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カテゴリー「ニュース」の記事

2016年9月 1日 (木)

「J-LISが富士通に損害賠償を請求する」との「赤旗」記事に載せられた私のコメント

 2016年8月30日付けの「赤旗」に、マイナンバーカードの交付遅れについて地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が富士通に損害賠償を請求するとの記事が掲載されました。

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 記事には、私のコメントも載っていますので、その部分について以下の通り転載します。

運用中止し再検討を

 機構が賠償を求めるのは当然ですが、最終的な管理責任は国であり、総務省です。しかし、この間の総務省は他人事のような対応に終始しています。
 機構は、国、自治体から多額の税金が投入され、しかも国民の膨大な個人情報を扱っています。そんな組織でありながら、情報公開法の対象になっておらず、どんな事業にいくら使い、どこに発注しているのかなど、経営の中身を国民が知る手段がほとんどありません。この不透明性も問題です。
安倍政権は20年の東京オリンピックに間に合わせようと、スケジュールありきで制度を推し進めています。
個人番号カードでいえば2018年度までに8700万枚を普及させるというものです。しかし、今回のトラブルで明らかなように、実現できるレベルにないのが現状です。スケジュールに合わせるために、税金の追加投入や費用の増大などあってはなりません。
 政府は、マイナンバーで〝絵に描いたモチ〟を「あれもこれも」と出しています。しかし費用的にも技術的にも可能なのか、実証されないまま、多額の支出が行われてきました。そして今回のような結果となりました。
 こういう事態がなぜ起きたのか、政府による客観的な検証が不可欠です。いったん運用を中止し、この制度が本当に必要なのか再検討すべきです。

コメント後の付け足し

 賠償請求をするのですから、J-LISは富士通への発注を、少なくとも賠償が行われるまで、マイナンバー制度に関わるものも含めすべてやめるべきでしょうね。

 もちろん被害を被っているのは、J-LISだけではありません。全国の市区町村もです。関係者のみなさんは、市町村とJ-LISとの契約がどうなっているかを調べ、賠償請求できるか検討することが必要でしょうね。それから富士通に問題ありと判断したなら出入り差し止めも。

 もっとも富士通抜きでは、マイナンバー制度の構築も維持も困難でしょうし、全国の自治体も既存の業務含め支障が出るかも知れません。しかし、ここは思い切ってお灸をすえないと・・・・・・無理かなぁ

2016年4月11日 (月)

マイナンバーで海外資産の把握はやはり困難 -パナマ文書で首相が辞任したアイスランドにも番号制度はあった!

 アイスランドでは、パナマ文書により、グンロイグソン首相がタックスヘイブン(租税回避地)で巨額投資を行っていたことが発覚し、辞任に追い込まれました。

アイスランド首相が辞意を表明 『パナマ文書』で初の首脳辞任」(ハフィントンポスト)

 グンロイグソン氏は、妻と共同で2007年にイギリス領バージン諸島に会社を設立。アイスランドの大手銀行3行に投資していた。その後、2008年のリーマン・ショックで3銀行が破綻。グンロイグソン氏は2009年に国会議員に当選したが、自身の会社の持ち分を、妻に1ドルで譲渡していたが、保有資産として申告していなかったことが、この文書をもとにした報道で明らかになった。

アイスランド首相が正式辞任」(日経新聞 2016/4/8) 

 ・・・引用者略・・・

 グンロイグソン氏は英領バージン諸島に会社を設立し、巨額の投資を行っていた疑いが浮上。金融危機で痛手を負ったアイスランドの国民らが「財産隠しだ」と激しく反発し、辞任に追い込まれた。

 ところで、アイスランドには Kennitala という国民総背番号( Personal identification number )があり、納税者番号としても使われているようです。
 この番号制度があったにもかかわらず首相は、国民に知られることもなくタックスヘイブンに巨額の資産を置くことができたようです。

 日本の国税庁や麻生財務相が認めているように、マイナンバーのような番号制度で海外資産を把握することはやはり困難なようですね。

 こちらは、ネット検索で見つけた The Multicultural Centre の Kennitala の案内ページ。

Personal identification number (ID No.) | Identification Number | Administration | English | Fjolmenningarsetur

463

In a matter of speaking, the identification number is the key to the Icelandic society.

