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2015年4月23日 (木)

「先進国は全てマイナンバーのような制度を入れている」のウソ (2)

諸外国の番号制度のQ&A

 諸外国の番号制度について、2011年11月に著した拙著『Q&A 共通番号 ここが問題』で触れていますので、その部分を以下に転載します。

 「先進国は全てマイナンバーのような制度を入れている」のウソ (1) →

 


 

Q54 諸外国が導入している番号制度には、いくつか種類があるそうですが、それはどのようなものですか?

 野村総合研究所は『2015年のIDビジネス』の中で「公的セクターのIDコードの類型化」として、その導入目的、発行方法からそれぞれ次のように分類しています(国名の後のカッコ内は根拠法の施行年)【注1】。

 導入目的によって分類すると、(1)住民登録のため:スウェーデン(1947)、デンマーク(1968)、ノルウェー(1970)、フィンランド(不明)、オランダ(2006)、フランス(1941)、韓国(1962)、(2)社会保障の加入者管理のため:アメリカ(1936)、カナダ(1964)、イギリス(1948)、(3)税務管理のため:イタリア(1977)、オーストラリア(1989)、(4)身分証明のため:シンガポール(1948)、エストニア(1999)となります。

 一方、発行方法で分類すると、(1)分散モデル―年金、医療といった領域(目的)ごとに個別のIDコードを発行し、統一的に利用できるIDコードを発行しない(筆者注:セパレートモデルともいわれる):日本、ドイツ、(2)統合モデル―あらゆる分野で共通して1つのIDコードを用いる(筆者注:フラットモデルともいわれる):スウェーデン、アメリカ、韓国、(3)セクトラルモデル―領域ごとに異なるIDコードを用いるが、それらのIDコードが個人に1つの基幹IDコードから紐付けられる仕組み:オーストリアとなるとしています。

 では、日本の共通番号制度はどうなのでしょうか。導入目的としては(2)と(3)でしょう。発行方法ではどうでしょうか。番号制度に関する実務検討会などで議論されてきた複数の分野で同じ番号を使うという点ではフラットモデルですが、情報連携基盤技術ワーキング・グループで検討されている情報連携の際には「個人を特定するための情報連携基盤等及び情報保有機関のみで用いる符号を識別子として用いる」(「中間とりまとめ」2011年7月28日)としている点ではセクトラルモデルのようです。最終的に併用となるのか、どちらかになるのか、今のところよくわかりません【2011年11月時点の記述のため「わからない」となっているが、現時点では統合モデルとセクトラルモデルの併用という形で準備が進められている】

 


 

Q55 番号制度を導入した背景は、国によって違うそうですが、具体的にはどう違うのでしょうか?

 番号制度を導入した背景は、国によって大きく異なります。

■ 戦争を背景とした韓国やフランス

 韓国の場合は「住民登録番号の導入目的の1つに、自国民と北朝鮮国民とを区別し、国民の安全を確保するという観点が含まれて」います。また、フランスの社会保障番号も「もともとは第2次世界大戦中のヴィシー政権時に、国民を管理するために導入された」ものです【注2】。
 もっともフランスの番号制度については「ドイツに占領されていた第2次世界大戦中の1940年に1人の軍人(ロネ・カミーユ氏)によって構想され」、「ナチに対するレジスタンス用の国民台帳(本来の目的では男性のみが対象。ただ、本来目的をカモフラージュするために女性も対象者に加えた)を作成するためであった」という話もあります【注3】。なお、フランスの社会保障番号は「全省庁を横断して普遍的に利用しないことが基本方針」になっています【注4】 。

■ 教会の住民記録から移管されたスウェーデン

 高山憲之・一橋大学特任教授によると、スウェーデンでは住民の出生や死亡等は、もともと教会に届け出られており、教会における住民記録管理は1571年に始まったといわれています。1686年に住民記録管理に関する統一規則が制定され、1947年には国民総背番号制度が導入されました。
 住民登録実務が教会から国税庁に移管されたのは1991年と【注5】、まだほんの20年前です。日本では考えられないことですが、スウェーデンでは教会と住民生活が密接につながっているようです。

■ 世界大恐慌に危機を感じて導入したアメリカ

 アメリカ【→】の社会保障番号(SSN)はどうでしょうか。1929年の世界大恐慌により1000万人が失業する中で、労働者運動が高まり、社会主義運動とも共同する場合が生じていました。時の政府は「国民が生活改善を求めるこの広汎な運動に対して、体制崩壊の危機を回避するためにも国民要求に応える新制度」として、1935年に社会保障法を制定しました【注6】。翌年には、「税の徴収と社会福祉給付のため」にSSNの個人への付番が始まり、「1年後に雇用保険にも使用することが決定」しました。さらに1943年には「連邦行政機関に対し、新しいデータシステムにはこの番号を使用することを命ずる大統領命令」が出されています。その後、1961年に「内国歳入庁がSSNを納税者番号として使用したことをきっかけに、SSNは、老人福祉年金、連邦及び州公務員の人事記録、退役軍人の疾病記録、軍人人事記録、さらに銀行や保険取引、自動車登録、多くの州の運転免許、州や自治体の公的扶助制度などに使用されるようになった」のです【注7】。

