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« DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に? | トップページ | 【続報】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に? »

2015年7月15日 (水)

マイナンバーとカードの際限なき利用拡大を図る ――世界最先端IT国家創造宣言

    簡単に言うと

  • 6月30日、マイナンバーを「豊かな暮らしを実現するための基盤」と位置づける「世界最先端IT国家創造宣言 改訂」が閣議決定された。
  • 宣言は、戸籍事務、旅券事務、在外邦人の情報管理業務、証券分野等でのマイナンバーの利用の検討を進め、2019年通常国会をめどに必要な法制上の措置などを講ずるとしている。
  • 個人番号カードについて、2016年1月から国家公務員身分証とするとともに、地方自治体などの職員証や民間企業の社員証等としての利用の検討を促すとしている。また、2017年度以降でのキャッシュカードやデビットカード、クレジットカードとしての利用について民間事業者と検討を進めるとともに、2017年7月以降早期に健康保険証として利用することを可能とするとある。
  • 2017年1月のマイナポータルの運用開始に合わせ、個人番号カードの公的個人認証機能を活用し、官民の証明書類の提出や引っ越し・死亡等に係るワンストップサービスなどを順次実現するとしている。
  • 5月のマイナンバー等分科会に福田峰之・内閣府大臣補佐官が提出した「マイナンバー制度利活用推進ロードマップ(案)」が、IT国家創造宣言によって、そのまま国の方針として確定されたのだ。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 6月30日、「経済財政運営と改革の基本方針2015」、「日本再興戦略 改訂2015」、「世界最先端IT国家創造宣言 改訂」の3つの政府方針が、一度に閣議決定(http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/)された。

 方針、戦略、宣言のどれにも、マイナンバーの活用がうたわれている。
 このうち「経済財政運営と改革の基本方針2015」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2015/2015_basicpolicies_ja.pdf)については「マイナンバーで社会保障費の削減と税の徴収強化を ―骨太の方針2015」にて、また「日本再興戦略 改訂2015」については「マイナンバーの戸籍や旅券での利用や、個人番号カードのクレジットカードとしての利用も ―日本再興戦略 改訂2015」で、それぞれ何が書かれているのか明らかにした。
 今回は、残る「世界最先端IT国家創造宣言 改訂」(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20150630/siryou1.pdf)がマイナンバーの活用についてどのように書いているのか見てみることにしたい。

■世界最先端IT国家創造宣言とIT総合戦略本部

 今回改訂された「世界最先端IT国家創造宣言」は、もともとIT総合戦略本部が2013年6月に策定し閣議決定されたもので、2014年6月にも一度改訂されている。

 正式名称「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」のIT総合戦略本部は、「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」に基づき、「高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進する」(25条)ために2001年1月に内閣に設置された行政機関である。これまでにe-Japan戦略や、IT新改革戦略などを策定してきた。

 本部長は内閣総理大臣、副本部長はIT政策担当大臣、内閣官房長官、総務大臣、経済産業大臣であり、他の全ての国務大臣と民間有識者などが本部員となっている。
 現在、内山田竹志・トヨタ自動車株式会社代表取締役会長、鵜浦博夫・日本電信電話株式会社代表取締役社長、坂村健・東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授、村井純・慶應義塾大学環境情報学部長などが有識者として参加している。

■ マイナンバーは豊かな暮らしを実現するための基盤?

 「世界最先端IT国家創造宣言 改訂」(以下、「IT国家創造宣言・改定」)は、「Ⅰ.基本理念」「Ⅱ.目指すべき社会・姿」「Ⅲ.目指すべき社会・姿を現するための取組」「Ⅳ.利活用の裾野拡大を推進するための基盤の強化」「Ⅴ.本戦略の推進体制・推進方策」からなる。「マイナンバー」の語は、全体を通して26回出て来る。

 「Ⅰ.基本理念」では、マイナンバー制度は、この2年間にわたるとりくみによって、IT利活用に係る基盤は整備されつつあるとして、その代表的な成果の1つとして取り上げられている(1頁)。そして、世界最高水準のIT利活用社会を目指し、「これまで整備してきたマイナンバー制度などのIT利活用基盤を積極的に活用し、未来社会の産業創造、社会改革を念頭に置きつつ、世界に先駆けて『課題解決型IT利活用モデル』を構築し、国民が実感できる『真の豊かさ』を実現することに重点を置くものとする」(4頁)としている。

 「Ⅱ.目指すべき社会・姿」では、マイナンバー制度は「様々な場面や分野においてIT利活用促進に係る重要な基盤となるインフラを提供し、国民生活の安全・安心・公平・豊かさを実現するもの」と位置づけられ、その徹底活用により「オープンで利便性の高い公共サービスを提供し、電子行政サービスがワンストップでどんな端末でも受けられる『便利なくらし』社会を実現する」としている(7頁)。
 マイナンバー制度で税・社会保険料徴収の適正化を進めることをうたった「骨太の方針2015」とは違い、IT国家創造宣言・改定は、その役割を便利な暮らしを実現するための基盤であるとしている。

