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2015年10月17日 (土)

昔、書いた拙著の「あとがき」を最近、突然思い出しました

 私は、住民基本台帳ネットワークネットが稼働する直前の2002年6月に『「電子自治体」が暮らしと自治をこう変える -住基ネットとICカード、電子申請の何が問題か-』(自治体研究社)という本を書きました。
 最近、この本の「あとがき」の一節が、突然、なぜだか頭に浮かびました。特に、他意はありませんが、下記に「あとがき」の一部を転載します(OCRでテキスト化しましたので誤字があるかも知れません)。

 昨年(2001年)11月、『IBMとホロコースト ―ナチスと手を結んだ大企業』(エドウイン・ブラック箸、小川京子訳、柏書房)というたいへんショッキングな題のレポートが出版されました。ユダヤ人などの大量虐殺をナチスが効率的に行うためのシステムを、世界有数のコンピュータメーカーであるIBMが直接、またはドイツの子会社を通じて、提供していたことを暴いたものです。もちろん、コンピュータは、当時、まだ存在しません。使ったのは、穴をあけることで情報を記録する13.3センチ×8.3センチの紙製のカードを、機械に読み取らせ、選別し、結果を図表に書き出すパンチカードシステムです。ナチスは、国勢調査の記録や住民記録、医療記録などの個人情報をパンチカードにし、誰がユダヤ人か、誰が障害者か、誰が国家に反対しているのかを機械を使って選別し、極めて効率的にガス室に送りこんだのです。当時、IBMは「一般的道徳からかけ離れた特殊な企業倫理にとらわれ」ていたといいます。それは「『なし得ることは、なされるべきだ』という論理」(同書)です。

 ただし、誤解をしないでいただきたいのは、この本を巻末でわざわざご紹介したのは、IBMをことざらに非難するためではありません。次の記述に、背筋を凍らせてしまったからです。

 (ナチスドイツの)内務省高官は、すべての個人情報を集中する25階建ての円形のデータ塔を建てるという奇抜な提案を検討した。……想像上の塔の25階の名-階には、誕生月を表す12の部屋が円を描いて並ぶ。各部屋にはそれぞれの月の各日に1台ずつ、31台のキャビネットがある。……人口調査局から登記簿とその改訂簿が送られてくる。そうして6000万人のドイツ人をすべて、住所が変わっても同じところで扱われ、相互参照することができる。データは約1500人の配達係が、ファイルを運ぶ磁気のように部屋から部屋へ走り回って集められる。

 データ塔の提案は、「建設と開館準備に何年もかかる」ことを理由に、ナチスドイツでは却下されました。しかしこの血塗られたおぞましい青写真は、数十年の時を経て、地球を半周し、今、現実化しようとしています。データ塔をデータセンターに、キャビネットをコンピュータ(サーバ)に、人口調査局を市町村に、登記簿とその改訂簿を本人確認情報に、配達係を電気通信回線に、6000万人を1億3000万人に、ドイツ人を日本人にして。

 以上ですが、特に、他意はありません。

 因みに、現在のドイツでは、汎用の共通番号の導入は連邦基本法(連邦憲法)違反とされており、日本のマイナンバーのような番号制度の導入は出来ません。

2015年10月13日 (火)

自分のマイナンバーが入ったTシャツを作ろうと言う内閣府大臣補佐官、番号法に抵触しないのか

193 内閣府大臣補佐官の福田峰之氏の「私は自分の番号が入ったTシャツを作ろうと思っている」発言、大騒ぎになるだろうとと思っていたのですが、全然話題になってません。
 このまま済ませて良いはずはないと考え記事にしました。

 「週刊エコノミスト」の2015年9月15日号は、「マイナンバーがやって来る」と題した特集記事を掲載しました。編集部による「基礎知識Q&A」なとどもに、福田補佐官へのインタビュー記事も載っています。冒頭の発言は、その中で述べたものです。

 インタビュー記事のリード文に「内閣府の実務担当者、福田峰之氏に聞いた」とあるように、福田氏は、マイナンバーの責任者の1人として活躍されており、最近は、特に「マイナちゃん」とともに国民への広報に力を入れておられます。

