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2015年3月31日 (火)

住民票を移せずマイナンバーが届かない人はどうなる ――社会保障、雇用から排除される可能性

■マイナンバーの通知は住民票の住所に世帯でまとめて送られる

 マイナンバーの通知は、住民登録を行っているすべての国民と外国人に10月から通知カードによって行われる。通知カードは紙製で、世帯単位、すなわち住民登録の世帯を一つにまとめて、簡易書留で送られるようだ。

Tuchicard_1022 先のブログ「住民票を移せない人たちを切り捨てるマイナンバーの政府広報」(2015年3月29日)の末尾に「マイナンバーの通知で問題になるのは、通知が住民登録地に届くと、DVの加害者に被害者のマイナンバーが知られてしまうことである」と書いた。
 この件についてもう少し考えてみることにしたいと思うが、まず、今住んでいるところに住民登録を移動させることが出来ないDVの被害者にマイナンバーの通知が届かないとどうなるかを想像してみよう。

■雇用主にマイナンバーを告げなければならないが・・・

 内閣官房の社会保障・税番号制度の「よくある質問(FAQ)」にはこうある。

Q1-4 マイナンバー(個人番号)は、誰がどのような場面で使うのですか?

A1-4 国の行政機関や地方公共団体などにおいて、マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の分野で利用されることとなります。
 このため、国民の皆様には、年金・雇用保険・医療保険の手続、生活保護・児童手当その他福祉の給付、確定申告などの税の手続などで、申請書等にマイナンバーの記載を求められることとなります。
 また、税や社会保険の手続きにおいては、事業主や証券会社、保険会社などが個人に代わって手続きを行うこととされている場合もあります。このため、勤務先や証券会社、保険会社などの金融機関にもマイナンバーの提出を求められる場合があります。

 ようするに、自分のマイナンバーを知らなければ、社会保障の手続ができず、税の申告もできず、預貯金さえ困難になるのだ。特に忽ち起きる深刻な問題は、雇用先へのマイナンバーの告知であろう。

■DVを理由に告げなくても済むことにはならないだろう

 マイナンバーの利用が始まった2016年初頭のある日、雇用主から「税金と社会保険の事務に必要だからあなたとあなたの扶養家族のマイナンバーを教えて」と言われる。その時どうするか。「夫のDVから逃げていて、住民登録が今住んでいるところに移していないのです。だからわかりません」と言えるだろうか。
 もし勇気を出してそう言ったとしても、雇用主は「そうですか。では知らせなくても結構です」とは応じられない。雇用主は、税務()や社会保障の書類に従業員と扶養家族のマイナンバーを書くことが法で求められているからだ。

 マイナンバーを告げなければ、最悪、解雇もあり得るだろうし、番号を告げられない理由を隠す(雇用主に知られればDV夫に居場所が漏れるかも知れない・・・)ために自ら退職を願い出ることもあるだろう。

 住基ネットの住民票コードのように「通知が届かなくてもまあ良いか」とは決してならないのだ。

■「住民票を移せ」の無責任な政府広報ではなく

 もちろん通知カードが届かなくても、自分のマイナンバーを知る方法はある。一番簡単なのは住民登録のある市(町村)の市役所(役場)へ出向いて、マイナンバーの記載された住民票の写しの交付を受けることだ。
 しかし、これとてDVから逃げている人にとってはむずかしい話だ。たまたまDVの加害者が市役所に来ていたらどうしよう、知り合いに会ったらどうしよう、ひょっとすると夫が見張っているかも知れない・・・となるであろう。

 先日のブログ記事「住民票を移せない人たちを切り捨てるマイナンバーの政府広報」の繰り返しになるが、政府がすべきなのは「マイナンバーの通知を受けるために住民票を移せ」とする無責任な広報ではなく、「DVなどやむを得ない事情により住所地に住民票を移していない、移すことが出来ない人は、マイナンバーの通知を届けることができませんので、相談窓口までご連絡ください」ではないだろうか。
 もちろんその前提として政府が責任を持って、相談窓口の設置(市町村単位など)を含む具体的な対応策をとることが必要なのは言うまでもないことである。

■住所地に住民票を移せない人はDV被害者だけではない

 なお、ここではわかりやすいようにDVを例に出したが、他にも様々理由で住んでいるところに住民票を移せない人がたくさんいるであろう。例えば、親と折り合いが悪く家を飛び出した子ども、そしてその逆パターン。まち金などから逃げている人もいるだろう。
 また、居住の実態がないとして、市町村長の職権により住民登録が抹消されてしまっている人もいるだろう。当然、住民登録のない人には、どこからもマイナンバーの通知は届かない。

 「住所地に住民票は当たり前、届かないのは自己責任」を前提に事を進めるならば、たくさんの人たちが社会保障や雇用から排除されてしまうことになるだろう。

 給与から源泉徴収された所得税の納税地は、雇用主(源泉徴収義務者)の事業所の所在地であって、従業員の住所地ではない。このため現時点では住所地と住民登録の住所が異なっていても、所得税の納付という点では何ら問題ない。市町村の住民税については、実際に生活している市町村に納めることになっているので、現時点では住所地と住民登録の住所が異なっていても住民税の納付という点ではこちらも問題はない。

関連記事 

 → 「DV等の被害者、申出すれば通知カードの送付先変更が可能に? 

