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2016年10月29日 (土)

小泉進次郎氏提案の「健康ゴールド免許」は、マイナンバーで実現?

 先日、「朝日新聞」などが小泉進次郎氏らが、健康管理に努めた人に褒美を与える「健康ゴールド免許」を提唱したと報じました。これは、過日の某ニュースキャスターの暴言ブログ記事と同じ穴の狢ではないか、「何だこの『きれいな長谷川豊』は」(某ツイッタラー)などと、色々話題になっています。

「朝日新聞」(2016年10月27日付け) 

健康ゴールド免許・勤労者皆保険… 小泉進次郎氏ら提言

 自民党の小泉進次郎・農林部会長ら若手議員が26日、2020年以降の社会保障改革のあり方について提言をまとめた。定期検診などで健康管理に努めた人を対象に、医療保険の自己負担を3割から2割に引き下げる「健康ゴールド免許」導入などの施策を打ち出した。・・・

「日刊スポーツ」(2016年10月27日付け) 

小泉進次郎氏「健康ゴールド免許」の導入を提案

 小泉進次郎氏ら自民党若手議員は26日、「人生100年時代」と位置づける2020年以降の社会保障制度のあり方に関する提言を発表した。
 次世代に向けた制度改革が目的で、約8カ月議論を重ねた。目玉の1つは、日々の健康維持管理を実践した人が病気になった際、受診時の自己負担額を減らす「健康ゴールド免許」の導入。・・・

■提言全文は、小泉進次郎氏のブログに

 記事にある提言は「人生100年時代の社会保障へ (メッセージ)」と題されたもので、自民党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」(小泉進次郎氏は委員長代行)でまとめられました。現在、小泉進次郎氏のオフィシャルブログにて公開(PDF)されています。 

 小泉進次郎氏らは、日本が本格的に「人生100年を生きる時代」に突入する中で「戦後の高度成長期に形成された今の社会保障制度では、これからの私たちの多様な生き方に対応できないのではない」とし、「雇用形態に関係なく、企業で働く方全員が入れる社会保険制度を作ること。長く働くほど得をする、一人ひとりのライフスタイルに合った柔軟な年金制度を整備すること。健康に気を使っている方は自己負担が軽くなる、自助努力を促す医療介護制度にすること。」(小泉進次郎氏のオフィシャルブログ)の3つを提言しています。

■自助努力を促すための「健康ゴールド免許」

 「健康ゴールド免許」は、3番目の「自助努力を促す医療介護制度にする」ものとして提言されています。該当部分は次の通りです。

健康ゴールド免許 ~自助を促す自己負担割合の設定~

 2020年以降、高齢化の進展に加え、医療技術がますます高度化すると、医療介護費用が一層高額化していく。
 医療介護制度の持続可能性を確保するためには、「病気になってから治療する」だけでなく、そもそも「病気にならないようにする」自助努力を支援していく必要がある。
 医療介護費用の多くは、生活習慣病、がん、認知症への対応である。これらは、普段から健康管理を徹底すれば、予防や進行の抑制が可能なものも多い。 しかし、現行制度では、健康管理をしっかりやってきた方も、そうではなく生活習慣病になってしまった方も、同じ自己負担で治療が受けられる。これでは、自助を促すインセンティブが十分とは言えない。
 今後は、健康診断を徹底し、早い段階から保健指導を受けていただく。そして、健康維持に取り組んできた方が病気になった場合は、自己負担を低くすることで、自助を促すインセンティブを強化すべきだ。
 運転免許証では優良運転者に「ゴールド免許」が与えられる。医療介護でも、IT技術を活用すれば、個人ごとに検診履歴等を把握し、健康管理にしっかり取り組んできた方を「ゴールド区分」に出来る。いわば医療介護版の「ゴールド免許」を作り、自己負担を低く設定することで、自助を支援すべきだ。もちろん、自助で対応できない方にはきめ細かく対応する必要がある。
 また、現行制度では、自助で対応できる軽微なリスクも、大きな疾病リスクも、同じように支援している。例えば、湿布薬やうがい薬も公的保険の対象であり、自分で買うと全額負担、病院でもらうと3割負担だ。こうした軽微なリスクは自助で対応してもらうべきであり、公的保険の範囲を見直すべきだ。

 色々と問題のある提言ですが、そもそもどのようにして「健康ゴールド免許」を与える人を国民の中から選ぶのでしょうか。提言の答えは明確です。「医療介護でも、IT技術を活用すれば、個人ごとに検診履歴等を把握し、健康管理にしっかり取り組んできた方を『ゴールド区分』に出来る」とあるように、IT技術の活用です。

 あらためて説明する必要もないと思いますが、提言が想定しているIT技術とはマイナンバー制度のことでしょう。

■昨年の番号法改正により、メタボ健診事務にマイナンバーは利用可能に

 マイナンバー制度の根拠法である番号法は、2015年9月の改正により、特定健診(メタボ健診)の事務に利用することが既に可能となっています。特定健診の結果だけで「健康ゴールド免許」の該当者を選び出すだけなら、すぐにでも制度化できそうです。

 提言が、マイナンバーの活用と露骨に書かなかったのは、「さすがにそこまで言えば国民からの反発が大きいだろう」と、小泉進次郎氏はおそらくそう思ったからでしょう。ある意味流石です。

■マイナンバーによるプロファイリングと「ゴールド区分」

 今後、マイナンバーとカルテやレセプトなどの医療情報が結びつけられていけば、「健康ゴールド免許」を付与する者を様々な条件を加味して選び出すことが可能になるでしょう。すなわち、医療情報をはじめとする様々な個人情報をマイナンバーで名寄せし、国民一人ひとりをプロファイリングし、政府の決めた基準に従って「ゴールド区分」であるか否かの選別をするのです。

 当然、健康管理を取り組んできたものへの褒美だけでなく、怠ってきた者には、ペナルティー(例えば、某ニュースキャスターが言っていたような医療費の全額自己負担)を与える話も出て来るでしょう。

 こんな制度を入れれば、長時間労働や低賃金で健康管理をする余裕のない者にペナルティが科せられる一方、時間的にも金銭的にも余裕のある富裕層がますます得をすることになるのは、火を見るより明らかです。

■「マイナンバーで社会保障制度改革」は小泉二代の悲願?

 ところでマイナンバーは、「社会保障と税の共通番号」ですが、導入構想の出発点の1つは父親の小泉純一郎首相の下で検討された社会保障番号です。

 当時、自助・自立、自己責任が強調され、介護や保育などを中心に社会保障の市場化・営利化が進められていました(現在もですが)。社会保障番号は、こうした社会保障改革を進めるための道具、社会保障給付を「真に手を差し伸べるべき者」だけに重点化・効率化するためのものとして考え出されたものでした。

 国民としては堪ったものではありませんが、番号制度で社会保障の改革(=解体)は、小泉二代にとって、どうしてもやり遂げたい悲願なのでしょう。

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