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2015年6月30日 (火)

マイナンバーは私たちに何をもたらすのか(講演用レジュメ)

 マイナンバー制度に関する講演用の標準的なレジュメを作成しましたので、公開します。


マイナンバーは私たちに何をもたらすのか

    黒田 充 自治体情報政策研究所代表

0 始めに

マイナンバー制度の何が問題か

「個人情報が漏れると困る」「個人情報が政府に全部筒抜けになる」・・・・・・

1 マイナンバー制度の概要

1-1 マイナンバーの根拠法

番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)

2013年5月の国会で自・公・民・み・維などの賛成多数で成立

1-2 番号通知

10月5日時点での住民登録(住民票)に基づき個人番号を、商業登記・法人登記などに基づき法人番号を、それぞれ付番

個人番号  12桁の番号  生涯不変、変更は市町村長が認めた場合のみ

対象は、住民登録(住民票)のある全ての国民・特別永住者、中・長期在留外国人

10月以降に、番号の記載された通知カードを市町村から簡易書留(1世帯に1通)で交付

法人番号  13桁の番号  秘密ではなく、インターネットを通じて公表を予定

対象は、国の行政機関、地方自治体、設立登記のある法人、税務署に開業届を行った法人等

10月以降に、国税庁長官から書面により通知

1-3 番号の利用

来年1月から番号の利用を開始

国の行政機関、市町村、日本年金機構、健康保険組合等の持っている個人情報にマイナンバーを紐付け(リンク)し、マイナンバーで名寄せ(データマッチング)する

始まりはゆっくり、全てが一度にスタートするわけではない

1-4 マイナンバーカード

個人番号カード  写真付きICカード、来年1月から市町村が希望者に交付

申請用紙は通知カードともに送られてくる

国民には、個人番号を告げる義務、証明する義務

事業者には、従業員等の個人番号を聞く義務、安全に保管する義務

個人番号カードの市町村による独自利用や民間利用も可能

市町村:地域通貨、図書館カードなど  民間 :本人確認(身分証明)

個人番号カードの矛盾

個人番号が他人に知られないように ⇔ 個人番号が書かれたカードを日常的に利用

1-5 マイナポータル

情報提供等記録開示システム(2017年1月~)

「自己のマイナンバーに係る個人情報」についてのアクセス記録の確認

行政機関等が保有する「自己のマイナンバーに係る個人情報」の確認

行政機関等からのお知らせの確認

1-6 使わないという選択肢

あなたはマイナンバー(カード)を使いますか

税    源泉徴収票、年末調整、確定申告税務署等に提出する書類への記載

社会保障 年金、医療、介護、生活保護、児童手当などの手続の際に、番号を告知

番号を書かない、言わないとどうなる?

雇用や社会保障、住民サービスからの排除も

番号告知をしない従業員がいたら・・・

2 マイナンバーの目的は何か

政府は「役所にある住民情報をより正確かつ効率的に活用できるようになる」というが

利用分野は、税、社会保障、災害対策など

本当の狙いは、目的は?

2-1 社会保障費の削減

「真に手を差し伸べるべき人」を選ぶ

出発点は小泉政権での社会保障番号の検討

所得や資産による給付制限

例えば  生活保護での資産や親族の調査に活用、社会保障の給付額に上限

     さらには、原因(メタボなど)による医療給付に制限

2-2 徴税強化

狙われているのは高所得者ではなく低所得者

扶養家族の所得、給与所得者の副業、子どものアルバイト

資産(預貯金、不動産)の把握

ただし、海外資産、海外取引の把握は困難

その一方、金持ちへの優遇策も ・・・ 金融商品(株、信託)への投資に損益通算の拡大

2-3 治安・テロ対策  戦争の出来る国

危惧されるのは「徴兵」ではなく、「徴用」

誰をどこに配置し何をさせるか  戦争は兵隊だけでは出来ない

2-4 IT公共事業としての側面も

マイナンバー特需は3兆円とも!

