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2015年4月17日 (金)

マイナンバーの目的は何か、社会をどう変えるのか ―横浜での講演レジュメ

 2015年4月10日に横浜で開かれた神奈川県保険協会主催の講演会で黒田充が話す際に使用したレジュメです。

 


 

「マイナンバーの目的は何か、社会をどう変えるのか」

0.はじめに

今日のテーマ「マイナンバーの目的は何か、社会をどう変えるのか」

表面的なものだけでなく、本質を見ることが必要ではないか

 

1.マイナンバーの概要

1-1 マイナンバー制度の背景と根拠法

マイナンバーの出発点と背景

社会保障番号  社会保障費の削減(政府にとっても企業にとっても)

  「真に手を差し伸べるべき人」 ・・・小泉・竹中コンビ

納税者番号   正確な所得の把握(徴税強化)、損益通算制度(金持ち優遇)

住民票コード  最高裁判決による利用制限  一つの番号を使い回してはならない

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)

民主党政権が自公政権での検討を受け継ぎ法案化

自公民三党で修正合意したが解散により廃案に

安倍政権が修正提案し、自・公・民・みんな・維新等の賛成により 2013年 5月に成立

対象拡大のための改正法案が今国会に

 

1-2  マイナンバーの付番と利用範囲

 市町村の保有する住民票に基づき、全ての国民等(国民、特別永住者、中・長期在留外国人)に個人番号( 12桁の数字)を付番

ただし、住民票のない者は付番されない

  住民票を職権削除された者、海外在留者、不法滞在外国人

 会社等には法人番号( 13桁の数字)を付番 ←国税庁

 これらを使って行政機関等(国の省庁、地方自治体、日本年金機構、健康保険組合、医療機関、介護事業者など)の保有する個人情報を名寄せし、社会保障や税、災害対策などの分野において活用する

 

1-3  2種類の番号カード

2種類のカードを国民等に交付

通知カード 付番された全ての国民等に番号を通知するために交付

      個人番号カード交付申請書を同封

個人番号カード 申請に基づき交付、写真付、ICカード、無料

カードの使い途

国民等は、相手(行政機関、雇用主等)に番号を告知する必要(義務)

 +告知した番号が正しいことを証明する義務は国民等の側に

 → 番号の所有者が正しく本人であるとする証明書を示す必要

      通知カードでも可能だが、それだけでは証明にならない

      写真付の個人番号カードが最も簡単で便利

 → 個人番号カードを持たざるを得ない

「身分証明書にも使える」の意味

民間のレンタル店などでも使える

個人番号カードには電子署名が初めから入っている

  オンラインバンキングや、オンライン取引、ネット通販に利用できるようになる

 

1-4  スケジュール

2015年10月 付番し、国民等に通知(通知カードを世帯単位で簡易書留にて)

2016年 1月 利用開始、個人番号カードの希望者への交付

2017年 1月 マイポータル(情報提供等記録開示システム、「マイナポータル」)の開始

2018年頃を目途に利用範囲を再検討 ・・・実際にはもう始まってい

 

2.私たちはマイナンバーを使うのか

2-1  番号を告知(提示)するのは、いつ、どこ?

住民票コード(住基カード)は使わなかったが・・・

内閣官房にあるマイナンバーのQ&Aには

 社会保障、税、災害対策の分野の手続きのため、マイナンバーを提供することができる具体的な提供先機関は、税務署、地方公共団体、勤務先、金融機関、年金・医療保険者、ハローワークなどが考えられます。

 

20150417

まず始まる具体的な利用は

 例えば、所得税の申告書類(源泉徴収票、扶養控除等申告書など)には 2016年分から記入が必要

今国会に出されている改正法案は、金融、医療分野などに利用範囲を拡大

 預貯口座への付番、特定健診・保健指導に関する事務における利用、予防接種に関する事務における接種履歴の連携等

 

2-2  番号を告知しないとどうなる

内閣官房にあるマイナンバーの地方自治体向けQ&Aには

Q 1-8 窓口で申請者が個人番号の記載を拒否している場合、どうすれば良いですか。本人の同意なしに住基端末から個人番号を取得しても良いですか?

A 1-8 申請書などに個人番号を記載することが各制度における法的な義務であることを説明し、記載していただくようにしてください・・・

罰則? ペナルティ?

 おそらく当面の間はないだろうが、拒否する者がいるとマイナンバーの根幹(全ての国民等の個人情報とリンク)が崩れてしまう

 

2-3  世間に広がるマイナンバーへの危惧

プライバシーの漏えい・流出 ・・・ 事件・事故への危惧

監視社会化を招くとの危惧

ではそもそも「監視」とは何か

 

3.個人情報と監視

3-1  監視( surveillance)とは何か

監視の両義性 配慮(care)と管理( control)

見張るだけでは監視ではない

対象を分類し、シミュレーションし、リスク管理する

そして、必要に応じ対象に働きかける

  ・・・許可、制限、排除、禁止、拘束、誘導、提供、優遇等々

 

3-2  監視を実現するには情報が必要

個人を監視するためには、その者に関わる「個人に関する情報」が必要

個人に関する情報  属性に関する、内面に関する、行動に関する

対象が誰か、どこにいるのか、何をしているのかなどが、わからなければ監視できない

より精度の高い監視のためには

より詳しい、より正しい、より新しい「個人に関する情報」が必要

一方、我々は「個人に関する情報」を日々ばらまき続けている、ばらまかなければ生活が出来ない

   就学、就労、買い物、通学、通勤、通行、通話、メール、申請等々

 

3-3  現代社会は「監視社会」?