■ ナチス時代の反省が景にあるドイツ
 ドイツ【→】は、セパレート・モデルをとっていますが、これは「連邦憲法裁判所が下した、1983年の国勢調査に汎用の共通番号を利用することは違憲となる可能性がある旨の示唆を含んだ判決及びこの判決に基づいた汎用の共通番号の導入は連邦基本法(連邦憲法)上ゆるされないとする連邦議会の見解」があるからです【注8】。こうした見解の根底には「ナチス時代の反省が強くあり、公権力が個人を管理することには、非常に慎重」なのです【注9】。

 このように番号制度導入の背景は、国によって異なっており、「どこそこの国には番号制度があるから、日本にも」などと単純に引き写すことには無理があります。日弁連も「『税と社会保障共通の番号』制度創設に関する意見書」において、「そもそも推進している国々と我が国とでは,その国情や国民性が大きく異なる。特に、例えばEU諸国やカナダなどでは、我が国には存在しない独立の第三者機関(ドイツのデータ保護監察官、カナダのプライバシーコミッショナーなど)が存在し、国民等のプライバシー保護に関する監督機能を果たしているという実績が存することを抜きに考えられない」と指摘しています。

 


 

Q56 諸外国の番号制度はどうなっているのでしょうか。

 アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストリア、スウェーデンについて簡単に紹介します【注10】 。

■ 成りすまし犯罪者天国のアメリカ

 アメリカでは、社会保障番号(SSN)が行政だけでなく民間でも共通番号として幅広く使われています。SSNが漏洩したり、売買されたりすることなどにより他人のSSNを不法に使う「成りすまし犯罪者天国」の状況が生まれているようです。また、2005年からは、テロ対策などを理由に運転免許証等を国民IDとして機能させる多機能化(ICカード化)が始まっています。

■ 国民IDカード法を廃止したイギリス

 イギリスでは、2006年3月に国民IDカード法が成立し、英国ID登録簿(NIR)を作成することになりました。しかし、2010年5月に誕生した保守党・自由民主党による新連立政権は、恒常的な人権侵害装置であるとして、廃止を決定し、NIRのすべてのデーターは2011年2月までに廃棄されました。

■ データ保護監察官のいるドイツ

 ドイツは、連邦税務だけに使う納税者番号を2007年7月から導入していますが、この番号を他の行政機関や民間企業などが利用することは禁止されています。また、行政機関や民間企業の個人データの取扱いを監視する役割を持った中立的な第三者機関として「データ保護監察官」が連邦と16の州に存在しています。

■ セクトラルモデルを採用したオーストリア

 オーストリアでは、日本の住民票コードに相当するCRR番号から、第三者機関であるデータ保護委員会において、個人認証用の電子識別番号(ソースPIN)を作成し、さらに同番号から行政分野別番号(ssPIN)を作成するという3層制の分野別番号制(セクトラル・モデル)を採用しています。

■ データ監視社会との批判もあるスウェーデン

 スウェーデンでは、個人のプライバシー保護をあまり配慮することなく同一の番号を一般に公開し、多目的利用するフラット・モデルが採用されています。番号制度は、1947年に全国統一の制度として導入され、現行制度は1991年の住民登録法、住民登録簿法によって規定されています。番号を汎用することで、データ監視社会の構築を許してしまった国としての厳しい評価もあります。

 


 

注1 野村総合研究所『2015年のIDビジネス』東洋経済新報社、2009年、174~181頁。

注2 同、176頁。

注3 高山憲之「フランスの社会保障番号制度について」『世代間問題研究プロジェクト ディスカッション・ペーパー』No.345(2007年11月) http://www.ier.hit-u.ac.jp/pie/stage2/Japanese/d_p/dp2007/dp344/text.pdf

注4 同。

注5 同、「諸外国における社会保障番号制度と税・社会保険料の徴収管理」『海外社会保障研究』No.172(Autumn2010)

注6 芝田英昭『新しい社会保障の設計』文理閣、2006年、23頁。

注7 平松毅『個人情報保護 制度と役割』ぎょうせい、1999年、148~149頁

注8 名古屋市委員会意見書。

注9 日弁連、前掲パンフレット、9頁。

注10 参考とした文献 名古屋市委員会意見書。岡久慶「英国2006年IDカード法」『外国の立法』No.230、2006年11月。原田泉編『国民ID 導入に向けた取り組み』NTT出版、2009年。野村総合研究所、前掲書など。

 「先進国は全てマイナンバーのような制度を入れている」のウソ (1) →

2015年4月22日 (水)

「先進国は全てマイナンバーのような制度を入れている」のウソ (1)

◆NHKは「先進国で番号制度がないのは日本だけ」と言うが

 2015年4月21日、NHKは「NEWS WEB」の「深知り」のコーナーにて「マイナンバー制度 準備どこまで?」と題してマイナンバー制度を扱った。
 その中でNHKの解説委員は「番号制度が先進国の中で入っていないのは日本ぐらいのもの」との発言をした。解説委員が言った番号制度は、マイナンバーのように税や社会保障など他分野で共通に使う番号を利用する制度のことであろう。しかし、これは間違いだ。