では、その「金」はどこから?  マイナンバーシステムの海外輸出も?

2-5 経済界からは「民間も利用したい」の声

プロファイリングを活用したビジネス

マイナンバーを使って個人情報を集め、コンピュータ上に、個人を仮想的に作り出す

シミュレーション、リスク管理、選別、等級化  「カモ」は誰か、危ないのは誰か

3 利用範囲は確実に広がっていく

3-1 番号法改正案

現在、国会で審議中の番号法改正案

預貯金の口座、特定健診、予防接種の履歴などに利用範囲を拡大

3-2 さらなる拡大は?

マイナンバー制度利活用推進ロードマップ(案)

IT総合戦略本部マイナンバー等分科会(5月20日)への福田内閣府大臣補佐官提出資料

 参考→首相官邸サイト https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/number/dai9/gijisidai.html

経済財政諮問会議「経済財政運営と改革の基本方針2015」 6月30日に閣議決定

 参考→内閣府サイト http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2015/decision0630.html

 マイナンバー制度の活用等により税・社会保険料徴収の適正化を進める

 医療保険、介護保険ともに、マイナンバーを活用すること等により、金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担を求める仕組みについて、実施上の課題を整理しつつ、検討する

 マイナンバー制度を活用して徴税コストの削減を図るとともに、担税力を適切に捕捉するため、金融及び固定資産情報(登記及び税情報を含む。)と所得情報をマッチングする等、マイナンバーをキーとした仕組みを早急に整備するとともに、税・社会保険料徴収の適正化を進める

産業競争力会議「『日本再興戦略』改訂2015」 6月30日に閣議決定

 参考→首相官邸サイト http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seicho_senryaku2013.html#c16

 マイナンバー利活用範囲の拡大、個人番号カードの普及・利活用の促進、個人番号カードによる公的資格確認、マイナポータルを活用したワンストップサービスの提供、個人番号カード及び法人番号を活用した官民の政府調達事務の効率化、年金・税分野での利便性の高い電子行政サービスの提供・年金保険料の徴収強化・行政効率化、マイナンバー制度のインフラを活用した医療等分野における番号制度の導入

IT総合戦略本部「世界最先端IT国家創造宣言 改訂」 6月30日に閣議決定

 参考→首相官邸サイト https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/decision.html

 マイナンバー制度は、今後、様々な場面や分野においてIT利活用促進に係る重要な基盤となるインフラを提供し、国民生活の安全・安心・公平・豊かさを実現するものである

 マイナンバー利活用範囲の拡大  戸籍事務、旅券事務は2019年通常国会をめどに法制化

 個人番号カードの普及・利活用の促進

 2016年1月に国家公務員身分証に。自治体等の職員証や民間企業の社員証等としての利用検討。2017年度以降、キャッシュカードやデビットカード、クレジットカードとしての利用などを民間事業者と検討。2017年7月以降早期に医療保険のオンライン資格確認システムを整備し健康保険証として利用を可能に

 マイナポータルの構築・利活用。個人番号カード及び法人番号を活用した官民の政府調達事務の効率化。法人番号の利活用推進

 マイナンバー制度のインフラを活用したオンライン資格確認の基盤を活用して、医療等分野に用いる番号を早期に導入する

3-3 利用拡大による情報流出の危険性の増大

日本年金機構からの個人情報の流出事件 125万件、101万人分?

同じ番号を多用することによる「芋づる式漏えい」の危険性

流出は防げるのか、流出するとどうなる

罰則の限界、セキュリティ(ハード、ソフト、人)の限界

回収は不可能、回復も不可能 → 次なる犯罪の標的に

しかし、「流出だけ」が問題ではない

4 マイナンバー制度の本質とは何か

4-1 マイナンバーは国民総背番号?

