「マイナンバーのカードを学生証に」だって! 冗談なの? バカなの?
8月20日付けのブログ記事「日経新聞に『マイナンバー、職場で配布 カードの一括申請可能に」の記事が」で、私は「日経の記事の最後には『学校でも学生がカードを受け取れるようにしてマイナンバーカードを身分証明書に活用する計画などを後押しする。出席をカードで確認すれば、学校の事務負担を軽減できるとみている』とある」と書いたが、毎日新聞も「カードを学生証」という記事を掲載した。政府は本気でカードを学生証に使わせるようだ。
■「一部の学校で『カードを学生証として利用したい』との要望が」
8月22日付けの「毎日新聞」(http://mainichi.jp/select/news/20150822k0000m020078000c.html)は、「政府は来年1月から希望者に配られるマイナンバーカードについて、企業が従業員分をまとめて申請できるようにする」とした上で、「一部の学校で『カードを学生証として利用したい』との要望があり、学校が学生分を一括申請することも検討」としている。
現在、多くの大学では、学生証はICカードになっている。政府の考えは、このICカードの学生証をマイナンバーのカード、すなわち個人番号カードに置き換えようということなのだ。
ということはこういう話になる。
学校のエライ人「学生のみなさん。我が校は、マイナンバーのカードを学生証にしました。学生証は出席確認に必要ですので毎日必ず持って登校してください。でもカードの裏には個人番号が書いてありますから、人に見られないように注意してください」
おそらく政府が想定しているのは、大学だと思われるが、もし高校や中学校、小学校までという話ならもう何をか言わんやである。
なお「いや~大丈夫ですよ。裏が見られないようにケースに入れます」とか、「目隠しシールを裏に貼ります」とかの提案(反論?)は、想定内ですので必要ありません。
■学生証として使えるのか
マイナンバーのカードを「学生証にもする」には、根本的な問題がある。
おそらく今使っている学生証は、我が校の学生か否かを目視でも確認できるはずだ。
しかし、マイナンバーカードで判別する場合には、ICチップ内の公的個人認証の証明書を読み出し、学生簿の入ったサーバーのデータと付き合わせる必要がある。サーバーに繋がった端末がなければ判別できない。
「いや~大丈夫ですよ。教職員はスマホで確認できるようにシステムを作りますよ」とか反論されるかも知れない。しかし、そこは一言「セキュリティは?」としておこう。
百歩譲って、教職員は「スマホで確認」ができたとしても、映画館とかどうするのだろう。学生割引ってあるよね。
※ マイナンバーの個人番号カードの表面に「○○大学の学生である」ことを記載できる空きスペースはありませんので念のため。それから裏面に記載するのも、個人番号を相手に晒すことになるので不可です。 参考にどうぞ → 総務省「個人番号カードの様式について」
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