It is necessary to have been issued an identification number in order to register legal residence in Iceland, to get a tax card, open a bank account and to apply for a home telephone and internet connection.

 Kennitala は、住所登録をし、税カードの取得、銀行口座の開設、自宅への電話やインターネットの引き込みに必要なようです。

 こちらは OECD のサイトにある Kennitala に関するページ(PDF)

464

The Icelandic Identification Number (kennitala) is used as a TIN in Iceland. This number is a unique number issued to both individuals and entities.

・・・・・・・・・・・・

TINs are used for all taxes in Iceland.

と書かれています。TIN は Tax Identification Number いわゆる納税者番号のことですね。これがすべての「税」で使われていると。

 この情報が掲載されているのは OECD の Tax identification numbers (TINs) のページです。OECD 各国の納税者番号に関する情報が掲載されていて面白いですね(Russian Federation など情報の掲載されていない国も多いですが)。
 Japan (PDF)は、もちろん My Number です。当たり前ですが OECD はマイナンバーを納税者番号と認知しているのです。

 なお、Wikipedia によると Kennitala は1983年からあるもので、国民番号制度としては3代目のようです。初代の Birth number は1953年にスタートしたと書かれています。

 現行の番号制度さえ30年以上前から始まっているにもかかわらず、1975年生まれのグンロイグソン首相の海外資産は把握できていなかったようです。
 もっともアイスランドの国税当局は知っていたが、国民は知らなかったという可能性もあります。しかし、冒頭のハフィントンポストの記事では「保有資産として申告していなかった」とありますから、やはり国税当局は、本人から申告されていなかったので、番号制度があってもわからなかったのでしょう。
 

2016年2月23日 (火)

福田内閣府大臣補佐官、マイナンバーの入ったTシャツを着る発言、マイナンバー法に違反する恐れがあるとして、5ヶ月以上かかってようやく撤回

 番号はただの『名前』。私が『福田峰之』と知られて、まずいことは何もないということと同じだ。私は自分の番号が入ったTシャツを作ろうと思っている。番号を知られても問題がないということを、自ら実践する」と、 「週刊エコノミスト」の2015年9月15日号のインタビュー記事で発言されていた福田峰男・内閣府大臣補佐官は、この度、発言を撤回されたようです。

 ※参考 発言に関するブログ記事「自分のマイナンバーが入ったTシャツを作ろうと言う内閣府大臣補佐官、番号法に抵触しないのか」(2015/10/13)

 発言を撤回するとの福田氏の言が掲載されているのは、ネットニュースの「政治山」(2016年2月23日付け)の記事「マイナンバーカード申請4月までに1000万枚超へ―福田峰之衆議インタビュー」。その部分を抜き出すと・・・

福田氏  自分の番号が入ったTシャツを実際作っていないし、これから作って、着る予定もありません。仮に、自分の番号が入ったTシャツを着て公衆の面前に出ていった場合は、マイナンバー法第19条の提供制限に違反する恐れがあります。この部分の発言については、比喩的な表現としても適切ではなかったと考えています。誤解を与え、多くの皆さんにご迷惑をかけたことをお詫びして、この機会に発言を撤回させていただきます。

 発言が雑誌に掲載されてから5ヶ月以上経過した時点での発言撤回。なぜ、こんなに時間がかかったのでしょう。マイナンバー法(番号法)の第19条に違反するおそれがあると認識するまでに、時間がかかったということなのでしょうか。私には理解できません。

2015年10月13日 (火)

自分のマイナンバーが入ったTシャツを作ろうと言う内閣府大臣補佐官、番号法に抵触しないのか

193 内閣府大臣補佐官の福田峰之氏の「私は自分の番号が入ったTシャツを作ろうと思っている」発言、大騒ぎになるだろうとと思っていたのですが、全然話題になってません。
 このまま済ませて良いはずはないと考え記事にしました。