国民総背番号制度とは何か

①番号が、国等の行政機関によって、全国民に重複することのなく、漏れなく付けられている

②番号は、国等の行政機関によって、一元的に管理され、番号だけで個人を正確に特定できる

③番号は、国等の行政機関などにおいて、多目的に利用されている

④番号をキーにして、国民の個人情報を集約する、いわゆる名寄せができる

マイナンバーはこれらの要件を全て満たしている

4-2 マイナンバーとはいかなるシステムか

マイナンバー(国民総背番号)制度は、推進者の意図がどうであれ、日本の監視社会化をより一層進めることになる

①個人を特定するためのシステム

②プロファイリングのシステム

③分類・選別・等級化のシステム

④排除のシステム

5 では、どうする?

5-1 マイナンバーは、どのような社会をもたらすのか

「個人情報が漏れたら困る、恐い」の話だけではダメ

政府・財界の目的、マイナンバー制度の本質を踏まえた批判が必要

「法律にはそこまで書いていない」「政府はそんな説明していない」では『甘すぎる』

推進者の想定を超えて広がっていく可能性が大きい

政界・官僚・財界の思惑はバラバラ、「こんな便利なものは使わないと損」

想像力をたくましくすることが必要  このままでは日本の社会が激変する可能性

5-2 マイナンバーは、憲法違反

そもそも、マイナンバー制度(国民総背番号制度)は憲法違反

基本的人権(自己情報コントロール権)、生存権の侵害

5-3 取りあえず延期、そして中止・廃止へ

多くの国民は、よく知らない。一方で、延期の声も驚くほど多い

政治に関するFNN世論調査  先送りすべきだと思う 68.4%

準備が整いそうにない  多くの企業、特に中小・零細、さらに市町村も?

朝日新聞(2015/6/4)「マイナンバー、間に合う? 企業など『準備まだ』8割超」

取りあえず延期、そして中止・廃止への全国的な運動が必要不可欠

本当の狙いや、問題点を知り、知らせる

補足(1)「先進国には番号制度がある」のウソ

先進7ヶ国の中には、マイナンバーのような制度を採用している国は、まだない

イギリス:国民の反対で共通番号は挫折、ドイツ:税務に限定、フランス:社会保障に限定

アメリカ、カナダ:社会保障番号が様々な官民の分野で利用ただし取得は任意

イタリア:生涯不変ではない

補足(2)番号が届かない人たち

通知が届かない    住民票の住所と実際に住んでいる場所が違う人たち

番号が付番されない  戸籍はあるが住民票のない人たち 50~100万人?

2015年6月17日 (水)

暴走するアベのマイナンバー 〜「カジノ入館」にまで!? 政府が描く、国民総背番号制の驚愕の“未来図”の正体

008_2  5月31日の夜、「『ちょい飲み』二軒目。知らない人とも仲良くなれます。マイナンバーカードは、クレジットカードの機能も持つ事が出来ます。ちょい飲みは、チケット制ですがマイナ。」と書かれた投稿がFacebookにあるのが目に留まった。投稿は前日の21時18分、土曜日の夜だ。

 マイナンバー制度が来年1月にスタートする。10月には住民登録のある国民と在留外国人(以下、「国民等」)に個人番号が付番され、番号通知が市町村から届く。投稿にあるマイナンバーカード、正式名称「個人番号カード」は、ICチップのついたプラスチック製のカードで、来年1月から希望する国民等に市町村が交付する。

 個人番号カードにクレジットカードの機能がつく話などあっただろうか。内閣官房が・・・・・・

 続きは「IWJ Independent Web Journal 」でどうぞ

2015年6月 8日 (月)

マイナンバー制度「狙いは社会保障の抑制」

 日本共産党の「赤旗日曜版」2015年6月7日号に私、黒田充のコメントが掲載されましたので、ご紹介させていただきます。

001

 コメントが載ったのは、33面の「マイナンバー制度 情報一元化で流出被害は深刻 10月から番号通知 来年1月運用開始」と題した記事。政府の財政制度等審議会の「マイナンバーも活用」してとする資料を紹介し、「個人の金融資産を把握して、医療や介護の負担を引き上げる狙いが露骨です」としています。

