した場合は、法律の規定により罰せられます。」などとともに

○申請に不備がある場合などの理由により、申請を受け付けることができない場合は、市区町村から連絡があります。

○ 申請書の提出の際には、次の書類を必ず添付してください。
  ・ 居所情報登録を行う者の本人確認書類
  ・ 居所情報登録を行う者が居所に居住していることを証する書類
 (代理人が申請する場合は、さらに次の書類を合わせて添付してください。)
  ・ 代理人の代理権を証明する書類
  ・ 代理人の本人確認書類

などとある。

 また、留意事項には

※ DV等被害者の運転免許証やパスポートなどの本人確認書類を加害者などの第三者が保有している可能性がある場合には、第三者による「なりすまし」のおそれがありますので、現在お住まいの場所(居所)の市区町村への転入とDV等支援措置の申出をご検討ください。詳しくは、お近くの市区町村にお問合せください。

との注意書きもされている。加害者によるウソの「居所情報登録」で「なりすまし」をされるおそれは確かにある。恐い話だ。

 被害に係わる証明書類の添付を求めないことなど、申請の敷居が低く設定されたことはたいへん結構なことだ。
 しかし、そのことにより、ウソの申請が通ってしまう可能性がどうしても高まる。むずかしいところだ。

 ところで、この程度の手続きで、DV等被害だけでなく、医療機関・施設等への長期の入院・入所についても送付先変更がOKなら、3月の上戸さんのテレビCMにあわせて広報できたのではないか。
 なぜ、通知カード送付直前のこんなにぎりぎりの時期になったのか。政府の泥縄感が否めない。まだまだ問題が出て来そうだ。

■居所情報登録申請リーフレット

 総務省が作成したリーフレット 居所情報登録申請リーフレット(PDF:438KB)

097

098

 

2015年7月24日 (金)

【続々】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?

    簡単に言うと

  • 総務省自治行政局住民制度課課長補佐が、マイナンバーを取り仕切るJ-LISの月刊誌で、居所が住民票と異なるDV等被害者については、登録してもらえれば、居所に通知カードを送ると書いた。
  • 送付先変更の登録には、住所地市区町村への申請書の提出が必要。申請の際に「DV等被害者であることを証する書類」を求められることもあるような記述だが、詳細はまだ不明。
  • 取組が進んでいることは評価できる。しかし、市町村の準備は整うのか、また、対象とする人たち、困っている人たちに情報は正しく届くのだろうか。記事には「7月以降に周知」とあるがもう下旬だ。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 本稿は「DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?」、「【続報】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?」の続きである。

  → 総務省が、DV被害者等への通知カードの送付先変更の案内ページを開設

■「やむを得ない事情により居所に住所を異動することができない」DV等被害者については、登録した居所に通知カードを送付と、総務省自治行政局住民制度課課長補佐

 「『社員のみなさん、マイナンバーカードの交付申請は会社で一括しますのでよろしく』もありに (1)」で紹介した地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の月刊誌「月刊J-LIS ―地方自治情報誌―」2015年7月号に掲載された記事「個人番号の通知と個人番号カードの交付における留意点 ―個人番号の通知と個人番号カードの交付に関する事務処理について」(総務省自治行政局住民制度課課長補佐 内海隆明)(https://www.j-lis.go.jp/data/open/cnt/3/1282/1/H2707_05.pdf)には、「(3)個人番号の通知に関する事務処理」の項に、通知カードの送付先に関して次のような記述がある。

 送付先は、基本的に住民票の住所を市区町村から機構に登録し、転送不要として郵送するが、①東日本大震災による被災者でやむを得ず避難先で避難生活を送っており、当該避難先に住所を異動することができない者や、②DV等被害者で、やむを得ない事情により居所に住所を異動することができない者については、一定の配慮をし、居所(避難先)を登録してもらい、そこに送付することを予定している(別紙⑤参照)。

■送付先変更には、住所地の市区町村への申請書の提出が必要

 別紙の⑤「★住所地以外の居所に住む被災者、DV等被害者への通知カードの送付方法」は、「考え方」として、「DV等被害者の中には、住民票を置いたまま住所地以外の場所(避難先)に移動(避難)していて、通知カードが送付される時点では住所地において通知カードを受け取れないことも想定される」ので、「番号法施行日までに当該居所に住所を異動していただくことが基本」としつつも、「しかしながら、DV等被害者で、やむを得ない事情により居所に住所を異動することができない者、については、一定の配慮をし、居所(避難先)に送付することとする(居所を登録してもらう)。」としている(下図⑤―1)。

051
 居所情報の住所地市区町村への登録は「申請書(氏名、居所、やむを得ない事由等を記載)を住所地市区町村に郵送してもらう」ことで行い、「登録された居所情報をもとに、J-LISが居所に通知カードを送付する」としている(下図⑤―2)。
 また、例外として「住所地市区町村の役所・役場の所在地に一旦留め置き、住所地市区町村が本人に送付することも可」ともある。