現代的な監視の特徴

 ばらまかれた個人に関する情報が、コンピューターやネットワークを介して収集され、記録され、分析されることによって、我々は日常的に、クラシフィケーションやカテゴライズ(分類、選別)、ソート(順序づけ、等級付け)されている

 こうした傾向は、コンピューターやネットワークの発展、普及、高度化によりますます強まっている  いわゆる高度情報化社会の到来

 我々の住んでいる現代社会は、監視の容易化、日常化、普遍化、遍在化(ユビキタス)が日々進行している「監視社会」である

・・・プライバシー(自己情報コントロール権)の問題

監視の主体は誰か  国家や、大企業及び大企業グループ(例えばTポイント)

 

3-4  監視と識別

しかし、ばらまかれた個人に関する情報の多くは、「断片」に過ぎない

 より良い監視(分類、シミュレーション、リスク管理)のためには、これら断片化された情報を集め、個人を仮想的に作り出すことが必要

そのためには必要なのは、名寄せ、データマッチング、プロファイリング

コンピューター上に個人のコピーを作り出すには、個人を識別(特定)することが不可欠

この情報の所有者(ばらまいた者)は、だれなのか

Aという情報をばらまいた甲と、Bという情報をばらまいた乙は同一人物なのか

個人への番号付加は、正確な識別にとって最適な方法の一つである

 いま求められているのは、複数の記録装置をまたいで「仮想的な個人」(人格のコピー)をコンピューター上に作り出すこと、いわゆるプロファイリング

  ← 複数の記録装置を貫く識別

 Aという記録装置に記録された甲の個人に関する情報と、Bという記録装置に記録された甲の個人に関する情報を必要に応じて名寄せし、監視をより高度化する

マイナンバー制度は、最初から複数の記録装置をまたいだ名寄せのためのシステムとして構築される  ← 政府と大企業(財界)の要請・・・プロファイリングしたい

 

4.マイナンバーとはいかなるシステムか

4-1  個人を特定するためのシステム

一生に渡って、個人のトレース(追跡)が可能  ・・・原則番号は不変

名前や生年月日、性別だけでは困難

 

4-2  プロファイリングのシステム

散らばった個人情報を集め仮想的に個人を再構築する

← 本人の与り知らないところで

ただし、再構築された個人≠本人 必ずしも正確ではない・・・人の多面性

民間の番号(例えばクレジット番号、Tポイントカード)では限界

 

4-3  分類・選別・等級化のシステム

彼・彼女は価値のある人間なのか?

「真に手を差し伸べるべき者」は誰か・・・値踏みする

  ・・・社会保障や医療給付の制限、上限設定、理由(原因)による制限

  当面、生活保護給付の抑制で「大活躍」するのではないか

国民等を適材適所に配置する、適性にふさわしい活用を図る⇔ふさわしくない者を探し出す

政治の右傾化、戦争の可能性、少子化、労働力不足

政府だけでなく民間も、国民(消費者)を分類・選別・等級化したい

お得意さん、「カモ」、傾向・特性等

いわゆるビッグデーターとの関係

  特性の分析 → 特性を持った者の選別 → 具体的働きかけ

 

4-4  排除のシステム

個人の「特定」は「排除」と表裏の関係

番号を持っているか持っていないか ・・・名簿に登載されているか否か

  適法でない者の雇用や社会保障からの排除

民間企業 リスク排除  例えば生命保険や医療保健 ← 医療・健康・遺伝子情報

 

5.おわりに

 マイナンバーが社会にもたらす効果(影響)は、推進者(政府、財界等)によってあらかじめ設定された意図の範囲で治まるとは限らない

推進者の誰かによって全てがコントロールできているわけではない

推進者には様々な立場があり、それぞれの思惑が複雑に交錯している

一度始めると、推進者の意図(想定)を超えて暴走する恐れが強い

「もっと色々な場面で使えるようにして欲しい」の声が国民から強く出て来る可能性も

 マイナンバーが、日本の社会を根本的な変えてしまうかもしれない

名前より番号、本人よりもデータが優先される社会

「彼らは、私のことを私より詳しく知っている」

 推進者の意図の範囲(例えば番号法の範囲、国会での政府答弁、国民への説明など)だけで考えていたのではダメではないか

「そんなことはどこにも書いていない」はナイーブ(?)過ぎる

必要なのは想像力をたくましくすることではないか

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