 そもそも番号制度にも色々ある。1つは、税だけに使う番号や、社会保障だけに使う番号など用途を限定した番号制度。もう1つは、1つの番号を税や社会保障など様々な分野に共通に使うもの。日本の住民票コードや基礎年金番号、健康保険の記号番号、所得税の整理番号などは前者である。用途限定番号による制度も含めると、日本にも既に番号制度があることになる。一方、マイナンバー制度は後者であり、10月までは「番号制度はまだない」ことになる。

 NHKの解説委員は、この程度のことは知っているであろうから「先進国で番号制度がないのは日本だけ」の番号が、この用途限定番号を指しているとは到底考えられない。解説委員の発言の趣旨は「共通番号制度がないのは日本だけ」ということで間違いないであろう。

◆ イギリスにもドイツにもフランスにもマイナンバーのような共通番号制度は存在しない

 しかし、「先進国の中で共通番号を入れていないのは日本だけ」は事実ではない。
 イギリス【→】は、マイナンバーのような共通番号制度を創設しようと法を通し、具体的な準備まで進めていたのだが、制度廃止を唱える政権の誕生により実現することはなかった。
 またドイツ【→】には納税者番号はあるが共通番号制度はない。
 フランス【→】には社会保障番号はあるが共通番号としての利用をしないというのが国の方針となっている。

 言うまでもないことだが、イギリスもドイツもフランスもG7の一員であり先進国である。NHKの解説委員は、イギリスやドイツ、フランスの状況を知らずに、調べもせずに、政府の説明を鵜呑みにしているだけなのだろうか。

  政府の「すり替え」とNHK

 先に述べたような用途限定番号まで含めるなら「先進国にはみな番号制度がある」は、おそらく間違いではないだろう。しかし、マイナンバーのような共通番号にまで話を広げるなら、持たない先進国も多数存在するのだ。

 これまで政府は「先進国にはみな番号制度がある」という事実を、「先進国にはみなマイナンバーのような番号がある」という「ウソ」にすり替えてきた。
 NHKが、この「すり替え」を承知したうえで、「ウソ」を報じているのなら悪質極まりないと言わざるを得ない。しかし、私は「単に無知なだけ」と信じたい。

◆ むしろ「G7の中にマイナンバーのような番号制度のある国はまだない」が正解

 なおG7について見てみると、アメリカ【→】では社会保障番号(SSN)が民間も含め様々な分野で利用されており、カナダでも社会保障番号が税務など多分野で使われている。ただし、どちらも番号の取得は国民側の任意であり、日本のような強制ではない。
 一方、イタリアでは納税者番号が社会保障の分野でも利用されているが、日本のような生涯不変の番号ではない。

 日本のマイナンバーもこれら3ヶ国に加えれば共通番号制度を採用しているのはG7では多数派にはなる。しかし、「先進国で導入していないのは日本だけ」が事実に反しているのは何ら変わらない。
 むしろ日本のような全国民に強制される生涯不変の番号を多分野で活用するような番号制度を採用している国は、G7には「まだない」が事実である。

「先進国は全てマイナンバーのような制度を入れている」のウソ (2) 諸外国の番号制度 

2015年4月17日 (金)

マイナンバーの目的は何か、社会をどう変えるのか ―横浜での講演レジュメ

 2015年4月10日に横浜で開かれた神奈川県保険協会主催の講演会で黒田充が話す際に使用したレジュメです。

 


 

「マイナンバーの目的は何か、社会をどう変えるのか」

0.はじめに

今日のテーマ「マイナンバーの目的は何か、社会をどう変えるのか」

表面的なものだけでなく、本質を見ることが必要ではないか

 

1.マイナンバーの概要

1-1 マイナンバー制度の背景と根拠法

マイナンバーの出発点と背景

社会保障番号  社会保障費の削減(政府にとっても企業にとっても)

  「真に手を差し伸べるべき人」 ・・・小泉・竹中コンビ

納税者番号   正確な所得の把握(徴税強化)、損益通算制度(金持ち優遇)

住民票コード  最高裁判決による利用制限  一つの番号を使い回してはならない

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)

民主党政権が自公政権での検討を受け継ぎ法案化

自公民三党で修正合意したが解散により廃案に

安倍政権が修正提案し、自・公・民・みんな・維新等の賛成により 2013年 5月に成立

対象拡大のための改正法案が今国会に

 

1-2  マイナンバーの付番と利用範囲

 市町村の保有する住民票に基づき、全ての国民等(国民、特別永住者、中・長期在留外国人)に個人番号( 12桁の数字)を付番

ただし、住民票のない者は付番されない

  住民票を職権削除された者、海外在留者、不法滞在外国人

 会社等には法人番号( 13桁の数字)を付番 ←国税庁

 これらを使って行政機関等(国の省庁、地方自治体、日本年金機構、健康保険組合、医療機関、介護事業者など)の保有する個人情報を名寄せし、社会保障や税、災害対策などの分野において活用する