052
 記事には、この場合の送付フローの図も掲載されている(下図⑤―5、6)。

055056

■「DV等被害者であることを証する書類」の提出が必要なのかは、はっきりせず

 これらの図で気になるのは、「①自ら居所情報を登録(申請書等を郵送)」のところに「※DV等被害者であることを証する書類の提出を求めてもよい」との文言があることだ。
 求めるかどうかの判断は、住所地市区町村に委ねられるという意味なのだろうか。ある市では必要ないとするが、別の市では必要だと、そういうことを国としては許容するということなのだろうか。

 とにかくよくわからないのだが、そもそも「DV等被害者であることを証する書類」とは如何なるものなのか。「DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?」で紹介した「住民基本台帳法上の支援措置」を求めるために必要とされる書類のことを指しているのだろうか。もし、そうなら「住民基本台帳法上の支援措置」を認められていない者は、居所への通知カードの送付の措置を受けられないことになってしまう。

 また、図にある登録に必要とされる「送付場所の確認のための資料」もどのようなものなのだろう。

■「7月以降に周知」とあるがもう下旬、間に合うのか

 図⑤―2には「趣旨、登録の方法、様式、時期などについて、国・都道府県・市区町村が協力して7月以降に周知(予定)」とあるものの現時点では、これらの資料や書類が何であるかは全くわからない。
 さらに言えば、「DV等被害者」の「等」にはどのようなものが含まれるのかも、この文書からは不明である。おそらくストーカーや児童虐待は含まれるのだろうが、闇金等から逃げている場合などは対象となるのか。わからないことだらけだ。

052_2

■個人番号カードの交付、DV等被害者への対応も予定

 なお、雑誌記事の別紙⑧―1「個人番号カードの申請・交付方式(案)」(下図)には、「③申請時来庁方式(被災者・DV等被害者対応)」も5つの方式のうちの1つとしてあげられており、「交付業務フロー」も掲載されている(下図⑧―4)。

081084
 この住民制度課課長補佐の記事から、政府の取組が少しは前進しているようには見える。しかし、もう7月下旬である。番号の通知カードが配られるまで2ヶ月少しだ。はたして、市町村の準備は整うのか、また、対象とする人たち、困っている人たちに情報は正しく届くのだろうか。

2015年7月17日 (金)

【続報】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?

  → 総務省が、DV被害者等への通知カードの送付先変更の案内ページを開設

■DV等の被害者への通知カード送付先変更 横浜市も案内

 当ブログの2015年7月11日付けの記事「DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?」にて、大阪市がDV被害者等は申出があれば通知カードの送付先を変更することが可能と市のウェブサイトで案内しているとしたが、横浜市も同様の案内を行っている。

「震災避難者、DV(配偶者暴力)・ストーカー・児童虐待で避難している人へ」
 (http://www.city.yokohama.lg.jp/shimin/madoguchi/koseki/tuuchitaiou.html

 大阪市と違い「受付の期間」に

 平成27年9月頃を予定しています。

  ※手続等の詳細は、国などから7月頃に示される予定です」と、また「申出の方法」に「手続等の詳細は、国などから7月頃に示される予定です。

と予定の期日が明示されている。
 また、「相談先」として

 ・市内に住んでいて、市内の別の場所に住民登録をしている人  → 居住区または住民登録をしている各区役所戸籍課へ

 ・市内に住んでいて、市外に住民登録をしている人  → 住民登録をしている市町村へ

としており大阪市より親切だ。

■他の市町村は?

 他の市町村はどうなのか。「通知カード 送付先 DV」でグーグル検索をしてみた。
 下記は、2015年7月17日に検索した際に表示された順による。また、これ以外にも案内している市町村はあると思われるが、検索結果の上位50件の中から該当するもののみ掲載した。

◎北九州市
 「マイナンバー(個人番号)の通知について」(http://www.city.kitakyushu.lg.jp/shimin/14900093.html)

 東日本大震災の被災者、DV・ストーカー・児童虐待の被害者などで、お住まいの居所に住民票を移せない事情がある方は、通知カードを実際にお住まいの居所に郵送することもできます。

 申請方法については、国の情報等を基に検討を進めているところです。詳細が分かり次第、ホームページに情報を掲載します。

◎つくば市
 「住所の届出は正しく行われていますか?」(http://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/14211/14650/018305.html)

 DV等被害者については,住民基本台帳法の支援措置を申し出ることにより,ご自身の住所が,DV等加害者による住民票の写しなどの請求を通じて,DV等加害者に知られることを防ぐ措置を取ることも可能となっていますので,お問い合わせください。

 また,やむを得ない事情(東日本大震災による被災者・DV等被害者)により住民票の住所でない場所にお住まいの場合,通知カードを受取るための登録を行う予定となっています。
 詳細が決定次第,広報等でお知らせする予定です。

◎加賀市
 「マイナンバー制度(通知カード・個人番号カード)」(http://www.city.kaga.ishikawa.jp/shiminseikatsu/madoguchi/mynumberseido.html)