 → 「【続報】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?

 → 「【続々】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?

 → 【速報】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能になりました

 → 総務省が、DV被害者等への通知カードの送付先変更の案内ページを開設

マイナンバーは国民を選別するためのシステム ――講演レジュメより

2014年9月に某所で行った講演の際のレジュメです。ご参考までにどうぞ。


マイナンバー制度、プライバシー、監視社会

20149

自治体情報政策研究所 黑田 充

0.はじめに

今日の話の中心は「マイナンバー制度」

「マイナンバーでプライバシーが心配」というが・・・

個人情報を巡る昨今の焦点は「保護」ではなく「活用」

  最近よく聞く「ビッグデータ」は個人情報の活用の話

マイナンバー制度は監視社会を招くと言われるが、そもそも監視社会とは如何なるものか

政治・社会の右傾化とマイナンバー制度の関わりをどう考えるのか?

1.監視とは何か

監視(surveillance)とは何か

監視の両義性 配慮(care)と管理(control

       監視=「悪事」ではない

見張るだけでは監視ではない

対象を分類し、シミュレーションし、リスク管理する

そして、必要に応じ対象に働きかける

   許可、制限、排除、禁止、拘束、誘導、提供、優遇等々

注意が必要なのは、監視は権力的である点。例え双方向であったとしても平等ではない

2.監視を実現するには情報が必要

個人を監視するためには、その者に関わる「個人に関する情報」が必要

個人に関する情報  属性に関する、内面に関する、行動に関する

対象が誰なのか、いまどこにいるのか、何をしているのかなどが、わからなければ監視できない

より精度の高い監視のためには、より詳しい、より正しい、より新しい「個人に関する情報」が必要

一方、我々は「個人に関する情報」を日々ばらまき続けている

就学、就労、買い物、通学、通勤、通行、通話、メール、申請等々

ばらまかなければ生活が出来ない

3.現代社会は「監視社会」?

現代的な監視の特徴

ばらまかれた個人に関する情報が、コンピューターやネットワークを介して収集され、記録され、分析されることによって、我々は日常的に、クラシフィケーションやカテゴライズ(分類、選別)、ソート(順序づけ、等級付け)されている

こうした傾向は、コンピューターやネットワークの発展、普及、高度化によりますます強まっている  いわゆる高度情報化社会の到来

我々の住んでいる現代社会は、監視の容易化、日常化、普遍化、遍在化(ユビキタス)が日々進行している「監視社会」である

  ・・・プライバシー(自己情報コントロール権)の問題

4.監視と識別

しかし、ばらまかれた個人に関する情報の多くは、「断片」に過ぎない

より良い監視(分類、シミュレーション、リスク管理)のためには、これら断片化された情報を集め、個人を仮想的に作り出すことが必要

そのためには必要なのは、名寄せ、データマッチング、プロファイリング

コンピューター上に個人のコピーを作り出すには、個人を識別(特定)することが不可欠

この情報の所有者(ばらまいた者)は、だれなのか

Aという情報をばらまいた甲と、Bという情報をばらまいた乙は同一人物なのか

個人への番号付加は、正確な識別にとって最適な方法の一つである

いま求められているのは、複数の記録装置をまたいで「仮想的な個人」(人格のコピー)をコンピューター上に作り出すこと  ← 複数の記録装置を貫く識別

Aという記録装置に記録された甲の個人に関する情報と、Bという記録装置に記録された甲の個人に関する情報を必要に応じて名寄せし、監視をより高度化する

マイナンバー制度は、最初から複数の記録装置をまたいだ名寄せのためのシステムとして構築される

5.監視の主体と目的

監視(「配慮」と「管理」)をするのはだれか、その目的は

個人 とりあえずパス、相互監視という魅力的な議論はあるのだが

企業 「配慮」も「管理」も利益追求のため

    例えば、ポイントカード、大阪駅の監視カメラ

国家 「配慮」・・・福祉、「管理」・・・統制

当たり前だが「だれが何の目的で」が一番大事 +どのようにして

ただし、監視は権力的であり、個人、企業、国家を同列に論じることは出来ない

6.現実に戻って  マイナンバー制度とは何か

番号制度の根拠法

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)

