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2015年4月 4日 (土)

50万人近い住民登録のない国民にはマイナンバーは付番されず、通知カードも届かない

■住民登録がなければマイナンバーは付番されない

 今年の10月から、いよいよマイナンバーを通知する通知カードが住民登録のある国民と在留外国人に送られてくる。しかし、このままでは通知カードが届かない人が多数生まれそうだ。
 なぜ届かないのか。原因は主に2つある。

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 一つは「住民票を移せずマイナンバーが届かない人はどうなる」で指摘したように、住んでいるところと住民登録(住民票)の住所が異なっていることによるものだ。この場合、マイナンバーは付番されてはいるのだが、本人には通知が届かず自分の番号がわからない。

 もう一つは、そもそも住民登録がないためである。マイナンバーは住民登録がある者に付番するのだから、住民登録がなければ付番されない。
 ではどのような場合に住民登録のない人が生まれるのだろうか、またそうした人は何人ぐらいいるのだろうか――なお、ここでは話をわかりやすくするために戸籍登録のある日本国民に限って話を進める(在留外国人の抱える問題については後日、別途論じたい)。

■住民登録を残したまま消える人たち――DVや借金から逃れるため?

 子どもが生まれると、出生届を市町村に出すことで、住民基本台帳法に基づき住所地のある市町村に住民登録がなされる。その後、転居や転出入で住所地を変更した場合など登録内容に異動があった場合は、同法に基づき、住所地のある市町村に転居届や転出・転入届などを出すことで、住民登録は常に正しく維持される。
 一方、住民基本台帳法は、市町村長に住民登録を正確にするよう義務付けており、登録住所地の実態調査をしたところ居住の事実が認められなければ、職権で住民登録を削除することになる。職権削除されれば戸籍登録があるにもかかわらず住民登録がない国民となってしまう。

 実態調査以外にも削除されるケースがある。一つは親族や同居人からの申出である。例えば、「息子が黙って家出をしてしまった。今はどこに住んでいるのかわからない。住民登録を消して欲しい」といった場合だ。こうした申出があれば実態調査をし、事実であれば市町村長は職権で住民登録を削除する。同様のケースとしては、近所の人や、借家の貸主からの「○○はもう住んでいない」との通報によるものもあるだろう。
 また、転出届が出ているが、その後、どこの市町村からも転入通知が届かなければ、転出元の市町村長は、住民登録を職権でやはり削除することになる。

 なお、職権で削除されても、現に住んでいる住所地の市町村へ正しく届出をすれば住民票は再び作られる。

 住民登録を残したままいなくなる理由は、同居家族によるDVや借金の取り立てからの逃避など様々なことが考えられる。追跡を逃れるため移り住んだ先では住民登録をせず、偽名で暮らしたり、ホームレスやネットカフェ難民になっている場合もあるだろう。

■毎年数万人の住民登録が消されている

 全国的な統計は見当たらないので実際に職権消除がどの程度行われているのかはわからない。ウェブサイトで職権消除の数字を公表している自治体がいくつかあるので大胆に推計してみることにする。

 大阪府泉南市では2013年4月~2014年3月の1年間で28人が職権削除されている(ただし、この数字には外国人住民も含まれる)。2014年3月の同市の住民基本台帳人口は64,278人であるから、0.044%の住民が住民登録を職権削除されたことになる。
 一方、福岡県春日市では、同期間に100人が職権削除されている(こちらは日本人のみの数字)。これは同市の住民基本台帳人口の0.090%にあたる。
 また、埼玉県草加市は2015年1月~12月の1年間に428人を職権削除(外国人含む)しており、これは同じく同市の人口の0.175%に相当する。

 これら3つの数字だけでの推計には無理があるが、日本の人口を1億3,000万人とすれば、計算上はおおよそ5万~22万人程度が職権消除されていることになる。
 おそらく高齢化の進む農村部では職権消除の率はこれほど高くはないとは思われるが、それでも全国で見れば毎年少なくとも数万人程度が住民登録を失っていることは間違いないであろう。