◎「通知カード」は国から住民票の住所地に「世帯単位」で送付されます。
 住民票と異なるところに住んでいる方は、現在住んでいる市区町村に住民票を移してください。

 ※ただしDVなどのやむを得ない事情で住民票を移すことができない方はお問い合わせください。

◎尼崎市
 「マイナンバーの通知カードが、平成27年10月から住民票上の住所に送付されます」(http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/mynumber/33945/033963.html)

 住民票に登録されている住所が現住所と異なっていないかどうかご確認ください。
 (DV等の理由により、現住所が住民票に登録されている住所でない方への対応は後日お知らせします。)

◎気仙沼市
 「マイナンバー(個人番号)通知について」(http://www.city.kesennuma.lg.jp/www/contents/1433987149981/index.html)

 DV被害や東日本大震災等によりやむをえず仮住まいされている方については、8月以降、申請により、避難先への送付が可能となる予定ですので、別途ご相談ください。

◎高砂市
 「個人番号カード・通知カード」(http://www.city.takasago.hyogo.jp/sp/index.cfm/13,0,123,998,html)

 ※DVやストーカー行為等を理由に避難している方で、現在お住まいの居所が住民票に登録されていない方は、事前手続により、居所に通知カードを送付することができる場合がありますので、市民課へお問い合わせください。

◎大槌町
 「マイナンバー制度がはじまります!」(http://www.town.otsuchi.iwate.jp/docs/2015031000019/

 なお、東日本大震災で被災して避難されている方や、DV被害で避難されている方につきましては、別途特別な送付手続が用意される見込みですので、追ってホームページ、広報などでお知らせいたします。

◎高槻市
平成27年10月からマイナンバーが通知されます」(http://www.city.takatsuki.osaka.jp/kakuka/shimin/simin/gyomuannai/mynumber/1433898673151.html

 配偶者からの暴力等を理由に避難しているが、事情により住民票を移すことができていない方は、今実際にお住まいの住所を申し出ていただくことにより、その避難先の住所に「通知カード」を郵送できる場合があります。
 くわしくは、市民課マイナンバープロジェクトチーム(電話:072-674-7067)までお問合せください。

◎斑鳩町
「マイナンバーの通知に関するお知らせ」(http://www.town.ikaruga.nara.jp/si/category_132/item_1149.html

※配偶者からの暴力(DV)等を理由に、住民票を移さずに現在の市町村にお住まいの方は、
 通知先を変更することができますので、現在お住まいの市町村にご相談ください。

【続々】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?

2015年7月11日 (土)

DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?

     簡単に言うと

  • 大阪市が、DV・ストーカー・児童虐待等の被害者で、マイナンバーの通知カードが送付されることで、新たな被害が発生する可能性がある人について、申出があれば送付先を変更することが可能とTwitterやウェブサイトで広報。
  • ただし、送付先を変更できるのはDV、ストーカー、児童虐待等で住民基本台帳法上の支援措置を受けている人だけ。支援措置を受けていない人については現時点では未定、「国から詳細が示され次第お知らせいたします」とあるのみ。また、DV等以外の理由では送付先は変更できないと案内。
  • こうした対応しかできないのは、マイナンバー制度が法定受託事務のため。国が措置を示さなければ、市町村は何も出来ない。
     
  • 【続報】はこちら

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

  → 総務省が、DV被害者等への通知カードの送付先変更の案内ページを開設

 2015年7月10日15時47分、大阪市広報(公式)アカウントから「マイナンバー制度の導入に伴い、住民票記載の住所へ通知カードが送付されます。DV(配偶者暴力)等の被害者で、通知カードが送付されることで、新たな被害が発生する可能性がある方は、申出いただくことにより送付先を変更することが可能です。
http://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000313940.html …」とのツイートがなされた。

 ツイートで紹介されたリンク先は大阪市のWebサイトにある「震災避難者、DV(配偶者暴力)・ストーカー・児童虐待等で避難されている方へ」と題されたページ(http://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000313940.html)だ。

■DV等の被害者、通知カードの送付先変更が可能に

 筆者である黒田は、2015年3月29日付けのブログ「住民票を移せない人たちを切り捨てるマイナンバーの政府広報」、及び、同31日付けのブログ「住民票を移せずマイナンバーが届かない人はどうなる」において、DVなどから逃げているため住所地に住民票を移していない、移すことが出来ない人には、マイナンバーの通知が届かず、自分の番号を知ることが出来ない、また、DVの加害者に番号が知られてしまうことになると問題点を指摘したが、大阪市のページはこうした問題に対する対応策のようだ。

 大阪市のページにはこう書かれている

 通知カードは皆様へ確実に届けられるように、住民票に記載されている住所と異なる住所に住んでいる方は、区役所に住所変更を届け出ていただくことが基本となります。

 ただし、震災避難者、DV(配偶者暴力)・ストーカー・児童虐待等の被害者で、住民票に記載されている住所に通知カードが送付されることで、新たな被害が発生する可能性がある方については、申出いただくことにより通知カードの送付先を変更することが可能です。申出の期間や方法等の詳細については、現時点では未定です。今後、国から示され次第お知らせします。

 肝心の「申出の期間や方法等の詳細」が、通知までもう3ヶ月ほどしか残っていないのに、「未定」には、正直がっかりさせられるが、それでも国が対策をとろうとしているのは歓迎できる。