 「週刊エコノミスト」の2015年9月15日号は、「マイナンバーがやって来る」と題した特集記事を掲載しました。編集部による「基礎知識Q&A」なとどもに、福田補佐官へのインタビュー記事も載っています。冒頭の発言は、その中で述べたものです。

 インタビュー記事のリード文に「内閣府の実務担当者、福田峰之氏に聞いた」とあるように、福田氏は、マイナンバーの責任者の1人として活躍されており、最近は、特に「マイナちゃん」とともに国民への広報に力を入れておられます。

 インタビューは、「どこまでセキュリティーを高めなければならないのか」という民間利用者の疑問があるとする聞き手の疑問に、福田補佐官が答えたものとなっています。

■「番号を知られても問題がない」を自ら実践するために、番号入りTシャツを作るという福田氏はマイナンバー担当相の補佐官

 インタビューは、「マイナンバーを所管する甘利明・社会保障と税の一体改革担当相の補佐官として、制度全体の進捗状況を管理している」との自己紹介から始まり、セキュリティーに関わって「便乗商売が横行しているのは事実。それはやめてもらいたい。法律的にも、それほど大変な準備を求めていない」と述べています。

 そのあと、話はやや脱線(?)していきます。
 福田補佐官は「目指している世界観を一言で表現すると『カード1枚で生活できる』だ。財布にカードが何十枚も入っている人がいるが、私がやっている仕事は、それを1枚にすることだ」、「(マイナンバーのカードを)仮に落としても暗証番号が分からなければ、拾った人は何も出来ない」と。そして

・・・番号はただの「名前」。私が「福田峰之」と知られて、まずいことは何もないということと同じだ。私は自分の番号が入ったTシャツを作ろうと思っている。番号を知られても問題がないということを、自ら実践する。

としています。

■内閣官房のQ&Aは「むやみにマイナンバーを他人に教えないようにしてください」

 ここまで読んで驚かれた人も多いと思います。マイナンバーの個人番号は、「他人に見せないように」ではなかったのかと。
 そこで、あらためて内閣官房のWebサイト「マイナンバー 社会保障・税番号制度」を見てみることにしましょう。

 「Q&A (5)個人情報の保護に関する質問」には

Q5-8 自分のマイナンバー(個人番号)を取り扱う際に気を付けることは何ですか?

A5-8 マイナンバーは、生涯にわたって利用する番号なので、忘失したり、漏えいしたりしないように大切に保管してください。法律や条例で決められている社会保障、税、災害対策の手続きで行政機関や勤務先などに提示する以外は、むやみにマイナンバーを他人に教えないようにしてください。他の手続きのパスワードなどにマイナンバーを使うことも避けてください。(2014年7月回答)

とあります。
 「むやみにマイナンバーを他人に教えないようにしてください」の説明と、福田補佐官の「自分の番号が入ったTシャツ」は、あきらかに矛盾しています。

 また、「フリーダウンロード資料」にある「一般の方向け」の「サマリー版(1ページ)」(PDF)には「法律で定められた目的以外でマイナンバーを利用したり、他人に提供したりすることはできません」と明確に書かれています。
 そして、同じところからリンクが張られているポスターにも、「マイナンバー(個人番号)は、法律で定められた目的以外での使用、他人への提供が禁じられています」と書かれています(下図が当該部分。クリックすると拡大されます)。

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 番号が入ったTシャツ、自宅でこっそり着てお終いではないでしょう。福田補佐官は「番号を知られても問題がないということを、自ら実践する」と言うのですから、当然、人前で着るでしょう。その行為は「法律で定められた目的以外での使用」「他人に提供」には当たらないのでしょうか。

■総務省も「みだりに他人に知らせないように」「Facebook、LINE、Twitter などへの掲載もしてはいけません」と

 ついでですから、あと二つほどあげておきます。まずは、総務省
 マイナンバーの通知カードと一緒に簡易書留で送られてくる「ご案内」(PDF)がダウンロードできるようになっています。その1ページの下の方(下図)に「マイナンバーを、みだりに他人に知らせないようにしましょう。」「 Facebook、LINE、Twitter などのSNS (ソーシャルネットワーキングサービス)への掲載も、してはいけません。」とあります。