 なお、私のコメントは次の通りです。 002_2

狙いは社会保障の抑制

 共通番号制の出発点は、自民党政権が長年狙っていた社会保障番号制です。個人の所得やどれくらい医療にかかったかなどを国が把握し、社会保障の抑制につなげるものです。
 番号利用を特定健診の情報に拡大するのは、〝小さく生んで大きく育てる〟発想でしょう。反発が少ないところから始め、いずれ〝本丸〟のカルテやレセプト(診療報酬)までマイナンバーで収集できるようにしたいからです。集めた情報は、例えばメタボなのに栄養指導を受けない人へのペナルティーや医療サービスの給付制限に使われる可能性があります。
 懸念されるのは、預貯金口座の番号利用による生活保護費の抑制です。資産調査の際に番号を告げるのを断れば水際で申請拒否されるかもしれません。勝手に口座を調べられる可能性も出てきます。
 「個人情報が漏れたら困る」「怖い」だけにとどまらず、政府や経済界の狙いを踏まえて批判し、反対していく必要があります。

民主党法案ではなかったカードへの「性別」記載を、わざわざマイナンバー法に持ち込んだ安倍政権

 2015年10月、住民登録のある全ての人(以下、「国民等」とする)にマイナンバー制度の個人番号が付番され、市町村から番号を記した紙製の通知カードが簡易書留で送られて来る。通知カードの券面には、個人番号の他に、氏名、住所、生年月日、性別が印字される。
 さらに、2016年1月からは、個人番号カードが市町村から希望者に交付される。個人番号カードはICチップの入ったICカードで、表面に氏名、住所、生年月日、性別と顔写真、裏面に個人番号が記載される。

 ※参考 内閣官房「マイナちゃんのマイナンバー解説」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/gaiyou.html#m5

 どちらにも氏名などとともに「性別」が記載されるのだが、それは問題だとの指摘がある。

■ カードへの「性別」記載は、性的マイノリティーに対する偏見・差別を助長

 2015年5月23日付けの「赤旗」の記事「性別記載は差別助長 池内氏が番号カードで指摘」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-23/2015052305_03_1.html)によれば、日本共産党の池内さおり衆議院議員は、15日の内閣委員会で「マイナンバー(共通番号)を付した個人番号カード・通知カードの性別記載について、性同一性障害(心と体の性が一致しなかったり違和感を持ったりする人)など性的マイノリティーに対して偏見・差別を助長するものになると指摘」したとある。

 また、6月7日の「赤旗」は、「マイナンバーのカード記載 性別違和もつ人が守られない 職場に知られる/就職困難に」と見出しを付けた記事(同紙のサイトに当該記事はない)を掲載した。
2365_3 「来年1月以降、事業者は、従業員のマイナンバーを取得する必要があります。問題はその際、本人であることを確認するために、性別を記載した『個人番号カード』か『通知カード』などの提出が求められていることです」として、戸籍は女性だが男性として暮らしている方の「戸籍の性別が職場に分かってしまった場合、解雇されることもあるのでは」、「ハラスメント(嫌がらせ、いじめ)を受けるのではないか」との不安や、職場を探すときにもマイナンバーが壁になるとの心配の声を紹介している。
 記事には、池内議員の次のようなコメント(一部のみ引用)も載せられている。

 マイナンバー制度は、カードに性別を必ず記載することを法律で決めています。性別記載に苦しんでいる当事者が各地で声を上げ、国民健康保険証や、介護保険証、障害者保健福祉手帳など、不必要な性別記載の削除や裏面記載など行政を動かしてきた取り組みに逆行するものです。

