フォト

本を出しました

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
2016年10月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

« マイナンバーは私たちに何をもたらすのか(講演用レジュメ) | トップページ | マイナンバーの戸籍や旅券での利用や、個人番号カードのクレジットカードとしての利用も ―日本再興戦略 改訂2015 »

2015年7月 1日 (水)

マイナンバーで社会保障費の削減と税の徴収強化を ―骨太の方針2015

     簡単に言うと

  • 6月30日に閣議決定された「骨太の方針2015」には、マイナンバーの活用が盛り込まれた。
  • 方針は、マイナンバーで税・社会保険料徴収の適正化を進める、要するに徴収(取り立て)の強化を図る考えを示す。
  • 金融資産の保有状況(預金残高?)と医療保険、介護保険の負担額を連動させることも。
  • 固定資産(土地・家屋)にもマイナンバーを紐付けし、税・社会保険料の徴収強化に役立てる。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 6月30日、「経済財政運営と改革の基本方針2015」、「日本再興戦略 改訂2015」、「世界最先端IT国家創造宣言 改訂」の3つの政府方針が、一度に閣議決定(http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/)された。

 方針にも戦略にも宣言にも、マイナンバーの活用がうたわれているのだが、今回は「経済再生なくして財政健全化なし」との副題がつけられた「経済財政運営と改革の基本方針2015」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2015/2015_basicpolicies_ja.pdf)には、何が書かれているのかみることにしたい。

■骨太の方針とは

 「経済財政運営と改革の基本方針2015」は、いわゆる「骨太の方針」の2015年版である。2001年以降毎年(民主党政権下で一時中断)、内閣総理大臣からの諮問を受けた経済財政諮問会議が答申をし、これを閣議決定する形式をとっている。。
 経済財政諮問会議は内閣府設置法に基づく行政機関で、同会議のウェプサイト(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)には

 経済財政諮問会議は、経済財政政策に関し、内閣総理大臣のリーダーシップを十全に発揮させるとともに、関係国務大臣や有識者議員等の意見を十分に政策形成に反映させることを目的として、内閣府に設置された合議制の機関です。

と説明されている。なお、同会議は内閣総理大臣、内閣官房長官、経済財政政策担当大臣等の閣僚と民間有識者で構成(名簿[PDF])されており、議長は内閣総理大臣が務めている。

 なお、「骨太の方針2015」が答申として決定された経済財政諮問会議は、産業競争力会議との合同という形で、6月30日に首相官邸4階大会議室にて17時00分~17時25分に開催(http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201506/30goudoukaigi.html)されている。閣議は、その後に開かれたものと思われる。

■マイナンバーの活用で税・社会保険料徴収の適正化を

 さて、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(以下、骨太の方針2015)には、マイナンバーについて何が書かれているのか。

 骨太の方針2015は、第1章 現下の日本経済の課題と基本的方向性、第2章 経済の好循環の拡大と中長期の発展に向けた重点課題、第3章 「経済・財政一体改革」の取組-「経済・財政再生計画」、第4章 平成28年度予算編成に向けた基本的考え方からなっている。

 マイナンバーの語は9カ所で使われているが、登場するのは全て第3章である。
 「『経済・財政一体改革』を不退転の決意で断行する必要がある」とする「経済・財政再生計画」の「2.計画の基本的考え方」の(歳入改革)の項に「マイナンバー制度の活用等により税・社会保険料徴収の適正化を進める」(23頁)とあり、「目標とその達成シナリオ、改革工程」の項には「マイナンバー制度の活用による徴収の適正化や税外収入の確保などの効果も想定される」(25頁)とある。マイナンバーで歳入増(徴収強化)をということだ。

■マイナンバーの活用で業務の簡素化・標準化

 一方、歳出面では、「4.歳出改革等の考え方・アプローチ」の「公共サービスのイノベーション」の項に、「マイナンバー制度の活用やITを活用した業務の簡素化・標準化」などを重点的に取り組むことで、「行財政改革の遅れている国の機関、自治体等の取組を促すとともに、企業等による新サービスの創出を促進する」(29頁)とある。マイナンバーで歳出を減らすとともに、企業の新サービスに活用というのが政府の考えなのだ。
 また「マイナンバー制度を有効活用し、質の高い公共サービスを効率的に提供する優良事例を全国に展開する」(30頁)ともある。自治体にマイナンバーの活用を色々させようということなのだろう。