 福田補佐官は、「番号を知られても問題がないということを、自ら実践する」とおっしゃってますから、番号が入ったTシャツを着た姿を公開されるのでしょう、おそらく。
 福田補佐官は、マイナンバーの広報などに FacebookTwitter を盛んに活用されています。まさか、そこにTシャツ着用のお姿を流すとか、そんなことは・・・。

 どちらにしても総務省のマイナンバーの担当者さんは、一度、福田補佐官とお話しをされた方が良いと思います。

文部科学省は「安易に友達などに教えることがないように」と

 もう一つ、文部科学省。
 「マイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する文部科学省からのお知らせ」の「学生の皆さまへ」には

 ・マイナンバーは原則として一生涯使うものになります。学生が手続で使う場面は上記での場合に限られますので、取扱いには注意いただき、安易に友達などに教えることがないようにしてください。

とあります。また、「学校関係者等事業主の皆さまへ」には

 ・マイナンバーは原則として一生涯使うものになります。取扱いには注意いただき、安易に友達などに教えることがないよう、児童生徒、学生に周知ください。

とあります。

 文部科学省のマイナンバーの担当者さんは、学生や児童生徒のみなさんへの教育上の観点から、一度、福田補佐官とお話しをされた方が良いと思います。「福田のおっちゃんのまねしただけや、なんであかんの」とか子どもたちから突っ込まれると現場の先生方は困ってしまいますので。

■番号法は、番号の提供を原則禁止としています。福田さん大丈夫ですか?

 最後に、番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)を見てみましょう。

(特定個人情報の提供の制限)

第十九条  何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報の提供をしてはならない。
一  個人番号利用事務実施者が個人番号利用事務を処理するために必要な限度で本人若しくはその代理人又は個人番号関係事務実施者に対し特定個人情報を提供するとき。

二  個人番号関係事務実施者が個人番号関係事務を処理するために必要な限度で特定個人情報を提供するとき(第十号に規定する場合を除く。)。

三  本人又はその代理人が個人番号利用事務等実施者に対し、当該本人の個人番号を含む特定個人情報を提供するとき。

四  機構が第十四条第二項の規定により個人番号利用事務実施者に機構保存本人確認情報を提供するとき。

五  特定個人情報の取扱いの全部若しくは一部の委託又は合併その他の事由による事業の承継に伴い特定個人情報を提供するとき。

六  住民基本台帳法第三十条の六第一項の規定その他政令で定める同法の規定により特定個人情報を提供するとき。

七  別表第二の第一欄に掲げる者(法令の規定により同表の第二欄に掲げる事務の全部又は一部を行うこととされている者がある場合にあっては、その者を含む。以下「情報照会者」という。)が、政令で定めるところにより、同表の第三欄に掲げる者(法令の規定により同表の第四欄に掲げる特定個人情報の利用又は提供に関する事務の全部又は一部を行うこととされている者がある場合にあっては、その者を含む。以下「情報提供者」という。)に対し、同表の第二欄に掲げる事務を処理するために必要な同表の第四欄に掲げる特定個人情報(情報提供者の保有する特定個人情報ファイルに記録されたものに限る。)の提供を求めた場合において、当該情報提供者が情報提供ネットワークシステムを使用して当該特定個人情報を提供するとき。

八  国税庁長官が都道府県知事若しくは市町村長に又は都道府県知事若しくは市町村長が国税庁長官若しくは他の都道府県知事若しくは市町村長に、地方税法第四十六条第四項若しくは第五項、第四十八条第七項、第七十二条の五十八、第三百十七条又は第三百二十五条の規定その他政令で定める同法又は国税(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第一号に規定する国税をいう。以下同じ。)に関する法律の規定により国税又は地方税に関する特定個人情報を提供する場合において、当該特定個人情報の安全を確保するために必要な措置として政令で定める措置を講じているとき。