 

1-3  2種類の番号カード

2種類のカードを国民等に交付

通知カード 付番された全ての国民等に番号を通知するために交付

      個人番号カード交付申請書を同封

個人番号カード 申請に基づき交付、写真付、ICカード、無料

カードの使い途

国民等は、相手(行政機関、雇用主等)に番号を告知する必要(義務)

 +告知した番号が正しいことを証明する義務は国民等の側に

 → 番号の所有者が正しく本人であるとする証明書を示す必要

      通知カードでも可能だが、それだけでは証明にならない

      写真付の個人番号カードが最も簡単で便利

 → 個人番号カードを持たざるを得ない

「身分証明書にも使える」の意味

民間のレンタル店などでも使える

個人番号カードには電子署名が初めから入っている

  オンラインバンキングや、オンライン取引、ネット通販に利用できるようになる

 

1-4  スケジュール

2015年10月 付番し、国民等に通知(通知カードを世帯単位で簡易書留にて)

2016年 1月 利用開始、個人番号カードの希望者への交付

2017年 1月 マイポータル(情報提供等記録開示システム、「マイナポータル」)の開始

2018年頃を目途に利用範囲を再検討 ・・・実際にはもう始まってい

 

2.私たちはマイナンバーを使うのか

2-1  番号を告知(提示)するのは、いつ、どこ?

住民票コード(住基カード)は使わなかったが・・・

内閣官房にあるマイナンバーのQ&Aには

 社会保障、税、災害対策の分野の手続きのため、マイナンバーを提供することができる具体的な提供先機関は、税務署、地方公共団体、勤務先、金融機関、年金・医療保険者、ハローワークなどが考えられます。

 

20150417

まず始まる具体的な利用は

 例えば、所得税の申告書類(源泉徴収票、扶養控除等申告書など)には 2016年分から記入が必要

今国会に出されている改正法案は、金融、医療分野などに利用範囲を拡大

 預貯口座への付番、特定健診・保健指導に関する事務における利用、予防接種に関する事務における接種履歴の連携等

 

2-2  番号を告知しないとどうなる

内閣官房にあるマイナンバーの地方自治体向けQ&Aには

Q 1-8 窓口で申請者が個人番号の記載を拒否している場合、どうすれば良いですか。本人の同意なしに住基端末から個人番号を取得しても良いですか?

A 1-8 申請書などに個人番号を記載することが各制度における法的な義務であることを説明し、記載していただくようにしてください・・・

罰則? ペナルティ?

 おそらく当面の間はないだろうが、拒否する者がいるとマイナンバーの根幹(全ての国民等の個人情報とリンク)が崩れてしまう

 

2-3  世間に広がるマイナンバーへの危惧

プライバシーの漏えい・流出 ・・・ 事件・事故への危惧

監視社会化を招くとの危惧

ではそもそも「監視」とは何か

 

3.個人情報と監視

3-1  監視( surveillance)とは何か

監視の両義性 配慮(care)と管理( control)

見張るだけでは監視ではない

対象を分類し、シミュレーションし、リスク管理する

そして、必要に応じ対象に働きかける

  ・・・許可、制限、排除、禁止、拘束、誘導、提供、優遇等々

 

3-2  監視を実現するには情報が必要

個人を監視するためには、その者に関わる「個人に関する情報」が必要

個人に関する情報  属性に関する、内面に関する、行動に関する

対象が誰か、どこにいるのか、何をしているのかなどが、わからなければ監視できない

より精度の高い監視のためには

より詳しい、より正しい、より新しい「個人に関する情報」が必要

一方、我々は「個人に関する情報」を日々ばらまき続けている、ばらまかなければ生活が出来ない

   就学、就労、買い物、通学、通勤、通行、通話、メール、申請等々

 

3-3  現代社会は「監視社会」?

現代的な監視の特徴

 ばらまかれた個人に関する情報が、コンピューターやネットワークを介して収集され、記録され、分析されることによって、我々は日常的に、クラシフィケーションやカテゴライズ(分類、選別)、ソート(順序づけ、等級付け)されている

 こうした傾向は、コンピューターやネットワークの発展、普及、高度化によりますます強まっている  いわゆる高度情報化社会の到来

 我々の住んでいる現代社会は、監視の容易化、日常化、普遍化、遍在化(ユビキタス)が日々進行している「監視社会」である

・・・プライバシー(自己情報コントロール権)の問題

監視の主体は誰か  国家や、大企業及び大企業グループ(例えばTポイント)

 