■送付先変更は「住民基本台帳法上の支援措置」を受けている者だけ

 しかし、「良かった」と喜ぶのは性急過ぎる。問題は誰が対象なのかだ。

2 対象となる方

 大阪市に住民登録がある方で次のいずれかに該当する方

 ・震災避難者
 ・DV(配偶者暴力)、ストーカー、児童虐待等で住民基本台帳法上の支援措置を受けている方のうち、住民票の住所に通知カードを送付することで、新たな被害が発生する可能性がある方

とある。
 DV等については、「住民基本台帳法上の支援措置」を受けている者に限定されているのだ。

 「住民基本台帳法上の支援措置」とは、総務省の「住民基本台帳事務処理要領」によれば、市町村長が「ドメスティック・バイオレンス及びストーカー行為等の加害者が、住民基本台帳の一部の写しの閲覧及び住民票の写し等の交付並びに戸籍の附票の写しの交付の制度を不当に利用してそれらの行為の被害者の住所を探索することを防止し、もって被害者の保護を図ることを目的」として、閲覧や写しの交付などを制限する措置である。

■「住民基本台帳法上の支援措置」とは何か

 大阪市のサイトには、このための手続きについて書いてあるページが見つからなかったが、宇都宮市のウェブサイトに説明文書(PDF)(http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/002/777/siennsotisetumei.pdf)があったので、そちらから一部を抜粋する。

申請できる人

原則として被害者本人

・配偶者暴力防止法第1条第1項に規定する配偶者からの暴力の被害者
・ストーカー規制法第7条に規定するストーカー行為等の被害者
・児童虐待防止法第2条に規定する被害者
・上記に準ずる被害者(子・兄弟などの親族,その他の者からの被害)

支援期間

申請翌日から1年間(延長可) ※期限が切れる前に通知いたします。

手続に必要なもの

・住民基本台帳事務における支援措置申出書「別紙」
・本人確認書類(運転免許証,住民基本台帳カード 等)

「住民基本台帳法上の支援措置」の手続きの流れ

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 要するに、こうした申請手続きをし「住民基本台帳法上の支援措置」が認められた者についてのみ「申出いただくことにより(通知カードの)送付先を変更することが可能」ということなのだ。

■「住民基本台帳法上の支援措置」を受けていない人への対策はまだ「白紙」?

 では、DV等を受けているが、申請していない者や申請することが困難な者、申請したがまだ認められていない者はどうなるのか。

 大阪市のページには

※ また、DV(配偶者暴力)、ストーカー、児童虐待等被害者で住民基本台帳法上の支援措置をまだ申し出てはいないが、住民票に記載されている住所に通知カードを送付すると新たな被害が発生する可能性がある方への対応についても、現時点では未定ですので、国から詳細が示され次第お知らせいたします。

とある。
 もうすぐ通知が始まるというのに、まだ未定なのだ。加害者に通知が届くことによって、また、被害者に通知が届かないことによって、基本的人権が侵害される可能性は大きいのに、こんな有様なのだ。

 それでも「国から詳細が示され次第」とあるから、待っていれば国から詳細が示されると期待していいのだろうか。色々考えましたがとれる措置はありませんとして、切り捨ててしまうことはないのだろうか。

■震災避難者やDV等の被害者でなければ、送付先の変更は出来ない

 ところで、住民票を住所地に移せない人は、震災避難者やDV等の被害者以外にもいる。借金取りから逃げているなど様々な理由があるだろう。しかし、こうした人たちへの対応は示されておらず、この大阪市のページの下の方にある「よくある質問(FAQ)」には次の様に冷たく書かれているだけである。

Q DV・ストーカー・児童虐待等の被害者以外の理由で通知カードの送付先は変更できますか。

A DV・ストーカー・児童虐待等の被害者以外の理由では、通知カードの送付先の変更はできません

 もちろん、こうした「冷たい対応」は大阪市の責任ではない。マイナンバー制度に係わる事務は法定受託事務であり、市町村が独自に対応する余地はほとんどないのだ。国が措置を示さなければ、いくら大阪市や大阪市の職員が、市民のために何とかしたいと思ってもでどうすることも出来ないのだ。

【続報】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?

【続々】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?

2015年4月 4日 (土)

50万人近い住民登録のない国民にはマイナンバーは付番されず、通知カードも届かない

■住民登録がなければマイナンバーは付番されない

 今年の10月から、いよいよマイナンバーを通知する通知カードが住民登録のある国民と在留外国人に送られてくる。しかし、このままでは通知カードが届かない人が多数生まれそうだ。
 なぜ届かないのか。原因は主に2つある。

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 一つは「住民票を移せずマイナンバーが届かない人はどうなる」で指摘したように、住んでいるところと住民登録(住民票)の住所が異なっていることによるものだ。この場合、マイナンバーは付番されてはいるのだが、本人には通知が届かず自分の番号がわからない。

 もう一つは、そもそも住民登録がないためである。マイナンバーは住民登録がある者に付番するのだから、住民登録がなければ付番されない。
 ではどのような場合に住民登録のない人が生まれるのだろうか、またそうした人は何人ぐらいいるのだろうか――なお、ここでは話をわかりやすくするために戸籍登録のある日本国民に限って話を進める(在留外国人の抱える問題については後日、別途論じたい)。

■住民登録を残したまま消える人たち――DVや借金から逃れるため?

