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2015年9月 7日 (月)

国家公務員の身分証にマイナンバーのカードを使うお話し (4) 身分証にするのはカードの普及が目的

  「国家公務員の身分証にマイナンバーのカードを使うお話し (1) ケースに入れると身分証に早変わり」、「国家公務員の身分証にマイナンバーのカードを使うお話し (2) 費用は5億4千万円」、「国家公務員の身分証にマイナンバーのカードを使うお話し (3) 気象庁は1,800万円かけてICカード作ったばかりだが」の続きです。

■甘利担当大臣は、個人番号カードを普及させるためと発言

 なぜ、政府は、マイナンバーの個人番号カードを5億や10億もの予算を使ってまで国家公務員の身分証にしたいのでしょうか。

 9月4日、マイナンバーの担当大臣である甘利内閣府特命担当大臣が、記者会見で、次の様な質疑応答をしています。

(問)マイナンバーの周知・広報の徹底と呼びかけを強化していくということでしたけれども、今回のタイミングで新たに始めることであったりとか、また先ほど便利な部分という話もありましたけれども、この部分を特に強化して周知・徹底したいという部分があれば、詳しくお教えいただけますでしょうか。

(答)広報につきましては、10月から再度、強化していきたいと思っております。テレビスポットも含めてやってまいります。

 それから、先ほど申し上げましたように、各府省に協力をお願いしました。関係担当者が集まった席で、具体的にいろいろ作業の要請をしていきます。当面、国家公務員の身分証、これとマイナンバーカードを統合させるということで、その部分は一気に広めていきたいと思っております。

 マイナンバーカードが国民にとって負担ではなくて、便利なツールであるということを理解してもらえるように、マイナンバーカードに統合していく仕組み等を、年度を追ってこういうことになっていきますよと。象徴的な例では、保険証がそのままマイナンバーカードになりますであるとか、あるいは、かかりつけ薬局のお薬カード、つまり服用履歴というのは、通院患者にとって非常に大事になってきますけれども、その履歴、飲み合わせてはいけないような薬がカード1枚で、どこの薬局でも分かるようになりますなど、マイナンバーカードの利便性をしっかりPRしていきたいと思っています。

 要するに、個人番号カードを普及させるために、5億4千万円もの予算を注ぎ込んで国家公務員の身分証にしていくというのが国の考えのようです。

■「個人番号カードの普及がマイナンバー制度の成否を左右」

 もう少し時間を遡ると、こんな文書が見つかります。

 「各府省におけるマイナンバー制度の施行に向けた準備について」(平成27年3月27日 内閣官房社会保障改革担当室)(PDF)。この文書は、政府のIT総合戦略本部のもとに作られた各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議の第61回(2015年3月27日)に配付された資料です。
 そこにはこうあります。

○個人番号カードの取得促進に向けた準備

 個人番号カードの普及がマイナンバー制度の成否を左右するものとして、個人番号カードの無料交付のための予算措置を講じたところ。
 現在、内閣官房IT総合戦略室を中心に個人番号カードを国家公務員ICカード身分証として利用する方向で各府省と調整中のほか、健康保険証としての利用も検討しており具体的な方針が固まった時点で各共済へは改めて説明させていただく予定。
 まずは、国家公務員が率先して取得する観点から、各府省の機関や部門ごとに個人番号カードの取得申請書を取りまとめて申請するなどできないか、検討していただきたい。

 やはり、「身分証明書にする」は、個人番号カードの普及が最大の目的だったようです。
 しかし、そのためには、「国家公務員の身分証にマイナンバーのカードを使うお話し (1) ケースに入れると身分証に早変わり」で書いたように、カードケースを使うというトンでも策を、成りすましの危険性を高めてまで、使わざるを得ないのです。本末転倒もはなはだしい愚策です。

■自民党の提言が政府を大きく動かす

 さらに遡ります。

 2014年7月2日、自民党政務調査会IT戦略特命委員会マイナンバー利活用推進小委員会(平井たくや氏が委員長、福田峰之氏が事務局長)が、「個人番号カード普及に向けた緊急提言 ~確実な手立てを講じるか、施行凍結化の二者択一~」と題した提言を発表します。

 提言は、「マイナンバー制度への期待と課題として」(140ページ)

 社会保障や税の各種手続きでの本人確認、各種利便性の高いオンラインサービスでの認証手段となる「個人番号カード」を広く国民に持ってもらうことが必要不可欠な大前提であるが、政府の現状の取組みは、住基カードが普及しなかった失敗の二の舞を確信させられるものである。
 政府に対して、住基カードが普及しなかった反省の上に立った個人番号カードの普及策の実現を強く求める。仮に、個人番号カードを普及させる確実な手立てを講じられないのであれば、マイナンバー制度の施行は凍結するぺきである。

と厳しく述べた後、「官民の各種カードの機能一元化」として

 国や地方公共団体が発行するカード(印鑑登録カード、施設使用カード、職員身分証明書等)は、順次個人番号カードに置き換えること。個人番号カードの普及に資する民間事業者のICチップの空き領域の利用を解禁すること。社員証、学生証、診察券、金融機関のキャッシュカード等に利用できるようにすること。

としています。

 自民党による、「カードが普及しなければマイナンバーは失敗。普及する確実な手立てがなければ制度は凍結しろ」という極めてきつい調子の提言が、個人番号カードの身分証化へと政府を大きく動かしたのは間違いありません。