九  地方公共団体の機関が、条例で定めるところにより、当該地方公共団体の他の機関に、その事務を処理するために必要な限度で特定個人情報を提供するとき。

十  社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二条第五項に規定する振替機関等(以下この号において単に「振替機関等」という。)が同条第一項に規定する社債等(以下この号において単に「社債等」という。)の発行者(これに準ずる者として政令で定めるものを含む。)又は他の振替機関等に対し、これらの者の使用に係る電子計算機を相互に電気通信回線で接続した電子情報処理組織であって、社債等の振替を行うための口座が記録されるものを利用して、同法又は同法に基づく命令の規定により、社債等の振替を行うための口座の開設を受ける者が第九条第三項に規定する書面(所得税法第二百二十五条第一項(第一号、第二号、第八号又は第十号から第十二号までに係る部分に限る。)の規定により税務署長に提出されるものに限る。)に記載されるべき個人番号として当該口座を開設する振替機関等に告知した個人番号を含む特定個人情報を提供する場合において、当該特定個人情報の安全を確保するために必要な措置として政令で定める措置を講じているとき。

十一  第五十二条第一項の規定により求められた特定個人情報を特定個人情報保護委員会に提供するとき。

十二  各議院若しくは各議院の委員会若しくは参議院の調査会が国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)若しくは議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条の規定により行う審査若しくは調査、訴訟手続その他の裁判所における手続、裁判の執行、刑事事件の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は会計検査院の検査(第五十三条において「各議院審査等」という。)が行われるとき、その他政令で定める公益上の必要があるとき。

十三  人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合において、本人の同意があり、又は本人の同意を得ることが困難であるとき。

十四  その他これらに準ずるものとして特定個人情報保護委員会規則で定めるとき。

 内閣官房のWebサイト「マイナンバー 社会保障・税番号制度」にある「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の逐条解説」(PDF)の44頁にはこう書かれています。

 特定個人情報の提供は、原則禁止される(第19条柱書)ところ、本条において提供を禁止される特定個人情報とは、
① 個人番号をその内容に含む個人情報
② 個人番号そのものを含まないものの、個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号を含む個人情報
とされている(第2条第8項)。

・・・略・・・

 特定個人情報の提供が認められる場合は第1号から第14号までに掲げられる場合のみである。

 福田補佐官の「私は自分の番号が入ったTシャツを作ろうと思っている」までは番号法第十九条に抵触はしないと思います。しかし、「番号を知られても問題がないということを、自ら実践する」として、Tシャツを着て街を歩くとか、FacebookやTwitterで着用している写真を流すとかすると第十九条に反するように思うのですが、大丈夫なのでしょうか。

■Tシャツを着た福田補佐官をスマホで写すとどうなる?

 では、自分の番号が入ったTシャツを着た福田補佐官をスマホで写すとどうなるのでしょう。内閣官房のWebサイト「マイナンバー 社会保障・税番号制度」の 「Q&A (3)カードに関する質問」には

Q3-8 行政手続ではなく、レンタル店やスポーツクラブに入会する場合などにも個人番号カードを身分証明書として使って良いのですか?

A3-8 個人番号カードの券面には、氏名、住所、生年月日、性別(基本4情報)、顔写真が記載されており、レンタル店などでも身分証明書として広くご利用いただけます。ただし、カードの裏面に記載されているマイナンバー(個人番号)をレンタル店などに提供することはできません。また、レンタル店などがマイナンバーを書き写したり、コピーを取ったりすることは禁止されています。(2014年6月回答)

とあります。これは番号法の

(収集等の制限)

第二十条  何人も、前条各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報(他人の個人番号を含むものに限る。)を収集し、又は保管してはならない。

に抵触するからです。なお、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の逐条解説」(PDF)の48頁には、

 「収集」とは集める意思をもって自己の占有に置くことをいう。人から取得する場合のほか、電子計算機等から取得する場合も含む。情報を閲覧することのみでは「収集」にあたらない。
 「保管」とは、自己の勢力範囲内に保持することをいう。個人番号が記録された文書や電磁的記録を自宅に持ち帰り、置いておくことなどである。

と書かれています。

 もし、街角で、自分の番号が入ったTシャツを福田補佐官が着て歩いているのを見て、スマホで写真を撮ると、第二十条に抵触することになりそうですがどうなんでしょう。
 番号の書かれた個人番号カードの裏面をコピーする行為と、番号の書かれたTシャツを撮影する行為は、法律的にはどう違うのでしょうか。