■ 「性別」をカードに記載する理由

 ところで、衆議院内閣委員会の議事録(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000218920150515006.htm)によれば、池内議員の「マイナンバー法は、番号カード、通知カードに漏れなく性別を記載することを定めている・・・この性別記載について、そもそも性別を記載することが本当に必要であったのか、真剣な検討が必要だったと思うんですが、その経過を教えてください。法律をつくるときの話です」との質問に対し、向井治紀・内閣官房内閣審議官は「マイナンバー法につきましては、基本的には住基台帳を基本としているということから、基本情報として四情報を書くというふうなことで、性別も書くというふうなことになっております」と答えている。
 基本情報というのは、住民基本台帳法に規定された「氏名、住所、生年月日、性別」のことであり、これらの4情報は住民票コードとともに、市町村から住基ネットで行政機関等に提供されている。
 政府としては、住基が基礎だから、マイナンバーも、この4情報を書くのが当然ということなのだろう。

 しかし、この答弁に反して4情報のうちの「性別」については、当初から個人番号カードに記載されることが「マイナンバー法」、正確には「法案」に盛り込まれていたわけではないのである。どういうことか。以下詳しく述べるが、その前に、そもそもマイナンバー制度はどこから出て来たのか。

■ マイナンバーの始まりは、小泉政権時代の「骨太の方針2001」

 自民・公明連立政権のもと2001年1月に経済財政諮問会議が国の機関として設置された。諮問会議は同年6月に「骨太の方針2001」を示したのだが、ここにITの活用により、わかりやすくて信頼される社会保障制度を実現するとして、社会保障番号の導入が盛り込まれていたのだ。これが、マイナンバー制度導入へ向けた具体的な検討の始まりであり、小泉内閣の時代である。

 その後、具体的な検討が厚労省を中心に進められ、麻生内閣時の「骨太の方針2009」には、社会保障番号を社会保障カードとともに2011年度中を目途に導入すると書かれるに至った。

 しかし、2009年8月の総選挙で、自公連立政権は敗北、民主党を中心とする新政権が誕生した。これにより前政権が進めてきた社会保障番号、社会保障カードの構想は、すべてストップしたかに見えた。しかし、民主党は選挙マニフェストに「税・社会保障共通の番号の導入」を掲げており、前政権の番号制度や番号カードに対する基本的な考え方は、納税者番号としての役割も盛り込む形で継承、いや、むしろより拡大されたのだ。

 民主党政権は、共通番号制度の導入に向け、社会保障・税に関わる番号制度についての基本方針」、「社会保障・税番号要綱」、「社会保障・税番号大綱」を矢継ぎ早に策定し、2012年2月には、共通番号制度の根拠法として「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(マイナンバー法案)を野田内閣として閣議決定し、国会に提案した。

 マイナンバー法案は、成立に向け民主・自民・公明の三党による修正合意がなされた(2012年9月)。修正の内容には、番号通知のために「仮カード」の国民等への交付も含まれていた(日経新聞「共通番号法案成立へ、民自公大筋合意 情報管理の徹底明文化」2012年7月26日付け http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS25039_V20C12A7EA1000/)。

 しかし、衆院解散(2012年11月16日 野田内閣)に伴って、マイナンバー法案(以下、「民主党法案」とする)は国会で可決される前に廃案になってしまった。
 その後の総選挙では、民主党は敗れ、自民・公明による安倍政権が誕生した。
 安倍内閣は、民主党法案に多少の修正を加えた上で、2013年3月には早くも「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(マイナンバー法案)として新たに国会に提案した。
 同法案は2013年5月9日に衆議院で、5月24日に参議院で、自民・公明・民主・維新などの賛成多数で可決され、マイナンバー法(以下、「現行法」とする)として成立した。