 インタビューは、「どこまでセキュリティーを高めなければならないのか」という民間利用者の疑問があるとする聞き手の疑問に、福田補佐官が答えたものとなっています。

■「番号を知られても問題がない」を自ら実践するために、番号入りTシャツを作るという福田氏はマイナンバー担当相の補佐官

 インタビューは、「マイナンバーを所管する甘利明・社会保障と税の一体改革担当相の補佐官として、制度全体の進捗状況を管理している」との自己紹介から始まり、セキュリティーに関わって「便乗商売が横行しているのは事実。それはやめてもらいたい。法律的にも、それほど大変な準備を求めていない」と述べています。

 そのあと、話はやや脱線(?)していきます。
 福田補佐官は「目指している世界観を一言で表現すると『カード1枚で生活できる』だ。財布にカードが何十枚も入っている人がいるが、私がやっている仕事は、それを1枚にすることだ」、「(マイナンバーのカードを)仮に落としても暗証番号が分からなければ、拾った人は何も出来ない」と。そして

・・・番号はただの「名前」。私が「福田峰之」と知られて、まずいことは何もないということと同じだ。私は自分の番号が入ったTシャツを作ろうと思っている。番号を知られても問題がないということを、自ら実践する。

としています。

■内閣官房のQ&Aは「むやみにマイナンバーを他人に教えないようにしてください」

 ここまで読んで驚かれた人も多いと思います。マイナンバーの個人番号は、「他人に見せないように」ではなかったのかと。
 そこで、あらためて内閣官房のWebサイト「マイナンバー 社会保障・税番号制度」を見てみることにしましょう。

 「Q&A (5)個人情報の保護に関する質問」には

Q5-8 自分のマイナンバー(個人番号)を取り扱う際に気を付けることは何ですか?

A5-8 マイナンバーは、生涯にわたって利用する番号なので、忘失したり、漏えいしたりしないように大切に保管してください。法律や条例で決められている社会保障、税、災害対策の手続きで行政機関や勤務先などに提示する以外は、むやみにマイナンバーを他人に教えないようにしてください。他の手続きのパスワードなどにマイナンバーを使うことも避けてください。(2014年7月回答)

とあります。
 「むやみにマイナンバーを他人に教えないようにしてください」の説明と、福田補佐官の「自分の番号が入ったTシャツ」は、あきらかに矛盾しています。

 また、「フリーダウンロード資料」にある「一般の方向け」の「サマリー版(1ページ)」(PDF)には「法律で定められた目的以外でマイナンバーを利用したり、他人に提供したりすることはできません」と明確に書かれています。
 そして、同じところからリンクが張られているポスターにも、「マイナンバー(個人番号)は、法律で定められた目的以外での使用、他人への提供が禁じられています」と書かれています(下図が当該部分。クリックすると拡大されます)。

206
 番号が入ったTシャツ、自宅でこっそり着てお終いではないでしょう。福田補佐官は「番号を知られても問題がないということを、自ら実践する」と言うのですから、当然、人前で着るでしょう。その行為は「法律で定められた目的以外での使用」「他人に提供」には当たらないのでしょうか。

■総務省も「みだりに他人に知らせないように」「Facebook、LINE、Twitter などへの掲載もしてはいけません」と

 ついでですから、あと二つほどあげておきます。まずは、総務省
 マイナンバーの通知カードと一緒に簡易書留で送られてくる「ご案内」(PDF)がダウンロードできるようになっています。その1ページの下の方(下図)に「マイナンバーを、みだりに他人に知らせないようにしましょう。」「 Facebook、LINE、Twitter などのSNS (ソーシャルネットワーキングサービス)への掲載も、してはいけません。」とあります。

 福田補佐官は、「番号を知られても問題がないということを、自ら実践する」とおっしゃってますから、番号が入ったTシャツを着た姿を公開されるのでしょう、おそらく。
 福田補佐官は、マイナンバーの広報などに FacebookTwitter を盛んに活用されています。まさか、そこにTシャツ着用のお姿を流すとか、そんなことは・・・。

 どちらにしても総務省のマイナンバーの担当者さんは、一度、福田補佐官とお話しをされた方が良いと思います。

文部科学省は「安易に友達などに教えることがないように」と

 もう一つ、文部科学省。
 「マイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する文部科学省からのお知らせ」の「学生の皆さまへ」には

 ・マイナンバーは原則として一生涯使うものになります。学生が手続で使う場面は上記での場合に限られますので、取扱いには注意いただき、安易に友達などに教えることがないようにしてください。

とあります。また、「学校関係者等事業主の皆さまへ」には

 ・マイナンバーは原則として一生涯使うものになります。取扱いには注意いただき、安易に友達などに教えることがないよう、児童生徒、学生に周知ください。

とあります。

 文部科学省のマイナンバーの担当者さんは、学生や児童生徒のみなさんへの教育上の観点から、一度、福田補佐官とお話しをされた方が良いと思います。「福田のおっちゃんのまねしただけや、なんであかんの」とか子どもたちから突っ込まれると現場の先生方は困ってしまいますので。

■番号法は、番号の提供を原則禁止としています。福田さん大丈夫ですか?