 さらに写した写真をFacebookやTwitterで流したり、FacebookやTwitterで流れてきた福田補佐官の写真をシェアしたり、リツイートしたりすると・・・。
 あとは法曹関係者にお任せします。

■「収集等の制限」には罰則もありますが・・・

 なお、第十九条の「特定個人情報の提供の制限」には罰則はありませんが、第二十条の「収集等の制限」には罰則があります。

第七十条  人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の個人番号を保有する者の管理を害する行為により、個人番号を取得した者は、三年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。

2  前項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用を妨げない。

 福田補佐官がTシャツを着用している姿を写真で取る行為が「その他の個人番号を保有する者の管理を害する行為」に当たるのかどうかは、私にはわかりませんが、写した写真をネットで拡散すると、その行為は「管理を害する行為」に当たるような気がします。
 法曹関係者のご意見など機会があればお聞きしたいと思います。

2015年10月 9日 (金)

10月20日の「マイナンバー制度を考える学習決起集会」に講師として呼ばれています

 10月20日に「共通番号制に反対する大阪連絡会」主催の学習決起集会が下記の通り開催されます。

 私は、講演の講師に呼ばれています。どなたでも参加OKということなので、みなさん気軽にお越し下さい。

 なお、私は、この集会の主催者ではありませんので念のため。

とき 10月20日(火) 午後6時半から

ところ エル・おおさか 本館6階 606号室 地図

内容
 (1)講演「危険なマイナンバーの本質」 講師 黒田充
 (2)「マイナンバー違憲訴訟」への参加を! 12月1日全国一斉提訴が予定されています。
 (3)参加者のみなさんで自由な意見交換を!

2015年9月18日 (金)

共通番号いらないネットが、10月3日「ストップ! マイナンバー(共通番号)10月通知 全国集会&デモ」を開催

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 共通番号いらないネットが、10月3日(土)に、「ストップ! マイナンバー(共通番号)10月通知 全国集会&デモ」を開催します。

チラシ(PDF)

 アベ政権が強行する「オクトーバー・プロジェクト=マイナンバー(共通番号)10月通知」の延期を求め、大規模な集会とデモを開催します。全国から大勢のみなさんの参加を呼びかけます。違憲訴訟を準備する弁護士さんのアピールや各地の仲間からの発言を予定しています。集会のあとは楽しく元気に渋谷駅周辺をデモしましょう。

日時 2015年10月3日(土) 14時00分~(デモ:15時00分~)
会場 渋谷区立宮下公園
主催 共通番号いらないネット
メモ メッセージボードや鳴り物を持ち寄り、10月番号通知の延期と制度の見直しをアピールしましょう。
参加費・資料代 無料

マイナンバー制度反対連絡会が「実施の延期と利用拡大のとりやめを求める請願」署名をはじめました

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 全労連、東京地評、東京土建、自由法曹団などが参加する「マイナンバー制度反対連絡会」が、衆議院議長・参議院議長宛の「マイナンバー制度実施の延期と利用拡大のとりやめを求める請願」署名をはじめました。

請願署名用紙のダウンロード(PDF)

マイナンバー制度反対連絡会のチラシのダウンロード(PDF)

 ※ この署名は「マイナンバー制度反対連絡会」が実施しているものです。このブログを書いている自治体情報政策研究所の黒田が行っているものではありません。また、当研究所も黒田も連絡会の一員ではありません。「部外者」です。署名に関する問い合わせは、全労連など反対連絡会の構成団体に直接お願いします。