 子どもが生まれると、出生届を市町村に出すことで、住民基本台帳法に基づき住所地のある市町村に住民登録がなされる。その後、転居や転出入で住所地を変更した場合など登録内容に異動があった場合は、同法に基づき、住所地のある市町村に転居届や転出・転入届などを出すことで、住民登録は常に正しく維持される。
 一方、住民基本台帳法は、市町村長に住民登録を正確にするよう義務付けており、登録住所地の実態調査をしたところ居住の事実が認められなければ、職権で住民登録を削除することになる。職権削除されれば戸籍登録があるにもかかわらず住民登録がない国民となってしまう。

 実態調査以外にも削除されるケースがある。一つは親族や同居人からの申出である。例えば、「息子が黙って家出をしてしまった。今はどこに住んでいるのかわからない。住民登録を消して欲しい」といった場合だ。こうした申出があれば実態調査をし、事実であれば市町村長は職権で住民登録を削除する。同様のケースとしては、近所の人や、借家の貸主からの「○○はもう住んでいない」との通報によるものもあるだろう。
 また、転出届が出ているが、その後、どこの市町村からも転入通知が届かなければ、転出元の市町村長は、住民登録を職権でやはり削除することになる。

 なお、職権で削除されても、現に住んでいる住所地の市町村へ正しく届出をすれば住民票は再び作られる。

 住民登録を残したままいなくなる理由は、同居家族によるDVや借金の取り立てからの逃避など様々なことが考えられる。追跡を逃れるため移り住んだ先では住民登録をせず、偽名で暮らしたり、ホームレスやネットカフェ難民になっている場合もあるだろう。

■毎年数万人の住民登録が消されている

 全国的な統計は見当たらないので実際に職権消除がどの程度行われているのかはわからない。ウェブサイトで職権消除の数字を公表している自治体がいくつかあるので大胆に推計してみることにする。

 大阪府泉南市では2013年4月~2014年3月の1年間で28人が職権削除されている(ただし、この数字には外国人住民も含まれる)。2014年3月の同市の住民基本台帳人口は64,278人であるから、0.044%の住民が住民登録を職権削除されたことになる。
 一方、福岡県春日市では、同期間に100人が職権削除されている(こちらは日本人のみの数字)。これは同市の住民基本台帳人口の0.090%にあたる。
 また、埼玉県草加市は2015年1月~12月の1年間に428人を職権削除(外国人含む)しており、これは同じく同市の人口の0.175%に相当する。

 これら3つの数字だけでの推計には無理があるが、日本の人口を1億3,000万人とすれば、計算上はおおよそ5万~22万人程度が職権消除されていることになる。
 おそらく高齢化の進む農村部では職権消除の率はこれほど高くはないとは思われるが、それでも全国で見れば毎年少なくとも数万人程度が住民登録を失っていることは間違いないであろう。

■「戸籍はあるが住民登録がない人」の人数を示す統計は見当たらず

 では、戸籍登録があり、日本国内に住んでいるにもかかわらず住民登録のない人は何人ぐらいいるのだろうか。残念ながら公的機関による統計は見当たらないので、以下推計することにする。

 まず、戸籍登録の人口は、「戸籍統計」によれば、2014年1月1日現在で128,254,692人である。
 戸籍を残したまま、要するに日本国籍のまま外国に1年以上住む場合は国外への転出届を出すことにより、住民登録は削除されなくなる。「海外在留邦人数調査統計」によれば2013年10月1日現在の海外在留日本人のうち永住者は411,859人、一方、長期滞在者(3か月以上の海外在留者のうち、海外での生活は一時的なもので、いずれわが帰国するつもりの日本人)は839,516人である。長期滞在者のうち半数が海外への転出届を出し住民登録がなくなっていると仮定すると海外在留により住民登録がない者は831,617人となる。
 そして、住民登録をしている人口である住民基本台帳人口は「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」によれば2014年1月1日現在で126,434,964人(外国人を除く)である。

 よって、戸籍登録があり、日本国内に住んでいるにもかかわらず住民登録のない人の数は、戸籍登録人口(約12,825万人)から、海外在留により住民登録がない者の人口(約83万人)と住民基本台帳人口(約12,643万人)を引いた数となり、計算してみると――基準日の違いなど不正確な面はあるが――およそ99万人となる。