3-4  監視と識別

しかし、ばらまかれた個人に関する情報の多くは、「断片」に過ぎない

 より良い監視(分類、シミュレーション、リスク管理)のためには、これら断片化された情報を集め、個人を仮想的に作り出すことが必要

そのためには必要なのは、名寄せ、データマッチング、プロファイリング

コンピューター上に個人のコピーを作り出すには、個人を識別(特定)することが不可欠

この情報の所有者(ばらまいた者)は、だれなのか

Aという情報をばらまいた甲と、Bという情報をばらまいた乙は同一人物なのか

個人への番号付加は、正確な識別にとって最適な方法の一つである

 いま求められているのは、複数の記録装置をまたいで「仮想的な個人」(人格のコピー)をコンピューター上に作り出すこと、いわゆるプロファイリング

  ← 複数の記録装置を貫く識別

 Aという記録装置に記録された甲の個人に関する情報と、Bという記録装置に記録された甲の個人に関する情報を必要に応じて名寄せし、監視をより高度化する

マイナンバー制度は、最初から複数の記録装置をまたいだ名寄せのためのシステムとして構築される  ← 政府と大企業(財界)の要請・・・プロファイリングしたい

 

4.マイナンバーとはいかなるシステムか

4-1  個人を特定するためのシステム

一生に渡って、個人のトレース(追跡)が可能  ・・・原則番号は不変

名前や生年月日、性別だけでは困難

 

4-2  プロファイリングのシステム

散らばった個人情報を集め仮想的に個人を再構築する

← 本人の与り知らないところで

ただし、再構築された個人≠本人 必ずしも正確ではない・・・人の多面性

民間の番号(例えばクレジット番号、Tポイントカード)では限界

 

4-3  分類・選別・等級化のシステム

彼・彼女は価値のある人間なのか?

「真に手を差し伸べるべき者」は誰か・・・値踏みする

  ・・・社会保障や医療給付の制限、上限設定、理由(原因)による制限

  当面、生活保護給付の抑制で「大活躍」するのではないか

国民等を適材適所に配置する、適性にふさわしい活用を図る⇔ふさわしくない者を探し出す

政治の右傾化、戦争の可能性、少子化、労働力不足

政府だけでなく民間も、国民(消費者)を分類・選別・等級化したい

お得意さん、「カモ」、傾向・特性等

いわゆるビッグデーターとの関係

  特性の分析 → 特性を持った者の選別 → 具体的働きかけ

 

4-4  排除のシステム

個人の「特定」は「排除」と表裏の関係

番号を持っているか持っていないか ・・・名簿に登載されているか否か

  適法でない者の雇用や社会保障からの排除

民間企業 リスク排除  例えば生命保険や医療保健 ← 医療・健康・遺伝子情報

 

5.おわりに

 マイナンバーが社会にもたらす効果(影響)は、推進者(政府、財界等)によってあらかじめ設定された意図の範囲で治まるとは限らない

推進者の誰かによって全てがコントロールできているわけではない

推進者には様々な立場があり、それぞれの思惑が複雑に交錯している

一度始めると、推進者の意図(想定)を超えて暴走する恐れが強い

「もっと色々な場面で使えるようにして欲しい」の声が国民から強く出て来る可能性も

 マイナンバーが、日本の社会を根本的な変えてしまうかもしれない

名前より番号、本人よりもデータが優先される社会

「彼らは、私のことを私より詳しく知っている」

 推進者の意図の範囲(例えば番号法の範囲、国会での政府答弁、国民への説明など)だけで考えていたのではダメではないか

「そんなことはどこにも書いていない」はナイーブ(?)過ぎる

必要なのは想像力をたくましくすることではないか

2015年4月 9日 (木)

マイナンバーに関するリンク集(政府関係) 【更新】

 講演等での資料を作成するためマイナンバーに関する政府関係のWebサイトへのリンク集を作ってみました。
 とにかく膨大な量です。すべてに目を通すのはたいへんです。

 2015年4月9日に更新

◇マイナンバー制度を所管する内閣府

  • マイナンバー社会保障・税番号制度  Banner_s1
    • 関係法令
    • マイナちゃんのマイナンバー解説

      ■国や地方公共団体などで利用します。
       ・・・国民の皆様には、年金・雇用保険・医療保険の手続、生活保護・児童手当その他福祉の給付、確定申告などの税の手続などで、申請書等にマイナンバーの記載を求められることとなります。
        また、税や社会保険の手続きにおいては、事業主や証券会社、保険会社などが個人に代わって手続きを行うこととされている場合もあります。このため、勤務先や証券会社、保険会社などの金融機関にもマイナンバーの提出を求められる場合があります。

      ■民間企業でもマイナンバーを取扱います。
        ・・・企業や団体にお勤めの方や金融機関とお取引がある方は、勤務先や金融機関にご本人やご家族のマイナンバーを提示する必要があります。
        また、民間企業が外部の方に講演や原稿の執筆を依頼し、報酬を支払う場合、報酬から税金の源泉徴収をしなければいけません。そのため、こうした外部の方からもマイナンバーを提供してもらう必要があります。

      ■個人番号カード
        ・・・個人番号カードは、本人確認のための身分証明書として利用できるほか、カードのICチップに搭載された電子証明書を用いて、e-Tax(国税電子申告・納税システム)をはじめとした各種電子申請が行えることや、お住まいの自治体の図書館利用証や印鑑登録証など各自治体が条例で定めるサービスにも使用できます。

