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2015年3月31日 (火)

住民票を移せずマイナンバーが届かない人はどうなる ――社会保障、雇用から排除される可能性

■マイナンバーの通知は住民票の住所に世帯でまとめて送られる

 マイナンバーの通知は、住民登録を行っているすべての国民と外国人に10月から通知カードによって行われる。通知カードは紙製で、世帯単位、すなわち住民登録の世帯を一つにまとめて、簡易書留で送られるようだ。

Tuchicard_1022 先のブログ「住民票を移せない人たちを切り捨てるマイナンバーの政府広報」(2015年3月29日)の末尾に「マイナンバーの通知で問題になるのは、通知が住民登録地に届くと、DVの加害者に被害者のマイナンバーが知られてしまうことである」と書いた。
 この件についてもう少し考えてみることにしたいと思うが、まず、今住んでいるところに住民登録を移動させることが出来ないDVの被害者にマイナンバーの通知が届かないとどうなるかを想像してみよう。

■雇用主にマイナンバーを告げなければならないが・・・

 内閣官房の社会保障・税番号制度の「よくある質問(FAQ)」にはこうある。

Q1-4 マイナンバー(個人番号)は、誰がどのような場面で使うのですか?

A1-4 国の行政機関や地方公共団体などにおいて、マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の分野で利用されることとなります。
 このため、国民の皆様には、年金・雇用保険・医療保険の手続、生活保護・児童手当その他福祉の給付、確定申告などの税の手続などで、申請書等にマイナンバーの記載を求められることとなります。
 また、税や社会保険の手続きにおいては、事業主や証券会社、保険会社などが個人に代わって手続きを行うこととされている場合もあります。このため、勤務先や証券会社、保険会社などの金融機関にもマイナンバーの提出を求められる場合があります。

 ようするに、自分のマイナンバーを知らなければ、社会保障の手続ができず、税の申告もできず、預貯金さえ困難になるのだ。特に忽ち起きる深刻な問題は、雇用先へのマイナンバーの告知であろう。

■DVを理由に告げなくても済むことにはならないだろう

 マイナンバーの利用が始まった2016年初頭のある日、雇用主から「税金と社会保険の事務に必要だからあなたとあなたの扶養家族のマイナンバーを教えて」と言われる。その時どうするか。「夫のDVから逃げていて、住民登録が今住んでいるところに移していないのです。だからわかりません」と言えるだろうか。
 もし勇気を出してそう言ったとしても、雇用主は「そうですか。では知らせなくても結構です」とは応じられない。雇用主は、税務()や社会保障の書類に従業員と扶養家族のマイナンバーを書くことが法で求められているからだ。

 マイナンバーを告げなければ、最悪、解雇もあり得るだろうし、番号を告げられない理由を隠す(雇用主に知られればDV夫に居場所が漏れるかも知れない・・・)ために自ら退職を願い出ることもあるだろう。

 住基ネットの住民票コードのように「通知が届かなくてもまあ良いか」とは決してならないのだ。

■「住民票を移せ」の無責任な政府広報ではなく

 もちろん通知カードが届かなくても、自分のマイナンバーを知る方法はある。一番簡単なのは住民登録のある市(町村)の市役所(役場)へ出向いて、マイナンバーの記載された住民票の写しの交付を受けることだ。
 しかし、これとてDVから逃げている人にとってはむずかしい話だ。たまたまDVの加害者が市役所に来ていたらどうしよう、知り合いに会ったらどうしよう、ひょっとすると夫が見張っているかも知れない・・・となるであろう。

 先日のブログ記事「住民票を移せない人たちを切り捨てるマイナンバーの政府広報」の繰り返しになるが、政府がすべきなのは「マイナンバーの通知を受けるために住民票を移せ」とする無責任な広報ではなく、「DVなどやむを得ない事情により住所地に住民票を移していない、移すことが出来ない人は、マイナンバーの通知を届けることができませんので、相談窓口までご連絡ください」ではないだろうか。
 もちろんその前提として政府が責任を持って、相談窓口の設置(市町村単位など)を含む具体的な対応策をとることが必要なのは言うまでもないことである。

■住所地に住民票を移せない人はDV被害者だけではない

 なお、ここではわかりやすいようにDVを例に出したが、他にも様々理由で住んでいるところに住民票を移せない人がたくさんいるであろう。例えば、親と折り合いが悪く家を飛び出した子ども、そしてその逆パターン。まち金などから逃げている人もいるだろう。
 また、居住の実態がないとして、市町村長の職権により住民登録が抹消されてしまっている人もいるだろう。当然、住民登録のない人には、どこからもマイナンバーの通知は届かない。

 「住所地に住民票は当たり前、届かないのは自己責任」を前提に事を進めるならば、たくさんの人たちが社会保障や雇用から排除されてしまうことになるだろう。

 給与から源泉徴収された所得税の納税地は、雇用主(源泉徴収義務者)の事業所の所在地であって、従業員の住所地ではない。このため現時点では住所地と住民登録の住所が異なっていても、所得税の納付という点では何ら問題ない。市町村の住民税については、実際に生活している市町村に納めることになっているので、現時点では住所地と住民登録の住所が異なっていても住民税の納付という点ではこちらも問題はない。

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