■「戸籍はあるが住民登録がない人」の人数を示す統計は見当たらず

 では、戸籍登録があり、日本国内に住んでいるにもかかわらず住民登録のない人は何人ぐらいいるのだろうか。残念ながら公的機関による統計は見当たらないので、以下推計することにする。

 まず、戸籍登録の人口は、「戸籍統計」によれば、2014年1月1日現在で128,254,692人である。
 戸籍を残したまま、要するに日本国籍のまま外国に1年以上住む場合は国外への転出届を出すことにより、住民登録は削除されなくなる。「海外在留邦人数調査統計」によれば2013年10月1日現在の海外在留日本人のうち永住者は411,859人、一方、長期滞在者(3か月以上の海外在留者のうち、海外での生活は一時的なもので、いずれわが帰国するつもりの日本人)は839,516人である。長期滞在者のうち半数が海外への転出届を出し住民登録がなくなっていると仮定すると海外在留により住民登録がない者は831,617人となる。
 そして、住民登録をしている人口である住民基本台帳人口は「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」によれば2014年1月1日現在で126,434,964人(外国人を除く)である。

 よって、戸籍登録があり、日本国内に住んでいるにもかかわらず住民登録のない人の数は、戸籍登録人口(約12,825万人)から、海外在留により住民登録がない者の人口(約83万人)と住民基本台帳人口(約12,643万人)を引いた数となり、計算してみると――基準日の違いなど不正確な面はあるが――およそ99万人となる。

■50万人と推計 戸籍はあるが住民登録がない人たち

 もちろんこの99万人の中には、身元不明の死者、いわゆる行旅死亡人として処理されたことなどにより、実際には亡くなっているにもかかわらず死亡届が出されず戸籍だけが残っている人もいるだろう。そうした人は99万人のうちの何割程度だろう。
 大胆に推し量って、例えば半分が既に亡くなっているとしても、50万人近い国民が戸籍登録があり日本国内に住んでいるにもかかわらず住民登録がないことになる。およそ国民260人に1人、人口10万人の市ならば380人だ(実際には農村部に少なく、東京や大阪などの大都市に多いだろう)。
 戸籍登録があるにもかかわらず住民登録のない人が国内に50万人近くいるという数字は、先に毎年少なくとも数万人程度が1年間に職権消除により住民登録を失っているとの大胆な推計結果から見ても大きくは外れていないだろう。

■マイナンバーがなければ、社会保障、雇用から排除される可能性も

 こうした戸籍登録があり日本国内に住んでいるにもかかわらず住民登録のない人たちには、マイナンバーは付番されないし、もちろん告知カードも届かない。
 マイナンバーがなければどうなるのか。マイナンバーの提示を求められる社会保障の手続きも、税の申告もできず、預貯金さえ困難になるだろう。さらには雇用先にマイナンバーを届けることもできず、最悪、解雇されるかも知れないし、番号を告げられない理由を隠す(雇用主に知られれば例えばDV夫に居場所が漏れるかも知れない・・・)ために自ら退職を願い出ることもあるだろう。

 政府がすべきなのは「マイナンバーの通知を受けるために住民票を移せ」とする無責任な広報をテレビや新聞折り込みで繰り返すのではなではなく、「DVなどやむを得ない事情により、住んでいるところに住民登録をしていない人は、マイナンバーの通知を届けることができません。相談窓口までご連絡ください」と知らせることではないだろうか。
 政府が「住所地に住民票は当たり前、届かないのは自己責任」を前提に事を進めるならば、住民登録のない数十万人を超える人たちが社会保障や雇用から排除されてしまうことになる。これにさらにマイナンバーがあるが通知が届いていない人たちも加わる。
 こうした多数の人たちを排除すれば、日本の社会は崩壊してしまうかも知れない。

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