    • よくある質問(FAQ)
    • 番号制度の概要(PDF)
       7頁「情報提供等記録開示システム」・・・これまで「マイ・ポータル」と呼んできたもの。いつの間にか変わっている
       10頁「個人番号カード、通知カードについて」・・・住基カードとの比較も
       13頁「個人番号の利用例について」・・・番号とカードが生涯を通じて必要なことを示した図
       27頁「主要諸国の番号制度」・・・共通番号制度のないイギリスは一覧表に掲載されていない
    • 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行期日を定める政令」  
       番号法の施行日を2015年10月5日と定めた政令。これにより個人番号は10月5日に住民票のある市町村にて付番されることとなった
    • 個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案

◇政府広報(内閣府)

 上戸彩さんのテレビCMも見ることができます。

◇Yahoo! JAPAN PR企画「マイナンバー」

 内閣府がYahoo! JAPANにお金を出して運営しているものです(参考「マイナンバー(社会保障・税番号)制度の広報について」(PDF))。2015年3月9日~6月30日とありますから期間限定のようです。
 色々頭をひねって作ったのでしょうが、全体として国民を小馬鹿にしているように見えます。

  • 4コママンガ
     「スケジュールのポイントを4コママンガでチェック!」というオチのない変な漫画。
  • スケジュールチェック
     「マイナンバーの通知は、住民票に記載されている住所に郵送されます。住民票の住所をチェックして、現在住んでいるところと住民票の住所が異なる方は住民票の異動手続をしてください。」と、DVから逃げているなど諸般の理由により異動が出来ない人のことは眼中にない通り一遍の「ご指導」です。
  • マイナンバー○×クイズ
     「10問正解でハワイへ行こう!」ではなく、アンケートに答えると抽選でQUOカード(1000円分)が10名に当たるとのこと。たった1万円ですがやはり原資は税金なんでしょうね。アンケートに答えていくと最後に性別、年齢、都道府県、名前、郵便番号、住所、電話番号の記入を求められます。しかし、このアンケート結果は何に使うんでしょうか。国が関与している以上、「いただいた貴重なご意見は参考にさせていただきたく」などと抽象的にではなく、具体的に目的や結果公表の時期・方法等を明記すべきではないかと思います。

◇マイナンバーを社会保障制度に活用する厚生労働省

  • 社会保障・税番号制度(社会保障分野)
     「事業主の皆様へ」「地方公共団体のみなさまへ」「医療保険者等のみなさまへ」はありますが、「国民のみなさまへ」はありません。
    • 事業主のみなさまへ 
      • リーフレット(PDF)
         「平成28年1月から、社会保障、税、災害対策の行政手続で『個人番号』を使うこととなります」「民間事業主も、従業員等に関する社会保険の手続や、税の手続きで、個人番号を取扱います」「ハローワーク、日本年金機構、健康保険組合等では、各種事務手続きでご本人の『個人番号(マイナンバー)』を利用します」「事業主の方々は、これらの機関に各種届出を提出する際に、従業員等の『個人番号(マイナンバー)』を記載することが求められることになります」などとと書かれています。

       ここには改正様式(案)も掲載されています。

    • 地方公共団体のみなさまへ
       「社会保障・税番号制度システム整備費補助金」に関する資料や、「社会保障・税番号制度導入のためのシステム改修支援Q&A」などがあります。
    • 医療保険者等のみなさまへ
       平成26年9月~10月に開催された「医療保険者等における番号制度導入に関する説明会」の第1回説明会配布資料(PDF)が掲載されています。

◇マイナンバーを税務に活用する国税庁

 「今後の導入スケジュール」には次の様に書かれています。

 社会保障・税番号制度の導入スケジュールは、現在のところ、平成27年10月から個人番号・法人番号の通知、平成28年1月から順次、社会保障、税、災害対策分野で利用開始することが予定されています(注)。
 これを踏まえると、税分野での利用は、「番号法整備法」に基づき、所得税については平成28年分の申告書から、法人税については平成28年1月以降に開始する事業年度に係る申告書から、法定調書については平成28年1月以降の金銭等の支払等に係るものから、申請書等については平成28年1月以降に提出すべきものから個人番号・法人番号の記載が開始されることになります。

 (注)番号法の施行日は、番号法附則において、「政令で定める日から施行する」とされています。

 所得税の確定申告については2016年分(平成28年分)からとありますから、2017年2月15日~3月15日の確定申告の際には申告書類等に番号を記入する必要が生じるようです。

◇特定個人情報保護委員会

 特定個人情報保護委員会は「個人番号その他の特定個人情報の有用性に配慮しつつ、その適正な取扱いを確保するために必要な措置を講ずることを任務とする内閣府外局の第三者機関」(「委員会とは」)です。
 なお、特定個人情報とは「個人番号(個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号であって、住民票コード以外のものを含む。番号法第7条第1項及び第2項、第8条並びに第67条並びに附則第3条第1項から第3項まで及び第5項を除く。)をその内容に含む個人情報」(番号法第2条第8項) です。