 最後に、番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)を見てみましょう。

(特定個人情報の提供の制限)

第十九条  何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報の提供をしてはならない。
一  個人番号利用事務実施者が個人番号利用事務を処理するために必要な限度で本人若しくはその代理人又は個人番号関係事務実施者に対し特定個人情報を提供するとき。

二  個人番号関係事務実施者が個人番号関係事務を処理するために必要な限度で特定個人情報を提供するとき(第十号に規定する場合を除く。)。

三  本人又はその代理人が個人番号利用事務等実施者に対し、当該本人の個人番号を含む特定個人情報を提供するとき。

四  機構が第十四条第二項の規定により個人番号利用事務実施者に機構保存本人確認情報を提供するとき。

五  特定個人情報の取扱いの全部若しくは一部の委託又は合併その他の事由による事業の承継に伴い特定個人情報を提供するとき。

六  住民基本台帳法第三十条の六第一項の規定その他政令で定める同法の規定により特定個人情報を提供するとき。

七  別表第二の第一欄に掲げる者(法令の規定により同表の第二欄に掲げる事務の全部又は一部を行うこととされている者がある場合にあっては、その者を含む。以下「情報照会者」という。)が、政令で定めるところにより、同表の第三欄に掲げる者(法令の規定により同表の第四欄に掲げる特定個人情報の利用又は提供に関する事務の全部又は一部を行うこととされている者がある場合にあっては、その者を含む。以下「情報提供者」という。)に対し、同表の第二欄に掲げる事務を処理するために必要な同表の第四欄に掲げる特定個人情報(情報提供者の保有する特定個人情報ファイルに記録されたものに限る。)の提供を求めた場合において、当該情報提供者が情報提供ネットワークシステムを使用して当該特定個人情報を提供するとき。

八  国税庁長官が都道府県知事若しくは市町村長に又は都道府県知事若しくは市町村長が国税庁長官若しくは他の都道府県知事若しくは市町村長に、地方税法第四十六条第四項若しくは第五項、第四十八条第七項、第七十二条の五十八、第三百十七条又は第三百二十五条の規定その他政令で定める同法又は国税(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第一号に規定する国税をいう。以下同じ。)に関する法律の規定により国税又は地方税に関する特定個人情報を提供する場合において、当該特定個人情報の安全を確保するために必要な措置として政令で定める措置を講じているとき。

九  地方公共団体の機関が、条例で定めるところにより、当該地方公共団体の他の機関に、その事務を処理するために必要な限度で特定個人情報を提供するとき。

十  社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二条第五項に規定する振替機関等(以下この号において単に「振替機関等」という。)が同条第一項に規定する社債等(以下この号において単に「社債等」という。)の発行者(これに準ずる者として政令で定めるものを含む。)又は他の振替機関等に対し、これらの者の使用に係る電子計算機を相互に電気通信回線で接続した電子情報処理組織であって、社債等の振替を行うための口座が記録されるものを利用して、同法又は同法に基づく命令の規定により、社債等の振替を行うための口座の開設を受ける者が第九条第三項に規定する書面(所得税法第二百二十五条第一項(第一号、第二号、第八号又は第十号から第十二号までに係る部分に限る。)の規定により税務署長に提出されるものに限る。)に記載されるべき個人番号として当該口座を開設する振替機関等に告知した個人番号を含む特定個人情報を提供する場合において、当該特定個人情報の安全を確保するために必要な措置として政令で定める措置を講じているとき。

十一  第五十二条第一項の規定により求められた特定個人情報を特定個人情報保護委員会に提供するとき。

十二  各議院若しくは各議院の委員会若しくは参議院の調査会が国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)若しくは議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条の規定により行う審査若しくは調査、訴訟手続その他の裁判所における手続、裁判の執行、刑事事件の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は会計検査院の検査(第五十三条において「各議院審査等」という。)が行われるとき、その他政令で定める公益上の必要があるとき。