■ 民主党法案では、「通知カード」はなかった

 さて、民主党法案と現行法には差異が色々とあるのだが、カードに限っていうと、1つは、民主党法案にはなかった通知カードが、新たに盛り込まれたことである。これは、2012年7月の三党合意にあった「仮カード」の具体化であろう。
 民主党法案では、国民等への番号通知は「書面により通知しなければならない」としているだけであり、その書面の記載内容については何ら規定されておらず、その書面に「性別」が記載される予定であったのかどうかは分からない。
 一方、現行法は、「性別」も記載した「通知カードにより通知しなければならない」としている。

 民主党法案(http://www.cas.go.jp/jp/houan/120214number/houan_riyu.pdf PDF)

第4条 市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、住民基本台帳法第三十条の三第二項の規定により住民票に住民票コードを記載したときは、政令で定めるところにより、速やかに、次条第二項の規定により機構から通知された個人番号とすべき番号をその者の個人番号として指定し、その者に対し、当該個人番号を書面により通知しなければならない。

 現行法(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/260717bangouhou.pdf PDF)

第7条 市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、住民基本台帳法第三十条の三第二項の規定により住民票に住民票コードを記載したときは、政令で定めるところにより、速やかに、次条第二項の規定により機構から通知された個人番号とすべき番号をその者の個人番号として指定し、その者に対し、当該個人番号を通知カード(氏名、住所、生年月日、性別、個人番号その他総務省令で定める事項が記載されたカードをいう。以下同じ。)により通知しなければならない。

■ 民主党法案では、個人番号カードに「性別」の記載はなかった

 民主党法案と現行法のカードについての違いの2つ目は、個人番号カードの記載内容である。

 民主党法案

第56条 市町村長は、政令で定めるところにより、当該市町村が備える住民基本台帳に記録されている者に対し、その者の申請により、その者に係る個人番号カード(氏名、住所、生年月日、個人番号、その者の写真その他その者を識別する事項のうち政令で定める事項(第三項及び第四項において「カード記載
事項」という。)が記載されたカードをいう。以下この条及び第七十条において同じ。)を交付しなければならない。

 現行法

第二条 7 この法律において「個人番号カード」とは、氏名、住所、生年月日、性別、個人番号その他政令で定める事項が記載され、本人の写真が表示され、かつ、これらの事項その他総務省令で定める事項(以下「カード記録事項」という。)が電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。第十八条において同じ。)により記録されたカードであって、この法律又はこの法律に基づく命令で定めるところによりカード記録事項を閲覧し、又は改変する権限を有する者以外の者による閲覧又は改変を防止するために必要なものとして総務省令で定める措置が講じられたものをいう。

■ 「性別」を記載事項としてワザワザ追加した安倍政権

 民主党法案ではなかった「性別」が記載事項の1つとして、現行法ではわざわざ付け加えられているのだ。どういうことなのだろうか。

 民主党法案で「性別」の記載がなかったのは、先の記事の池内議員のコメントにある「不必要な性別記載の削除や裏面記載など行政を動かしてきた取り組み」を反映したものと考えれば、当然だと思える。
 しかし、自民党の安倍政権による現行法は、こうした流れに逆行し、「性的マイノリティーに対して偏見・差別を助長するもの」(池内議員)となっている。安倍政権の反動性がここにも現れているのだ。

 池内議員の性別記載が必要と判断した経過をの質問に、向井審議官は「マイナンバー法につきましては、基本的には住基台帳を基本としているということから・・・性別も書くというふうなことになっております」と答えている。
 しかし、民主党法案も「住基台帳を基本」という点では現行法と何ら変わらない。この答弁は、質問への回答としては不十分だ。「性別」を記載する積極的理由とは何か、記載しなければどのような問題が生じるかなど具体的に答えるべきであろう。政府の態度は極めて不誠実なものと言わざるを得ない。
 なお、向井審議官は、現政権だけでなく、民主党政権時に既に審議官としてマイナンバー制度の担当をしていた人物である。

 なお、本稿の筆者である黒田は、カードへの「性別」の記載は問題であるとの立場を以前よりとっており、2013年3月2日、同年7月4日に、それぞれ以下のツイートを行っている。

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