■金融資産を医療・介護保険負担額に連動

 「5.主要分野ごとの改革の基本方針と重要課題」では、「[1]社会保障」の(基本的な考え方)として、「民間の力を最大限活用して関連市場の拡大を実現することを含め、社会保障関連分野の産業化に向けた取組を進める」(30頁)と、社会保障を民営化、市場化からさらに踏み込み「産業化」するとしている。
 その上で、(公的サービスの産業化)の項で、「マイナンバー制度のインフラ等を効率的に活用しつつ、医療保険のオンライン資格確認の導入、医療機関や介護事業者等の間の情報連携の促進による患者の負担軽減と利便性向上、医療等分野における研究開発の促進に取り組む」(32頁)としている。

 さらに、(負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化)の項で「世代間・世代内での負担の公平を図り、負担能力に応じた負担を求める観点から、医療保険における高額療養費制度や後期高齢者の窓口負担の在り方について検討するとともに、介護保険における高額介護サービス費制度や利用者負担の在り方等について、制度改正の施行状況も踏まえつつ、検討を行う。また、現役被用者の報酬水準に応じた保険料負担の公平を図る。このため、社会保障改革プログラム法に基づく検討事項である介護納付金の総報酬割やその他の課題について検討を行う」とともに、「医療保険、介護保険ともに、マイナンバーを活用すること等により、金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担を求める仕組みについて、実施上の課題を整理しつつ、検討する」(33頁)としている。
 マイナンバーを使って、資産を医療保険、介護保険の負担額に連動させようというわけだ。

■固定資産にもマイナンバーを紐付け

 「[3]地方行財政改革・分野横断的な取組等」の(IT化と業務改革)の項では「国・地方(独立行政法人を含む。)を通じた横断的な取組として、行政のIT化に対する国民の信頼が確保されるよう、徹底したサイバーセキュリティ対策を講じつつ、マイナンバー制度の導入を突破口に更なるIT化と業務改革を図る」(39頁)とある。
 行政のIT化の突破口にマイナンバーをと目論んでいるようだが、昨今の日本年金機構などの現実を見ればプライバシー流出の突破口になりそうだ。

 「[5]歳入改革、資産・債務の圧縮」の「(1)歳入改革」「①歳入増加に向けた取組」では「課税等インフラの整備」として、「マイナンバー制度を活用し、徴税コストの削減を図るとともに、担税力を適切に捕捉するため、金融及び固定資産情報(登記及び税情報を含む。)と所得情報をマッチングするなど、マイナンバーをキーとした仕組みを早急に整備するとともに、税・社会保険料徴収の適正化を進める」(41頁)とある。
 マイナンバーとの紐付けを、所得や金融資産だけでなく固定資産にも行い、これを税・社会保険料の徴収強化に役立てようと考えているようだ。将来、地価の高いところに住んでいる者は、たとえ所得が少なくとも、高額の保険料を請求されることになりそうだ。

 以上のように、マイナンバーで社会保障費の削減と税の徴収強化を図ろうという政府の意図は、骨太の方針2015に極めて明確に示されているのだ。

« マイナンバーは私たちに何をもたらすのか(講演用レジュメ) | トップページ | マイナンバーの戸籍や旅券での利用や、個人番号カードのクレジットカードとしての利用も ―日本再興戦略 改訂2015 »

マイナンバー、マイナンバーカードの利用拡大」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/600763/61819522

この記事へのトラックバック一覧です: マイナンバーで社会保障費の削減と税の徴収強化を ―骨太の方針2015:

« マイナンバーは私たちに何をもたらすのか(講演用レジュメ) | トップページ | マイナンバーの戸籍や旅券での利用や、個人番号カードのクレジットカードとしての利用も ―日本再興戦略 改訂2015 »