十三  人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合において、本人の同意があり、又は本人の同意を得ることが困難であるとき。

十四  その他これらに準ずるものとして特定個人情報保護委員会規則で定めるとき。

 内閣官房のWebサイト「マイナンバー 社会保障・税番号制度」にある「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の逐条解説」(PDF)の44頁にはこう書かれています。

 特定個人情報の提供は、原則禁止される(第19条柱書)ところ、本条において提供を禁止される特定個人情報とは、
① 個人番号をその内容に含む個人情報
② 個人番号そのものを含まないものの、個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号を含む個人情報
とされている(第2条第8項)。

・・・略・・・

 特定個人情報の提供が認められる場合は第1号から第14号までに掲げられる場合のみである。

 福田補佐官の「私は自分の番号が入ったTシャツを作ろうと思っている」までは番号法第十九条に抵触はしないと思います。しかし、「番号を知られても問題がないということを、自ら実践する」として、Tシャツを着て街を歩くとか、FacebookやTwitterで着用している写真を流すとかすると第十九条に反するように思うのですが、大丈夫なのでしょうか。

■Tシャツを着た福田補佐官をスマホで写すとどうなる?

 では、自分の番号が入ったTシャツを着た福田補佐官をスマホで写すとどうなるのでしょう。内閣官房のWebサイト「マイナンバー 社会保障・税番号制度」の 「Q&A (3)カードに関する質問」には

Q3-8 行政手続ではなく、レンタル店やスポーツクラブに入会する場合などにも個人番号カードを身分証明書として使って良いのですか?

A3-8 個人番号カードの券面には、氏名、住所、生年月日、性別(基本4情報)、顔写真が記載されており、レンタル店などでも身分証明書として広くご利用いただけます。ただし、カードの裏面に記載されているマイナンバー(個人番号)をレンタル店などに提供することはできません。また、レンタル店などがマイナンバーを書き写したり、コピーを取ったりすることは禁止されています。(2014年6月回答)

とあります。これは番号法の

(収集等の制限)

第二十条  何人も、前条各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報(他人の個人番号を含むものに限る。)を収集し、又は保管してはならない。

に抵触するからです。なお、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の逐条解説」(PDF)の48頁には、

 「収集」とは集める意思をもって自己の占有に置くことをいう。人から取得する場合のほか、電子計算機等から取得する場合も含む。情報を閲覧することのみでは「収集」にあたらない。
 「保管」とは、自己の勢力範囲内に保持することをいう。個人番号が記録された文書や電磁的記録を自宅に持ち帰り、置いておくことなどである。

と書かれています。

 もし、街角で、自分の番号が入ったTシャツを福田補佐官が着て歩いているのを見て、スマホで写真を撮ると、第二十条に抵触することになりそうですがどうなんでしょう。
 番号の書かれた個人番号カードの裏面をコピーする行為と、番号の書かれたTシャツを撮影する行為は、法律的にはどう違うのでしょうか。

 さらに写した写真をFacebookやTwitterで流したり、FacebookやTwitterで流れてきた福田補佐官の写真をシェアしたり、リツイートしたりすると・・・。
 あとは法曹関係者にお任せします。

■「収集等の制限」には罰則もありますが・・・

 なお、第十九条の「特定個人情報の提供の制限」には罰則はありませんが、第二十条の「収集等の制限」には罰則があります。

第七十条  人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の個人番号を保有する者の管理を害する行為により、個人番号を取得した者は、三年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。

2  前項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用を妨げない。

 福田補佐官がTシャツを着用している姿を写真で取る行為が「その他の個人番号を保有する者の管理を害する行為」に当たるのかどうかは、私にはわかりませんが、写した写真をネットで拡散すると、その行為は「管理を害する行為」に当たるような気がします。
 法曹関係者のご意見など機会があればお聞きしたいと思います。

2015年10月 9日 (金)

10月20日の「マイナンバー制度を考える学習決起集会」に講師として呼ばれています

 10月20日に「共通番号制に反対する大阪連絡会」主催の学習決起集会が下記の通り開催されます。

 私は、講演の講師に呼ばれています。どなたでも参加OKということなので、みなさん気軽にお越し下さい。

 なお、私は、この集会の主催者ではありませんので念のため。

とき 10月20日(火) 午後6時半から

ところ エル・おおさか 本館6階 606号室 地図

内容
 (1)講演「危険なマイナンバーの本質」 講師 黒田充
 (2)「マイナンバー違憲訴訟」への参加を! 12月1日全国一斉提訴が予定されています。
 (3)参加者のみなさんで自由な意見交換を!