  • 特定個人情報保護委員会
    • 委員長・委員紹介
    • 委員会開催状況
    • 業務案内パンフレット
    • 特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン 
       事業者編と行政機関等・地方公共団体等編が掲載されています。番号を取り扱う事業者や行政機関、地方自治体の方は目を通す必要がある資料ですが、果たして2015年12月末までに、読んで理解して、そして正しく活用できるのでしょうか。とにかくたいへんです。
      • ガイドライン資料集
         事業者編にある資料集。「ガイドラインの概要をまとめた資料はこちらです。従業員の研修等で利用いただけます」との説明が付いています。
        説明資料として「事業者編」「経営者向け」「マイナンバーガイドラインを読む前に」「金融業務編」などが載っています。
  • マイナンバー保護評価Web 
     「国の行政機関や地方公共団体、事業者等が当該サイトで公表した  特定個人情報保護評価書を検索・閲覧することができるサイトです。」との説明があります。
      評価書検索ができます。

◇高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)の新戦略推進専門調査会分科会のマイナンバー等分科会

 「世界最先端IT国家創造宣言(以下「創造宣言」という。)及び新戦略推進専門調査会について(平成25年6月14日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定)第4項に基づき、新戦略推進専門調査会に、重点分野に係る戦略の推進に必要な具体的方策や評価指標の検討、ロードマップの作成・見直し及び取組状況の評価等を実施するために、電子行政、新産業、農業、医療・健康、防災・減災、道路交通、人材育成、規制制度改革、マイナンバー等の各分科会を置く」が分科会の根拠(新戦略推進専門調査会分科会について(PDF))。

  • マイナンバー等分科会
    根拠、構成員(PDF)、開催状況が載っています。
  • 第1回 2014年3月18日
    • 社会保障・税番号制度の概要及び分科会の進め方について (PDF)
       「内閣官房IT総合戦略室 社会保障改革担当室」による資料。6頁の当面の検討の進め方に「社会保障・税番号制度については、役割が主に「名寄せ」「本人確認」「電子サービス」に大別されることや、現行制度の許容範囲・制約等を踏まえ、検討を進める必要」とあります。また4頁には「番号制度関連情報システム全体概要図」が載っています。
  • 第2回 2014年3月27日
    • 公的個人認証サービスの民間拡大について(PDF)
       「総務省自治行政局」による資料。個人番号カードに公的個人認証の電子証明書を入れるので、これをオンラインバンキングやネットショッピングなど民間にも使わせようという話。

2015年4月 4日 (土)

50万人近い住民登録のない国民にはマイナンバーは付番されず、通知カードも届かない

■住民登録がなければマイナンバーは付番されない

 今年の10月から、いよいよマイナンバーを通知する通知カードが住民登録のある国民と在留外国人に送られてくる。しかし、このままでは通知カードが届かない人が多数生まれそうだ。
 なぜ届かないのか。原因は主に2つある。

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 一つは「住民票を移せずマイナンバーが届かない人はどうなる」で指摘したように、住んでいるところと住民登録(住民票)の住所が異なっていることによるものだ。この場合、マイナンバーは付番されてはいるのだが、本人には通知が届かず自分の番号がわからない。

 もう一つは、そもそも住民登録がないためである。マイナンバーは住民登録がある者に付番するのだから、住民登録がなければ付番されない。
 ではどのような場合に住民登録のない人が生まれるのだろうか、またそうした人は何人ぐらいいるのだろうか――なお、ここでは話をわかりやすくするために戸籍登録のある日本国民に限って話を進める(在留外国人の抱える問題については後日、別途論じたい)。

■住民登録を残したまま消える人たち――DVや借金から逃れるため?

 子どもが生まれると、出生届を市町村に出すことで、住民基本台帳法に基づき住所地のある市町村に住民登録がなされる。その後、転居や転出入で住所地を変更した場合など登録内容に異動があった場合は、同法に基づき、住所地のある市町村に転居届や転出・転入届などを出すことで、住民登録は常に正しく維持される。
 一方、住民基本台帳法は、市町村長に住民登録を正確にするよう義務付けており、登録住所地の実態調査をしたところ居住の事実が認められなければ、職権で住民登録を削除することになる。職権削除されれば戸籍登録があるにもかかわらず住民登録がない国民となってしまう。

 実態調査以外にも削除されるケースがある。一つは親族や同居人からの申出である。例えば、「息子が黙って家出をしてしまった。今はどこに住んでいるのかわからない。住民登録を消して欲しい」といった場合だ。こうした申出があれば実態調査をし、事実であれば市町村長は職権で住民登録を削除する。同様のケースとしては、近所の人や、借家の貸主からの「○○はもう住んでいない」との通報によるものもあるだろう。
 また、転出届が出ているが、その後、どこの市町村からも転入通知が届かなければ、転出元の市町村長は、住民登録を職権でやはり削除することになる。

 なお、職権で削除されても、現に住んでいる住所地の市町村へ正しく届出をすれば住民票は再び作られる。

 住民登録を残したままいなくなる理由は、同居家族によるDVや借金の取り立てからの逃避など様々なことが考えられる。追跡を逃れるため移り住んだ先では住民登録をせず、偽名で暮らしたり、ホームレスやネットカフェ難民になっている場合もあるだろう。