民主党政権が自公政権での検討を受け継ぎ法案化

自公民三党で修正合意したが解散により廃案に

安倍政権が修正提案し、自・公・民・みんな・維新等の賛成により20135月に成立

マイナンバー制度の目的と利用範囲

市町村の保有する住民票に基づき、全ての国民等(国民、特別永住者、中・長期在留外国人)に個人番号(12桁の数字)を付番し、これを使って行政機関等(国の省庁、地方自治体、日本年金機構、健康保険組合、医療機関、介護事業者等)の保有する個人情報を名寄せし、社会保障や税、災害対策などの分野において活用する

スケジュール

201510月に付番・通知

20161月から利用開始

2018年頃を目途に利用範囲を再検討

二つの番号カードを交付

通知カード 付番された全ての国民等に交付

個人番号カード 申請に基づき交付

相手(行政機関、雇用主等)に番号を告知する必要

 +告知した番号が正しいことを証明する義務

 → 番号を記したカードを示す必要 → カードを持たざるを得ない

7.マイナンバー制度における市町村の役割

国民の個人情報、特に基本的な個人情報を持っているのはだれか

市町村抜きでは番号制度は成り立たない

  付番には名簿が必要だが、住民の名簿を持っているのはだれか

  住基ネットも住民票コードもなくならない

93利用事務のうち、都道府県が主体は32事務、市町村が主体は31事務

現在、市町村で番号利用への準備が進められている

個人情報へマイナンバーを紐付け、国の機関等に提供するためのシステム改修

条例を定めれば、自治体による独自利用も可能

8.マイナンバー制度と監視

構築される番号制度は、全ての国民等を対象とした「監視」のためのシステム

ある特定の人を監視するためだけのものではない

対象とする国民等が必要な基準を満たしているのかどうか選別したり、国民等の中から一定の基準にもとづいて特定の人を選び出したりするために使われる

そもそも番号制度導入の出発点は、安上がりの社会保障制度の実現 ←小泉構造改革

    市場化・営利化、自助・自立・自己責任

「真に手を差し伸べるべき人」(⇔生きるに値しない命)の選別

    生活保護、終末期医療等々

当然出て来る「同じ作るなら、もっと利用しよう」の声 ←財界、政界、官僚、公安筋等々

「○○にも使えるのでは」的発想で利用拡大

2018年頃を目途に利用範囲を再検討 ← 民間利用を求める財界

9.政治・社会の右傾化とマイナンバー制度

秘密保護法、集団的自衛権行使容認、徴兵制導入論議・・・

テロ対策、治安対策と個人情報

徴兵、徴用と個人情報  戦争は誰がするのか

経済的徴兵制の現実性

では現在の番号制度は、テロ対策や戦争に役立つのか

現在示されているマイナンバー制度の利用分野-「個人番号の個人情報への紐付け」だけならそれほど役に立たないだろう

問題は、「国家目標」の実現に役立つように「個人情報への紐付け」が拡大されていく可能性が大きいということ  様々な行政分野、民間利用

10.おわりに

マイナンバー制度の合法的利用と非合法

合法と非合法の境界線

  個人による犯罪  例えば、目的外使用 ・・・法違反

  組織による犯罪  基本的人権の侵害  ・・・憲法違反

利用目的・範囲が秘密にされる可能性

「法」「システム」さえ正しく作られれば大丈夫なのか?

マイナンバー制度廃止(中止)の可能性

残念ながら関心は皆無。むしろ歓迎する傾向が強い

では、どうしていくのか

  「知らない」「大事なところが知らされていない」が最大の問題

「監視社会」を前提として、監視をどう市民として民主的にコントロールするのか、できるのかが「人類の課題」ではないか

2015年3月29日 (日)

住民票を移せない人たちを切り捨てるマイナンバーの政府広報

 DV被害者の52.6%が「住所を知られないようにするため住民票を移せない」と回答。にもかかわらず住民票の異動を広報やテレビCMで脳天気に呼びかける無慈悲な政府のお話し

■マイナンバーCMの「住民票の確認」は、「住所地に住民票を移せ」ということ?

 上戸彩さんが出演するマイナンバーのテレビCMが3月9日から連日流されている。CMは「マイナンバー知ってる?編」と「マイナンバー住民票編」の2種類があるようだ。
 「住民票編」のCMでは「住民票の住所に届くから、住民票ちゃんと確認しとこ」と上戸さんに言わせているのだが、「住民票の確認」とは具体的にどういうことなのだろう。何をしろと政府は国民に求めているのか。

 CMではわからなかったこの謎が今日(3月29日)新聞各紙に折り込まれた「マイナンバー」の政府広報で判明した。

 A3版で4頁だてのカラー印刷というご大層な広報の表紙に「※マイナンバーの通知は、住民票の住所に送られます。(住民票の住所と異なるところにお住まいの方は、お住まいの市町村に住民票を移してください。)」とある。どうやら「住民票の確認」とは、住所地に住民票を移せということだったようだ。