2015年10月 8日 (木)

マイナンバーカード 健康保険証の機能を載せることを前提にデザインされていた

 先日、私のTwitterアカウントに、おーちゃん (@nyaos_nyagos)さんからこんなリプライが届きました。

 これには大変驚いてしまいました。早速、写真のカード裏面の該当部分を拡大し、色の補正をしてみました(下図)。確かに「保険者 12345678」「記号 12345678」「番号 123456」「本人」と読み取れます。まさに健康保険証です。

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 写真の下の方には「マイナンバーカードのイメージ見本(2015年5月29日撮影)」とあります。ということは、少なくとも国は、5月29日の時点で「健康保険証の機能を載せる」ことを前提(既定の事実?)に個人番号カードのデザインをしていたことになります。

■個人番号カードに「健康保険証の機能を」は「検討中」のはずだが?

 確かに国の方針には、マイナンバーの個人番号カードに健康保険証の機能を載せるとはあります。
 例えば、2015年6月30日に閣議決定された「日本再興戦略 改訂2015」は「2017年7月以降早期に医療保険のオンライン資格確認システムを整備し、個人番号カードを健康保険証として利用することを可能とする」としています。
 しかし、これはあくまでも計画であって、法で定められたものではありません。もちろん番号法にも、個人番号カードに健康保険証の機能を載せるような規定はありません。
 にもかかわらずこうしたデザインを行い、少なくとも「時事通信社」(写真右下)には公表していたのです。

 なお、安倍首相は、この写真が撮影された20日後の6月18日の衆議院予算委員会で、日本共産党の高橋千鶴子議員の質問に、次の様に答弁しています。

 一方で、診療や投薬の履歴などの診療情報は本人にとって人に知られたくないという情報であることも事実でありまして、これらを踏まえて、今後、個人番号カードに健康保険証の機能を持たせることや、あるいは医療連携や医学研究に利用可能な番号を導入することについて、マイナンバー制度のインフラも活用しつつ、医療情報の機微性に配慮してセキュリティーを確保し、安全性と効率性、利便性の両面が確保された仕組みとなるように検討していく考えであります。

 「個人番号カードに健康保険証の機能を持たせること」は、あくまでも「検討していく」です。これは政府の最高責任者の答弁です。
 しかし、実際には、国は健康保険証の機能を載せることを既定の事実としてデザインしていたのです。国会軽視もはなはだしいと言わざるを得ません。

■健康保険証の情報記載予定部分、国民向けには「空白」で誤魔化す

 内閣官房のマイナンバーの解説サイトの「フリーダウンロード資料」からは様々な資料が提供されています。
 そのうちの「広報資料の全体版(20ページ)」(PDF)を見てみましょう。5頁に個人番号カードの絵があります。カードの裏面は半分隠れていますが、当該部分は空白です。もちろんカードを健康保険証にも利用などの説明はありません。

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 しかし、当該部分が空白でデザインされていたのかというと、実はそうでもありません。
 総務省の研究会「住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会(第24回)」(2014年3月24日)にて配布された資料「社会保障・税番号制度導入に向けた準備について」(PDF)の10頁の「個人番号カードの原寸大券面イメージ(案)」の当該部分には、「追加ロゴ 予備領域」の文字があります(下図)。

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 「追加ロゴ 予備領域」だけでは何のことかわかりません。
 しかし、今回の" The  Huffington Post "の10月3日付けの記事「『マイナンバー離婚』が話題 家族に副業がバレるの?政府担当者に聞いてみた」に付けられた写真から、この部分は「健康保険証の機能」を持たせるためのものだったことが判明したのです。

 さて、どう考えれば良いのでしょう。
 国は当初から「個人番号カードに健康保険証の機能」は決定された事項であるとして、カードのデザインを決めた。しかし、国民や国会に対しては、あくまでも「検討中」と説明。そのため公表するカードの絵からは、健康保険証に関わる部分は削除し、誤魔化した。おそらくこれが真相でしょう。