■毎年数万人の住民登録が消されている

 全国的な統計は見当たらないので実際に職権消除がどの程度行われているのかはわからない。ウェブサイトで職権消除の数字を公表している自治体がいくつかあるので大胆に推計してみることにする。

 大阪府泉南市では2013年4月~2014年3月の1年間で28人が職権削除されている(ただし、この数字には外国人住民も含まれる)。2014年3月の同市の住民基本台帳人口は64,278人であるから、0.044%の住民が住民登録を職権削除されたことになる。
 一方、福岡県春日市では、同期間に100人が職権削除されている(こちらは日本人のみの数字)。これは同市の住民基本台帳人口の0.090%にあたる。
 また、埼玉県草加市は2015年1月~12月の1年間に428人を職権削除(外国人含む)しており、これは同じく同市の人口の0.175%に相当する。

 これら3つの数字だけでの推計には無理があるが、日本の人口を1億3,000万人とすれば、計算上はおおよそ5万~22万人程度が職権消除されていることになる。
 おそらく高齢化の進む農村部では職権消除の率はこれほど高くはないとは思われるが、それでも全国で見れば毎年少なくとも数万人程度が住民登録を失っていることは間違いないであろう。

■「戸籍はあるが住民登録がない人」の人数を示す統計は見当たらず

 では、戸籍登録があり、日本国内に住んでいるにもかかわらず住民登録のない人は何人ぐらいいるのだろうか。残念ながら公的機関による統計は見当たらないので、以下推計することにする。

 まず、戸籍登録の人口は、「戸籍統計」によれば、2014年1月1日現在で128,254,692人である。
 戸籍を残したまま、要するに日本国籍のまま外国に1年以上住む場合は国外への転出届を出すことにより、住民登録は削除されなくなる。「海外在留邦人数調査統計」によれば2013年10月1日現在の海外在留日本人のうち永住者は411,859人、一方、長期滞在者(3か月以上の海外在留者のうち、海外での生活は一時的なもので、いずれわが帰国するつもりの日本人)は839,516人である。長期滞在者のうち半数が海外への転出届を出し住民登録がなくなっていると仮定すると海外在留により住民登録がない者は831,617人となる。
 そして、住民登録をしている人口である住民基本台帳人口は「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」によれば2014年1月1日現在で126,434,964人(外国人を除く)である。

 よって、戸籍登録があり、日本国内に住んでいるにもかかわらず住民登録のない人の数は、戸籍登録人口(約12,825万人)から、海外在留により住民登録がない者の人口(約83万人)と住民基本台帳人口(約12,643万人)を引いた数となり、計算してみると――基準日の違いなど不正確な面はあるが――およそ99万人となる。

■50万人と推計 戸籍はあるが住民登録がない人たち

 もちろんこの99万人の中には、身元不明の死者、いわゆる行旅死亡人として処理されたことなどにより、実際には亡くなっているにもかかわらず死亡届が出されず戸籍だけが残っている人もいるだろう。そうした人は99万人のうちの何割程度だろう。
 大胆に推し量って、例えば半分が既に亡くなっているとしても、50万人近い国民が戸籍登録があり日本国内に住んでいるにもかかわらず住民登録がないことになる。およそ国民260人に1人、人口10万人の市ならば380人だ(実際には農村部に少なく、東京や大阪などの大都市に多いだろう)。
 戸籍登録があるにもかかわらず住民登録のない人が国内に50万人近くいるという数字は、先に毎年少なくとも数万人程度が1年間に職権消除により住民登録を失っているとの大胆な推計結果から見ても大きくは外れていないだろう。

■マイナンバーがなければ、社会保障、雇用から排除される可能性も

 こうした戸籍登録があり日本国内に住んでいるにもかかわらず住民登録のない人たちには、マイナンバーは付番されないし、もちろん告知カードも届かない。
 マイナンバーがなければどうなるのか。マイナンバーの提示を求められる社会保障の手続きも、税の申告もできず、預貯金さえ困難になるだろう。さらには雇用先にマイナンバーを届けることもできず、最悪、解雇されるかも知れないし、番号を告げられない理由を隠す(雇用主に知られれば例えばDV夫に居場所が漏れるかも知れない・・・)ために自ら退職を願い出ることもあるだろう。

 政府がすべきなのは「マイナンバーの通知を受けるために住民票を移せ」とする無責任な広報をテレビや新聞折り込みで繰り返すのではなではなく、「DVなどやむを得ない事情により、住んでいるところに住民登録をしていない人は、マイナンバーの通知を届けることができません。相談窓口までご連絡ください」と知らせることではないだろうか。
 政府が「住所地に住民票は当たり前、届かないのは自己責任」を前提に事を進めるならば、住民登録のない数十万人を超える人たちが社会保障や雇用から排除されてしまうことになる。これにさらにマイナンバーがあるが通知が届いていない人たちも加わる。
 こうした多数の人たちを排除すれば、日本の社会は崩壊してしまうかも知れない。

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