請願趣旨

 安倍政権は、「社会保障・税番号制度」(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律・通称:「マイナンバー制度」)を2016年1月から実施しようとしています。これは、社会保障、税、災害対策の行政手続きで利用するとされていますが、金融口座や医療情報への活用も行われようとしています。また、マイナンバーカードを使った消費税の還付も検討されていますが、制度自体やその利用目的などにおいて、多くの問題点が指摘されています。
 一つは、政府による国民の監視・管理が強められ、資産調査による税徴収強化や社会保障給付の削減につながる恐れがあることです。政府は、「行政の効率化」や「国民の利便性」をうたいますが、国民へさらなる負担を強いるための道具となり、個人情報が丸裸にされ、プライバシーが侵害される危険が増大する不当な制度といわざるを得ません。番号制がすでに導入されている米国や韓国では、何千万人という単位の個人情報が漏えいする事件が発生し、深刻な被害が出ています。
 さらに、個人情報保護の理由により、マイナンバーを扱う中小業者に対して厳格な管理体制を強要し、漏れた場合の罰則を強化(4年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金など)するなどとしています。小規模の業者にとってマイナンバーを管理することは大きな負担となり、経営にとっても大打撃となります。イギリスではいったん導入を決めた国民IDカード法を人権侵害への危険があることや巨費が浪費されるおそれがあるとして廃止しました。国民監視を強め、中小業者の営業を破壊するマイナンバー制度実施を延期し、マイナンバー法の利用拡大はとりやめることを求めます。

請願事項

一、 マイナンバー制度実施を延期すること。

二、 マイナンバー法の利用拡大をとりやめること。

 

 マイナンバー制度反対連絡会は、9月16日に衆議院第二議員会館で院内集会を行い、請願署名と宣伝、学習会を取り組むとともに、10月3日に「全国集会&デモ(渋谷区立宮下公園 14時~)」を取り組む「共通番号いらないネット」との協力を行っていくことを確認しました。

2015年9月 1日 (火)

全商連(民商)が「マイナンバー制度実施を延期し、廃止を求める」請願署名を集めているそうです

 民主商工会(民商)の全国組織である全国商工団体連合会(全商連)が衆議院議長・参議院議長宛の「マイナンバー制度実施を延期し、廃止を求める」請願署名を集めているそうです。ご紹介します。

 全商連のサイトによれば、請願趣旨、請願事項は次の通りです。

マイナンバー制度実施を延期し、廃止を請願

請願趣旨

 安倍政権は、「社会保障・税番号制度」(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律・通称:「マイナンバー制度」)を2016年1月から実施しようとしています。これは、社会保障、税、災害対策の行政手続きで利用するとされていますが、今後金融口座や医療情報への活用も検討されており、制度自体やその利用目的などにおいて、多くの問題点が指摘されています。

 一つは、政府による国民の監視・管理が強められ、資産調査による税徴収強化や社会保障給付の削減につながる恐れがあることです。政府は、「行政の効率化」や「国民の利便性」をうたいますが、国民へさらなる負担を強いるための道具となり、個人情報が丸裸にされ、プライバシーが侵害される危険が増大する不当な制度といわざるを得ません。番号制がすでに導入されている米国や韓国では、何千万人という単位の個人情報が漏えいする事件が発生し、深刻な被害が出ています。

 さらに、個人情報保護の理由により、マイナンバーを扱う中小業者に対して厳格な管理体制を強要し、漏れた場合の罰則を強化(4年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金など)するなどとしています。小規模の業者にとってマイナンバーを管理することは大きな負担となり、経営にとっても大打撃となります。イギリスではいったん導入を決めた国民IDカード法を人権侵害への危険があることや巨費が浪費されるおそれがあるとして廃止しました。国民監視を強め、中小業者の営業を破壊するマイナンバー制度実施を延期し、廃止することを求めます。

請願事項

一、マイナンバー制度実施を延期し、廃止をすること。

署名用紙のダウンロード(全商連のサイトです)

 全商連のサイト内では、署名用紙が置いてある場所がわかりにくいように思ったので、こちらからもダウンロードできるようにしました。 ↓↓

マイナンバー制度廃止個人請願署名 (PDF版)

 なお、集めた署名については、お近くの民商の事務所に持っていけば受け取っていただけると思います。

最寄りの民商の連絡先を探す (全商連のサイト内)

 因みに、私は民商の会員ではありません。友人、知人の役員、会員は何人もいますが。

2015年8月28日 (金)