■50万人と推計 戸籍はあるが住民登録がない人たち

 もちろんこの99万人の中には、身元不明の死者、いわゆる行旅死亡人として処理されたことなどにより、実際には亡くなっているにもかかわらず死亡届が出されず戸籍だけが残っている人もいるだろう。そうした人は99万人のうちの何割程度だろう。
 大胆に推し量って、例えば半分が既に亡くなっているとしても、50万人近い国民が戸籍登録があり日本国内に住んでいるにもかかわらず住民登録がないことになる。およそ国民260人に1人、人口10万人の市ならば380人だ(実際には農村部に少なく、東京や大阪などの大都市に多いだろう)。
 戸籍登録があるにもかかわらず住民登録のない人が国内に50万人近くいるという数字は、先に毎年少なくとも数万人程度が1年間に職権消除により住民登録を失っているとの大胆な推計結果から見ても大きくは外れていないだろう。

■マイナンバーがなければ、社会保障、雇用から排除される可能性も

 こうした戸籍登録があり日本国内に住んでいるにもかかわらず住民登録のない人たちには、マイナンバーは付番されないし、もちろん告知カードも届かない。
 マイナンバーがなければどうなるのか。マイナンバーの提示を求められる社会保障の手続きも、税の申告もできず、預貯金さえ困難になるだろう。さらには雇用先にマイナンバーを届けることもできず、最悪、解雇されるかも知れないし、番号を告げられない理由を隠す(雇用主に知られれば例えばDV夫に居場所が漏れるかも知れない・・・)ために自ら退職を願い出ることもあるだろう。

 政府がすべきなのは「マイナンバーの通知を受けるために住民票を移せ」とする無責任な広報をテレビや新聞折り込みで繰り返すのではなではなく、「DVなどやむを得ない事情により、住んでいるところに住民登録をしていない人は、マイナンバーの通知を届けることができません。相談窓口までご連絡ください」と知らせることではないだろうか。
 政府が「住所地に住民票は当たり前、届かないのは自己責任」を前提に事を進めるならば、住民登録のない数十万人を超える人たちが社会保障や雇用から排除されてしまうことになる。これにさらにマイナンバーがあるが通知が届いていない人たちも加わる。
 こうした多数の人たちを排除すれば、日本の社会は崩壊してしまうかも知れない。

2015年3月31日 (火)

住民票を移せずマイナンバーが届かない人はどうなる ――社会保障、雇用から排除される可能性

■マイナンバーの通知は住民票の住所に世帯でまとめて送られる

 マイナンバーの通知は、住民登録を行っているすべての国民と外国人に10月から通知カードによって行われる。通知カードは紙製で、世帯単位、すなわち住民登録の世帯を一つにまとめて、簡易書留で送られるようだ。

Tuchicard_1022 先のブログ「住民票を移せない人たちを切り捨てるマイナンバーの政府広報」(2015年3月29日)の末尾に「マイナンバーの通知で問題になるのは、通知が住民登録地に届くと、DVの加害者に被害者のマイナンバーが知られてしまうことである」と書いた。
 この件についてもう少し考えてみることにしたいと思うが、まず、今住んでいるところに住民登録を移動させることが出来ないDVの被害者にマイナンバーの通知が届かないとどうなるかを想像してみよう。

■雇用主にマイナンバーを告げなければならないが・・・

 内閣官房の社会保障・税番号制度の「よくある質問(FAQ)」にはこうある。

Q1-4 マイナンバー(個人番号)は、誰がどのような場面で使うのですか?

A1-4 国の行政機関や地方公共団体などにおいて、マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の分野で利用されることとなります。
 このため、国民の皆様には、年金・雇用保険・医療保険の手続、生活保護・児童手当その他福祉の給付、確定申告などの税の手続などで、申請書等にマイナンバーの記載を求められることとなります。
 また、税や社会保険の手続きにおいては、事業主や証券会社、保険会社などが個人に代わって手続きを行うこととされている場合もあります。このため、勤務先や証券会社、保険会社などの金融機関にもマイナンバーの提出を求められる場合があります。

 ようするに、自分のマイナンバーを知らなければ、社会保障の手続ができず、税の申告もできず、預貯金さえ困難になるのだ。特に忽ち起きる深刻な問題は、雇用先へのマイナンバーの告知であろう。

■DVを理由に告げなくても済むことにはならないだろう

 マイナンバーの利用が始まった2016年初頭のある日、雇用主から「税金と社会保険の事務に必要だからあなたとあなたの扶養家族のマイナンバーを教えて」と言われる。その時どうするか。「夫のDVから逃げていて、住民登録が今住んでいるところに移していないのです。だからわかりません」と言えるだろうか。
 もし勇気を出してそう言ったとしても、雇用主は「そうですか。では知らせなくても結構です」とは応じられない。雇用主は、税務()や社会保障の書類に従業員と扶養家族のマイナンバーを書くことが法で求められているからだ。

 マイナンバーを告げなければ、最悪、解雇もあり得るだろうし、番号を告げられない理由を隠す(雇用主に知られればDV夫に居場所が漏れるかも知れない・・・)ために自ら退職を願い出ることもあるだろう。

 住基ネットの住民票コードのように「通知が届かなくてもまあ良いか」とは決してならないのだ。

■「住民票を移せ」の無責任な政府広報ではなく

 もちろん通知カードが届かなくても、自分のマイナンバーを知る方法はある。一番簡単なのは住民登録のある市(町村)の市役所(役場)へ出向いて、マイナンバーの記載された住民票の写しの交付を受けることだ。
 しかし、これとてDVから逃げている人にとってはむずかしい話だ。たまたまDVの加害者が市役所に来ていたらどうしよう、知り合いに会ったらどうしよう、ひょっとすると夫が見張っているかも知れない・・・となるであろう。