 また、提言は、「官民の各種カードの機能一元化」の他にも、カードの普及策として、「交付方法の再考」、「多くの国民が保有するカードとの機能一元化」、「無料交付」を求めていました。これらも、個人番号カード交付の一括申請や、健康保険証との一体化、交付は無料などの形で、その後、国の方針に盛り込まれ、今や実行されようとしています。
 提言は、たいへん大きな力を発揮したようです。

■個人番号カードの普及策の1つに「国家公務員の身分証」を盛り込んだ「世界最先端IT国家創造宣言 改定」

 自民党の提言が出される少し前の2014年6月24日。IT総合戦略本部が「世界最先端IT国家創造宣言」の改定(PDF)を行い、同日閣議決定されています。ここに、個人番号カードを国家公務員の身分証にの話が出て来ます。

 個人番号カードについては、そのICチップの空き領域や公的個人認証サービス等を活用し、健康保険証や国家公務員身分証明書など、公的サービスや国家資格等の資格の証明等に係るカード類の一体化/一元化、個人番号カードで利用できるコンビニエンスストアでの住民票の写し等の交付等のサービスの拡大、放送・通信分野等における個人番号カードの民間利活用場面の拡大、実社会における対面及びオンライン上の非対面での本人確認手段としての利活用場面の拡大や、取得に係る負担の軽減等により、広く普及を図る。

と書かれています。
 また同時に決定された「工程表」(PDF)は、「個人番号カードの普及」の項に

 暮らしに係る公的サービス及び国家資格等の資格の証明に係るカード類(健康保険証、各種国家資格等資格証明書、国家公務員身分証明書等)について、個人番号カードへの一元化に向けた検討を行い、2016年1月の交付開始以降、順次、一元化を行うとともに、印鑑証明カードや施設利用カード等の個人番号カードへの一体化等、市町村による独自利用を推進する。【内閣府、総務省及び関係省庁】

と書かれています。

 因みに、改定前の「世界最先端IT国家創造宣言」(PDF)は2013年6月14日に策定されていますが、個人番号カードを国家公務員の身分証に使うなどとは書かれていません。

■マイナンバー制度の普及と利便性向上は「ニワトリと卵」の関係、だから個人番号カードの普及を図ることが重要と

 さらに遡ります。

 「世界最先端IT国家創造宣言」の改定版のもとになった文書の1つに「IT総合戦略本部新戦略推進専門調査会マイナンバー等分科会 中間取りまとめ」(PDF)というものがあります。これは、新戦略推進専門調査会マイナンバー等分科会が、2014年5月20日に取りまとめたもので、次のようなことが書かれています。

 マイナンバー制度の普及と利便性向上は「ニワトリと卵」の関係にあるため、マイポータル等の利用手段である個人番号カードの普及を図ることが重要である。そのため、多くの国民が自ら申請し、個人番号カードを保有することとなるような制度設計を検討するとともに、個人番号カードの保有により、実社会において国民が実感できるメリットをわかりやすい形で提示し、拡大するために、個人番号カードの交付開始までに、最大限、以下の取組を進めるべきである。

とした上で

 社会保障分野で全国民が保有する健康保険証、各種国家資格等の資格の証明書、国家公務員等の身分証明書等の機能について、個人番号カードへの一元化を図るため、券面表示、機能搭載の方法や発行・失効手続き、資格確認の方法やデータベースの連携等について具体的に検討を進め、実現に向けたロードマップを作成する。

としています。
 要するに、国民が持たざるを得なくなる機能をカードに載せ、よってマイナンバー制度の普及を図ろうというのです。国家公務員等の身分証明書をマイナンバーのカードにも、その一環なのです。

 なお、ここで出て来る「実現に向けたロードマップ」は、先に述べた「世界最先端IT国家創造宣言」改定版の「工程表」(PDF)として現実化されています。

■最初の提案者は、清原慶子・三鷹市長?

 では、こうした考えは、誰が提案し「中間取りまとめ」に盛り込ませたのでしょうか。

 取りまとめが行われるおよそ一月前に開かれた第4回マイナンバー等分科会(2014年4月25日)に、構成員の1人である清原慶子・三鷹市長が資料「中間とりまとめの方向性(案)について~基礎自治体の視点から~」を提出しています。そこには

 マイナンバー制度は個人番号カードの普及により、利用する国民・市民・顧客・消費者に利便性を実感していただけるものとして想定されてきているが、その個人番号カードは「配布」されるものではなく、基礎自治体(市町村)への「申請」により「交付」されるものであること。
 したがって、よほどのインセンティブがなければ、制度発足当初に個人番号カードの普及が期待されないことから、先立って、普及を促す条件整備が不可欠であり、国、自治体、民間事業者の格別の創意工夫と協働が求められること

とした上で、「公務員による個人番号カードの率先活用」として

 個人番号カードのICチップ活用として、各種証明書の兼用化を進めて利便性の向上を図る。このため、国・地方自治体において職員身分証への適用など、率先した取り組みが必要

とあります。

 どうやら、個人番号の普及を図るために「国家公務員の身分証に」の出発点はこのあたりにあるようです。国の官僚ではなく、市長が提案していたとは驚きです。
 なお、清原市長は、市長に就任する前の1999年から2003年まで東京工科大学メディア学部の教授を務めています。

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