 なお、個人番号カードに健康保険証の機能を載せる際には、裏面の空白部分(今回問題にしている部分)に、シール(健康保険組合が組合員に配布)を貼るのだという噂は以前からありますが、真相は不明です。

 とにかく国民も国会も馬鹿にされたものです。民主主義は何処です。マイナンバーが安倍政権のもと大暴走しているのは間違いありません。

■公明新聞では「個人番号カードに健康保険証の機能」は、既に決まったことになっている

 ところで、「公明新聞」のサイトには、「暮らしを便利に! マイナンバー」と題した2015年10月4日付けの記事が掲載されています。
 記事そのものは、政府広報の焼き直しのようなもので特にどうということもないものですが、問題は一番下にある「暮らし便利に! マイナンバー」と書かれた絵(下図)です。

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 「既に決まっている分野」の「ほかにも」のところに「図書館カードや印鑑登録証、健康保険証として利用可能」とあります。「健康保険証として」は既に決まったことだと、そう報じているのです。
 政府や自民とと同じく、公明党も暴走していたのです。自公連立政権ですから当たり前といえば当たり前ですが。

■個人番号カードを健康保険証にして、本当に大丈夫なのか

 病院や診療所に行くと、健康保険証を最初に窓口で渡す場合が多いのではないでしょうか。その場ですぐに返してもらうケースよりも、診察が終わり会計の時に返してもらう。そんなパターンが多いと思います。
 個人番号カードの健康保険証も、当然、同じことになるでしょう。自分の管理下からかなりの時間離れてしまうことになります。それで本当に大丈夫なのでしょうか。「番号の秘密」は保たれるのでしょうか。
 また、逆に病院や診療所は、カードを預かることに伴うリスクに耐えられるのでしょうか。

 

2015年10月 3日 (土)

「NHK受信料徴収にマイナンバーの活用」は籾井会長が勝手に言ったのではなく、自民党の提言に応えたもの

 10月1日、「NHK、マイナンバーの活用検討 受信料徴収で籾井会長」(共同通信)とのニュースが流れました。
196 このニュースに対して、政府のこれまでの説明「社会保障、税、災害対策の分野で利用」に反している、NHKは行政機関ではない、彼はマイナンバーがどういうものか理解していないなど、籾井会長への批判が、ネットなどで盛んに流れています。

 しかし、本当に「受信料徴収でのマイナンバーの活用」は、制度理解が不十分な会長が「独自の判断」で勝手に言っただけのことなのでしょうか。

■マイナンバーの活用の会長発言は、記者会見で出て来たもの

 そもそもこの会長発言は、毎月行われている会長記者会見において出てきたものです。
 記者会見の要旨は、NHKサイトからPDFで公開されています。10月分の会見要旨(PDF)もありますが、マイナンバーついては次の様に、極めて簡潔に書かれているだけです。

(Q.マイナンバー制の活用について)
A.オートロックマンションなどで、お客さんを捕捉しにくい。どのように活用できるか検討したい。

 これを読んだだけでは何のことかさっぱりわかりません。「みなさまのNHK」にもかかわらず、情報公開は極めて不十分です。

 一方、産経新聞のサイトには、「NHK籾井会長定例会見録」として、会見の詳報が掲載されています。マイナンバーに関する部分を抜き出すと(赤字強調は引用者)、

・・・・・・・・・

--罰則が設けられると、公共放送ではなく、国営放送に近づくのではないか

「本当は、罰則なんてない方がいいに決まっている。視聴者にNHKの内容を理解してもらい、支払率を100%にすることが望ましい。そのためにNHKも営業努力を進めている。一方、今の社会環境では、なかなかお客さん(視聴世帯)を補足(把握)しにくいという問題がある。オートロックマンションが増え、会うことすら難しくなっている。また、日本の場合、転勤があり、(視聴世帯を)つかみにくい。だからこそ、転勤の多い東京や大阪といった都市部では支払率が低い。今度、マイナンバーも導入されるため、どう利用できるか、考えていかなければいけない

・・・・・・・・・

--再び受信料制度について。率直にいって、支払い義務化によって、支払率は100%にできると考えるか

 「仰る通り、仮に支払いを義務化して、罰則を付けたら払ってくれるかというと、(対象となる世帯をNHKが)補足できない限りは無理だ」
 「だから、どう(対象世帯を)補足するかが一番のポイントだ。ちなみに、NHK受信料は欧米各国の公共放送と比べて安いんですよ。ご参考までに」