 先日のブログ記事「住民票を移せない人たちを切り捨てるマイナンバーの政府広報」の繰り返しになるが、政府がすべきなのは「マイナンバーの通知を受けるために住民票を移せ」とする無責任な広報ではなく、「DVなどやむを得ない事情により住所地に住民票を移していない、移すことが出来ない人は、マイナンバーの通知を届けることができませんので、相談窓口までご連絡ください」ではないだろうか。
 もちろんその前提として政府が責任を持って、相談窓口の設置(市町村単位など)を含む具体的な対応策をとることが必要なのは言うまでもないことである。

■住所地に住民票を移せない人はDV被害者だけではない

 なお、ここではわかりやすいようにDVを例に出したが、他にも様々理由で住んでいるところに住民票を移せない人がたくさんいるであろう。例えば、親と折り合いが悪く家を飛び出した子ども、そしてその逆パターン。まち金などから逃げている人もいるだろう。
 また、居住の実態がないとして、市町村長の職権により住民登録が抹消されてしまっている人もいるだろう。当然、住民登録のない人には、どこからもマイナンバーの通知は届かない。

 「住所地に住民票は当たり前、届かないのは自己責任」を前提に事を進めるならば、たくさんの人たちが社会保障や雇用から排除されてしまうことになるだろう。

 給与から源泉徴収された所得税の納税地は、雇用主(源泉徴収義務者)の事業所の所在地であって、従業員の住所地ではない。このため現時点では住所地と住民登録の住所が異なっていても、所得税の納付という点では何ら問題ない。市町村の住民税については、実際に生活している市町村に納めることになっているので、現時点では住所地と住民登録の住所が異なっていても住民税の納付という点ではこちらも問題はない。

関連記事 

 → 「DV等の被害者、申出すれば通知カードの送付先変更が可能に? 

 → 「【続報】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?

 → 「【続々】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?

 → 【速報】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能になりました

 → 総務省が、DV被害者等への通知カードの送付先変更の案内ページを開設

2015年3月29日 (日)

住民票を移せない人たちを切り捨てるマイナンバーの政府広報

 DV被害者の52.6%が「住所を知られないようにするため住民票を移せない」と回答。にもかかわらず住民票の異動を広報やテレビCMで脳天気に呼びかける無慈悲な政府のお話し

■マイナンバーCMの「住民票の確認」は、「住所地に住民票を移せ」ということ?

 上戸彩さんが出演するマイナンバーのテレビCMが3月9日から連日流されている。CMは「マイナンバー知ってる?編」と「マイナンバー住民票編」の2種類があるようだ。
 「住民票編」のCMでは「住民票の住所に届くから、住民票ちゃんと確認しとこ」と上戸さんに言わせているのだが、「住民票の確認」とは具体的にどういうことなのだろう。何をしろと政府は国民に求めているのか。

 CMではわからなかったこの謎が今日(3月29日)新聞各紙に折り込まれた「マイナンバー」の政府広報で判明した。

 A3版で4頁だてのカラー印刷というご大層な広報の表紙に「※マイナンバーの通知は、住民票の住所に送られます。(住民票の住所と異なるところにお住まいの方は、お住まいの市町村に住民票を移してください。)」とある。どうやら「住民票の確認」とは、住所地に住民票を移せということだったようだ。

20150329

■住所地に住民票を移せない人たち ――DV夫に住所を知られたくない

 住所地に住民票は当たり前のことであり何を今さらと思う人もいるかも知れない。しかし、現実には、本当に住んでいる所と住民登録の住所が異なっている人が多数いる。例えば、配偶者によるDVを逃れるために飛び出したが、移り住んだ場所を配偶者に知られると追いかけてくるのではないかと恐れ、住民登録を移動させていない、移動させることが出来ないケースがある。

 内閣府が「配偶者等から暴力を受けた者で、現在自立して生活している者、又は自立に向けて生活している者」を対象に2006年に「配偶者からの暴力の被害者の自立支援等に関する調査」を行っている。これによれば「あなたが相手と離れて生活を始めるにあたって、どのようなことに困りましたか。(複数回答)」の質問に対して、52.6%の人が「住所を知られないようにするため住民票を移せない」と答えている。

201503292

 こうした現実があるにもかかわらず、マイナンバーの通知を受けるために住民票を移せと一方的に広報するのはあまりにもまずいのではないか。因みに、この調査も、マイナンバーの政府広報も所管は同じ内閣府である。

■政府の「DV対策方針」は、住民票を移せない人がいることが前提

 ところで政府は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」第2条の2に基づき「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等のための施策に関する基本的な方針」(PDF)(内閣府、国家公安委員会、法務省、厚生労働省)を2013年に策定している)。
 そこには次のような記述がある。長くなるが紹介する(赤色強調は引用者)。