■ マイナンバーの利活用範囲の拡大とカードの利活用促進

 「Ⅲ.目指すべき社会・姿を現するための取組」では、Ⅱで示した行政サービスの電子化・ワンストップ化のための法整備を次期通常国会から順次行うとしている(9頁)。

 また、ここでは「効果的・効率的で高品質な医療・介護サービスの展開」を目指すために、「マイナンバー制度のインフラを活用して、医療機関の窓口において、医療保険資格をオンラインで確認できるシステムを整備することにより、個人番号カードを健康保険証として利用することを可能とする仕組みを整備する」とともに、「オンライン資格確認の基盤を活用して、医療等分野に用いる番号を早期に導入する」としている(17頁)。

 さらに「経済成長のツールとしてマイナンバーの積極的な利活用を図る上では、国民の個人情報保護に関する不安に鑑み、十分な情報セキュリティ対策を講ずることが重要である」とした上で、マイナンバー制度の活用策が示されている(25~27頁)。
 要約すると、

① マイナンバー利活用範囲の拡大
 戸籍事務旅券事務、在留届など在外邦人の情報管理業務、証券分野等において公共性の高い業務についての利用の検討を進め、2019年通常国会をめどに必要な法制上の措置などを講ずる。

② 個人番号カードの普及・利活用の促進
 2016年1月から国家公務員身分証との一体化を進めるとともに、地方自治体、独立行政法人、国立大学法人等の職員証や民間企業の社員証等としての利用の検討を促す。
 2017年度以降の個人番号カードのキャッシュカードデビットカードクレジットカードとしての利用などについて民間事業者と検討を進める。
 2017年7月以降早期に医療保険のオンライン資格確認システムを整備し、個人番号カードを健康保険証として利用することを可能とする
 印鑑登録者識別カードなどの行政が発行する各種カードとの一体化を図る。 各種免許等における各種公的資格確認機能を個人番号カードに持たせることについて検討を進め、可能なものから順次実現する。
 個人番号カードを利用した、住民票、印鑑登録証明書、戸籍謄本等のコンビニ交付について、来年度中に実施団体の人口の合計が6千万人を超えることを目指す。
 住民票を有しない在留邦人への個人番号カードの交付などの2019年度中の開始を目指し、検討を進める。

③ マイナポータルの構築・利活用
 個人番号カードの公的個人認証機能を活用し、官民で連携した仕組みを設け、電子私書箱機能を活用した官民の証明書類の提出や引っ越し・死亡等に係るワンストップサービスなどを2017年1月のマイナポータルの運用開始に合わせて順次実現する。

④ 個人番号カード及び法人番号を活用した官民の政府調達事務の効率化
 個人番号カード、法人番号を用いて、政府調達に関する入札参加資格審査から契約までの一貫した電子化を2017年度から順次開始する。

⑤ 法人番号の利活用推進
 既存の法人に係る各種の番号との連携などにより、法人に係る情報についての検索・利用を容易にし、法人番号の利用価値を高める。

 また、「国・地方を通じた行政情報システムの改革」の1つとして、「2017年7月の地方の情報提供ネットワークシステムの運用開始以降、マイナンバー制度を活用した子育てワンストップサービスの検討を進める」としている(29頁)。もっとも、このサービスがどのようなものであるかの説明は一切ない。

■ 「利活用推進ロードマップ(案)」を国の方針にしたIT国家創造宣言

 IT国家創造宣言・改定が示した活用策の多くは、「日本再興戦略 改訂2015」でうたわれたものと同様に、IT総合戦略本部のマイナンバー等分科会(5月20日開催)に福田峰之・内閣府大臣補佐官が提出した「マイナンバー制度利活用推進ロードマップ(案)」(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/number/dai9/siryou6.pdf)の内容とそっくりである。分科会でなされた議論が、そのままIT国家創造宣言・改定に持ち込まれ、閣議決定を経て、正式な国の方針となったのだ。

※ 「マイナンバー制度利活用推進ロードマップ(案)」については、当ブログの筆者である黒田が「IWJ Independent Web Journal」に寄稿した「暴走するアベのマイナンバー ~『カジノ入館』にまで!? 政府が描く、国民総背番号制の驚愕の“未来図”の正体」(http://iwj.co.jp/wj/open/archives/249621)を参照されたい。

 なお、IT国家創造宣言・改定には、工程表(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20150630/siryou3.pdf)が策定されている。下記の図は、そのうちの 「安全・安心を前提としたマイナンバー制度の活用」(100~103頁)の部分である。

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