 --自民党小委員会は、マイナンバー制度の活用も検討するよう提言している。これについてはどう考えるか

 「今のところ何とも言えないが、何となく、使えばもっと便利なのではないか、という気はする。ただ、まだよく分からない」
 「積極的に、活用については検討したい

・・・・・・・・・

 マイナンバーの話は、記者の質問に答える中で出てきたようです。
 なお、質問の中にある自民党小委員会とは、「自民党情報通信戦略調査会」の「放送法の改正に関する小委員会」のことです。

■受信料徴収にマイナンバーを活用は、自民党の方針

 自民党の小委員会は「第一次提言」を2015年9月24日に公にしています。共同通信(9月25日)は、提言について次の様に報じています。

・・・・・・提言書では、義務化についての具体的な制度設計や、マイナンバーを活用した支払率向上に向けた仕組みづくりの検討を総務省に要請。NHKに対しては、義務化が実現した場合、どの程度の値下げが可能になるか試算するよう求めた。・・・・・・

 要するに、マイナンバー云々は、籾井会長が独自の判断で勝手に言い出したことではなく、自民党の提言を受けたものだったのです。
 自民党と籾井会長との関係を考えれば、会長の言として「マイナンバーの受信料徴収への利用拡大は、これまでの政府の説明を逸脱している、無茶苦茶だ」と批判してもほとんど意味はないでしょう。
 彼は、安倍首相の傀儡に過ぎません。政権の意向をそのまま垂れ流しているだけの人物です。批判すべきは、マイナンバーの際限なき利用拡大を図る自民党、安倍政権なのです。

■高市総務相、会長発言を国のマイナンバー利用拡大方針の範囲内と当然のように「追認」し、検討を「要請」

 高市総務大臣は、10月2日の閣議後記者会見で、NHK会長のマイナンバー制度活用に関する発言について問われて、下記(赤字強調は引用者)のように、国が定めたマイナンバーの利用拡大方針の範囲に含まれていると答えています。そして、その上で「NHKによる活用についても、まずはNHKにおいて検討を進めていただいて、また、その状況を御提言いただけたらと思っております」としています。

 自民党が提言をし、NHK会長がそれに応じ、総務省が国の方針の一部だとこれを追認し、NHKに検討を要請するという筋書き通りに事が運ばれているだけです。

問: あと、自民党の小委員会で、昨日、NHKの会長がマイナンバー制度と受信料の徴収を結びつけることに言及されましたけれども、その辺についての御見解をお願いいたします。
答: まず、自民党の検討会の方で受信料についての御提言がございました。これも幅広く、今後、課題を洗い出して検討をしていくということになるかと考えております。もちろん、新たに立ち上げる組織の検討課題の一つでございます。
 それから、籾井会長がマイナンバー制度を活用した受信料の支払いということですか、そういうことで発言をされたと、それは私は報道で知ったのですけれども、マイナンバー制度の利活用範囲の拡大につきましては、「日本再興戦略」においても明記をされていますので、総務省でも、有識者による懇談会を先般立ち上げをしました。ここで、経済成長や国民の利便性という観点から、個人番号カードの利活用の促進について検討を始めたところです。この中に、通信・放送・郵便事業ももちろん含まれます
  NHKによる活用についても、まずはNHKにおいて検討を進めていただいて、また、その状況を御提言いただけたらと思っております。

194

 なお、放送法の改正に関する小委員会の提言は、自民党サイトに掲載されています。マイナンバーに関する部分は次の通りです。

 NHKの受信料支払い義務化については、総務省として具体的な制度設計を行うとともに、強制徴収や罰則、マイナンバーの活用など、支払率の向上に資する制度・仕組みについても併せて検討すること。

■例え籾井氏が会長職を退いても、マイナンバー活用の方針は変わらない

 受信料の支払率の向上のためにマイナンバーをどう使うのかは全くわかりませんが、それが会長個人の考えではなく、自民党の方針であることは間違いありません。
 例え籾井氏が会長職を退いても、現在の自民党とNHKの関係が維持される限り、「受信料徴収にマイナンバーを活用」の方針は変わることはないでしょう。

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