「マイナンバー制度反対連絡会」が結成されたそうです

 2015年8月27日付けの「しんぶん赤旗」によりますと、8月26日に、「マイナンバー制度反対連絡会」が結成されたそうです。とりあえず記事を貼っておきます。

  http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-08-27/2015082701_03_1.html

マイナンバー延期を反対連絡会を結成

 共通番号(マイナンバー)制度の10月実施が迫るなか、延期と改悪の中止を求めて、「マイナンバー制度反対連絡会」の結成総会が26日、東京都内で開かれました。17団体44人が参加しました。

 呼びかけ人の森田稔東京地評議長が「延期を要求し、運動を強化することが重要だ。各団体での理解と協力を呼びかけたい」とあいさつしました。

 総会では、日本弁護士連合会情報問題対策委員会委員長の坂本団(まどか)弁護士が講演しました。

 マイナンバーについて坂本氏は、警察や税務署による番号利用は“聖域”となっており、国民がチェックできないことや、成りすまし犯罪を防ぐものとなっていないと指摘。その上で坂本氏は「知れば知るほど、国民にメリットがない制度だとわかる。漏えいを防ぐためにも、制度の周知徹底が急務だ。周知できないなら、延期すべきだ」と強調しました。

 参加者からは「ある調査では、マイナンバー対応のコストが一業者あたり平均109万円といわれている。中小業者に制度への疑問と負担感、罰則への不安が広がっている」(全国商工団体連合会)などの発言が相次ぎました。

以下は、ネットで見つけた関連情報。

構成団体の1つである「東京地評」(東京地方労働組合評議会)のサイトから

 http://chihyo.jp/nakama/2015y/350815roudouhousei_etc.htm

マイナンバーの危険な狙い 個人資産管理、徴税の強化

 今年10月から「マイナンバー(社会保障・税番号)」制度を本格実施する準備が進められています。同制度は、住民登録をしている国民全員に、生涯変わらない12桁の番号を割り振り、社会保障や税の情報を国が一括管理するものです。
 政府はマイナンバーの利用範囲を当面、社会保障や税金、災害対策の三分野としていますが、安倍政権は3月にマイナンバー法改定案を国会に提出し、預金口座にも利用を広げることを狙っています。預貯金など資産を把握し、医療・介護の負担を引き上げたり、徴税を強化したりする真の狙いが隠されています。6月、日本年金機構から公的年金の個人情報が流出し、個人情報が守られない危険性が露呈しました。成りすまし犯罪や人権侵害の危険性、事業者や小規模自治体への過大な負担なども懸念されており、このまま進めれば大混乱を招き、将来に重大な禍根を残すだけです。
 8月26日には、東京地評は中央団体とともに、マイナンバー制度反対連絡会を結成し、実施延期と法改定反対を掲げ運動を推進します。学習と取り組み強化をはかりましょう。

 

こちらは「自交総連 日本交通労働組合」のサイトの記事

 http://nikkorokumi.blog.fc2.com/blog-category-2.html#entry326

NO.195 不安だらけのマイナンバー制度

 マイナンバー制度で便利になるという政府のテレビCMがはじまっています。2015年10月から住民票を有するすべての人に12ケタの番号が通知され、16年1月からは、希望する人に対し写真付きの「個人番号カード」の交付が始まります。行政への手続きでも、16年1月からは、社会保障、税、災害対策の行政手続きでマイナンバーを取り扱うことになり、個人情報ファイルを目的外に不当に提供すれば処罰の対象になります。
 政府は、「行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する社会基盤」と説明しています。
 そんな中、8月26日、延期と改悪の中止を求めて「マイナンバー制度反対連絡会」の結成総会が都内で開かれた。呼びかけ人の森田稔東京地評議長が「延期を要求し、運動を強化することが重要だ。各団体での理解と協力を呼びかけたい」と挨拶した。総会では坂本団弁護士が講演し、「警察や税務署による番号利用は”聖域”となっており、国民がチェックできないことや、なりすまし犯罪を防ぐものとなっていないと指摘。」その上で「知れば知るほど、国民にメリットが無い制度だとわかる。漏洩を防ぐためにも、制度の周知徹底が急務だ。周知できないなら延期すべきだ」と強調した。