7 被害者の自立の支援
(8)子どもの就学・保育等
ア 就学
 子どもの就学については、様々な事情によって住民票の記載がなされていない場合であっても、その子どもが住所を有することに基づいて就学を認める扱いがなされている。また、転出先の学校においては、被害者等の安全を確保するために情報提供の制限が必要な場合においては、転出元の学校へは転出の事実のみを知らせるなどの対応も考えられる。これらのことを踏まえ、支援センターにおいては、被害者等の安全の確保を図りつつ、子どもの教育を受ける権利が保障されるよう、教育委員会、学校と連絡を取るとともに、被害者に対し、必要な情報提供を行うことが必要である。

イ 保育
(ア)保育所への入所
 (引用者略)
 国においては、市町村に対し、保育所へ入所する子どもを選考する場合においては、母子家庭等の子どもについて、保育所入所の必要性が高いものとして優先的に取り扱う特別の配慮を引き続き求めるよう努める。また、保護者が求職中であっても保育所への申込みが可能であること、戸籍及び住民票に記載がない子どもであっても、居住している市町村において保育所への入所の申込みが可能であること、並びに被害者が加害者の元から避難したことにより世帯の負担能力に著しい変動が生じ、費用負担が困難と認められる場合には、その個々の家計の収入の実態を踏まえた適切な保育料が徴収されるようにすることについても、市町村に対し周知徹底に努める。

 (引用者略)

エ 予防接種等
 支援センターは、子どもとともに遠隔地で生活する被害者について、住民票の記載がなされていない場合であっても、居住していることが明らかであれば、滞在先の市町村において予防接種法(昭和23年法律第68号)に基づく定期の予防接種や母子保健法(昭和40 年法律第141号)に基づく健診が受けられることについて、事案に応じた情報提供等を行うことが必要である。
 国においては、こうした支援が適切に行われるよう、市町村等関係機関に対する周知に努める。

(9)その他配偶者暴力相談支援センターの取組
 (引用者略)
 また、住民票の記載がなされていない場合であっても、介護保険法(平成9年法律第123号)に基づく要介護認定等を受けて、施設介護サービス費の支給等の介護給付等を受けることが可能であることや、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)に基づく施設入所支援等についても同様に、支給決定を受けることが可能であることについて、事案に応じた情報提供等を行うことが必要である。
 なお、住民票を移していない場合等の一般旅券の発給に関しては、各都道府県の一般旅券申請窓口に相談するよう、事案に応じた情報提供等を行うことが必要である。

としている。
 すなわち、DVにより住所地に住民票を移せない人がいることを前提に、どう支援していくかが具体的に考えられ政府として方針化しているのである。

■市町村も住民票を移せないDV被害者を支援

 方針は、また「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」第2条の3第1項に基づく基本計画の策定を地方自治体に要請している(都道府県はすべて策定済み)。
 こうした要請に応え、例えば兵庫県の尼崎市では「配偶者等からの暴力(DV)対策基本計画」が2012年に策定されている。そこにもDVにより住所地に住民票を移せない人がいることを前提に次の様に書かれている。

5 施策の展開
基本目標3 自立・生活再建の支援
方針4 子どもへの支援
現状と課題
 (引用者略)
 また、子どもの就学に関しては、被害者が住民票を異動していない場合でも区域外就学手続を行うとともに、転学先や居住地等の情報管理について配慮をしている。保育所入所に関しても、市外に住民票がある被害者でも市内居住者と同様の取扱いとし、情報管理について配慮をしている。

今後の取組み
施策の方向1 就学等における支援と配慮等
住民票を異動していない被害者の就学手続について、引き続き対応する。保育所入所手続についても、市内在住とみなして申請を受け付ける。
・子どもの転居先や居住地等の情報管理について、学校、幼稚園、保育所への周知を徹底する。

■にもかかわらず「住民票を移せ」の脳天気な政府広報

 このような施策を展開している政府がマイナンバーの導入にあたってすべきなのは、CMや新聞折り込みで「マイナンバーの通知を受けるために住民票を移せ」と脳天気に繰り返すことではないだろう。
 「DVなどやむを得ない事情により住所地に住民票を移していない、移すことが出来ない人は、マイナンバーの通知を届けることができませんので、相談窓口までご連絡ください」ではないだろうか。もちろんその前提として政府が責任を持って、相談窓口の設置(市町村単位など)を含む具体的な対応策をとることが必要なのは言うまでもない。

■マイナンバー通知がDV夫に届く恐怖

 また、もう一点、マイナンバーの通知で問題になるのは、通知が住民登録地に届くと、DVの加害者に被害者のマイナンバーが知られてしまうことである。政府広報が「マイナンバーは一生使うもの。大切にね!」と呼びかけていることからも、マイナンバーが知られることによって、あらたなる被害が生じることは容易に想像できる。またそうした想像から恐怖にかられている被害者も多いのではないだろうか。
 だからこそ、「マイナンバーの通知を受けるために住民票を移せ」などと無責任に広報するのではなく、政府は具体的な対応策を国民にわかりやすく、かつ早急に示すべきであろう。

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