「マイナンバーカードを健康保険証に」は、政府・与党連絡協議会が2007年に構想した社会保障カードが出発点
マイナンバーカードに健康保険証としての機能を載せる話がいよいよ現実味を帯びていますが、こうした話の源流は「社会保障カード」構想にあります。
※マイナンバーカード 健康保険証の機能を載せることを前提にデザインされていた
筆者が、社会保障カードについて検討するために、2009年頃に作成したノートが、手元に残っていましたので、以下、追記、修正をし、解説を付け掲載します。
■健康保険証にも使える社会保障カードを提案した政府・与党連絡協議会 消えた年記録問題を受けて、政府と与党は、2007年7月5日に「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」(PDF) http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/kanshi/pdf/070725_1-04.pdf を取りまとめた。 「Ⅲ 新たな年金記録管理システムの構築」には次のような記述がある(赤字強調は引用者)。 「今後、年金の記録を適正かつ効率的に管理するとともに、常にその都度国民が容易にご自身の記録を確認でき、年金の支給漏れにつながらないようにするため」として、「銀行通帳のような方式ではなく、個人情報を保護する観点から記載内容が他人に見られないよう十分なセキュリティ確保を行った上で、1人1枚の『社会保障カード』(仮称)を2011年度中を目途に導入するとした。 また、「このカードは年金手帳だけでなく、健康保険証、更には介護保険証の役割を果たす。さらに、お年寄りなどご本人の希望があった場合には、写真を添付し身分証明書としてお使いいただけるものである。年金の記録については、窓口における年金記録の確認はもとより、自宅においても常時、安全かつ迅速に確認できるようになる。また、このカードは、基礎年金番号の重複付番の防止にも役立つものである」としている。 |
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【解説】
当時の政府は第1次安倍内閣、与党は自民党、公明党。
社会保障カードの目的は、年金記録を国民自ら確認させるためのもの。間違いを探すのも自己責任。
なお、この文書には、2007年の公表当時、「社会保障カード(仮称)構想」との表題が付けられた「参考資料」などが添付されていましたが、現在、ネット上には見あたらないようです。仕方ありませんので、手元にあったものを画像ファイル(下図)として掲載しておきます。現在のマイナンバーカードとそっくりですね。
社会保障カードは、その後、2007年9月27日に厚生労働省に設置された「社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会」で議論されることとなったのですが、健康保険証をカード化する話自体は、この政府・与党連絡協議会において突然浮上したものではありません。
厚生労働省は、連絡協議会前から健康保険証をカード化する検討を行っていました。
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