20150329

■住所地に住民票を移せない人たち ――DV夫に住所を知られたくない

 住所地に住民票は当たり前のことであり何を今さらと思う人もいるかも知れない。しかし、現実には、本当に住んでいる所と住民登録の住所が異なっている人が多数いる。例えば、配偶者によるDVを逃れるために飛び出したが、移り住んだ場所を配偶者に知られると追いかけてくるのではないかと恐れ、住民登録を移動させていない、移動させることが出来ないケースがある。

 内閣府が「配偶者等から暴力を受けた者で、現在自立して生活している者、又は自立に向けて生活している者」を対象に2006年に「配偶者からの暴力の被害者の自立支援等に関する調査」を行っている。これによれば「あなたが相手と離れて生活を始めるにあたって、どのようなことに困りましたか。(複数回答)」の質問に対して、52.6%の人が「住所を知られないようにするため住民票を移せない」と答えている。

201503292

 こうした現実があるにもかかわらず、マイナンバーの通知を受けるために住民票を移せと一方的に広報するのはあまりにもまずいのではないか。因みに、この調査も、マイナンバーの政府広報も所管は同じ内閣府である。

■政府の「DV対策方針」は、住民票を移せない人がいることが前提

 ところで政府は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」第2条の2に基づき「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等のための施策に関する基本的な方針」(PDF)(内閣府、国家公安委員会、法務省、厚生労働省)を2013年に策定している)。
 そこには次のような記述がある。長くなるが紹介する(赤色強調は引用者)。

7 被害者の自立の支援
(8)子どもの就学・保育等
ア 就学
 子どもの就学については、様々な事情によって住民票の記載がなされていない場合であっても、その子どもが住所を有することに基づいて就学を認める扱いがなされている。また、転出先の学校においては、被害者等の安全を確保するために情報提供の制限が必要な場合においては、転出元の学校へは転出の事実のみを知らせるなどの対応も考えられる。これらのことを踏まえ、支援センターにおいては、被害者等の安全の確保を図りつつ、子どもの教育を受ける権利が保障されるよう、教育委員会、学校と連絡を取るとともに、被害者に対し、必要な情報提供を行うことが必要である。

イ 保育
(ア)保育所への入所
 (引用者略)
 国においては、市町村に対し、保育所へ入所する子どもを選考する場合においては、母子家庭等の子どもについて、保育所入所の必要性が高いものとして優先的に取り扱う特別の配慮を引き続き求めるよう努める。また、保護者が求職中であっても保育所への申込みが可能であること、戸籍及び住民票に記載がない子どもであっても、居住している市町村において保育所への入所の申込みが可能であること、並びに被害者が加害者の元から避難したことにより世帯の負担能力に著しい変動が生じ、費用負担が困難と認められる場合には、その個々の家計の収入の実態を踏まえた適切な保育料が徴収されるようにすることについても、市町村に対し周知徹底に努める。

 (引用者略)

エ 予防接種等
 支援センターは、子どもとともに遠隔地で生活する被害者について、住民票の記載がなされていない場合であっても、居住していることが明らかであれば、滞在先の市町村において予防接種法(昭和23年法律第68号)に基づく定期の予防接種や母子保健法(昭和40 年法律第141号)に基づく健診が受けられることについて、事案に応じた情報提供等を行うことが必要である。
 国においては、こうした支援が適切に行われるよう、市町村等関係機関に対する周知に努める。

(9)その他配偶者暴力相談支援センターの取組
 (引用者略)
 また、住民票の記載がなされていない場合であっても、介護保険法(平成9年法律第123号)に基づく要介護認定等を受けて、施設介護サービス費の支給等の介護給付等を受けることが可能であることや、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)に基づく施設入所支援等についても同様に、支給決定を受けることが可能であることについて、事案に応じた情報提供等を行うことが必要である。
 なお、住民票を移していない場合等の一般旅券の発給に関しては、各都道府県の一般旅券申請窓口に相談するよう、事案に応じた情報提供等を行うことが必要である。

としている。
 すなわち、DVにより住所地に住民票を移せない人がいることを前提に、どう支援していくかが具体的に考えられ政府として方針化しているのである。

■市町村も住民票を移せないDV被害者を支援

 方針は、また「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」第2条の3第1項に基づく基本計画の策定を地方自治体に要請している(都道府県はすべて策定済み)。
 こうした要請に応え、例えば兵庫県の尼崎市では「配偶者等からの暴力(DV)対策基本計画」が2012年に策定されている。そこにもDVにより住所地に住民票を移せない人がいることを前提に次の様に書かれている。

5 施策の展開
基本目標3 自立・生活再建の支援
方針4 子どもへの支援
現状と課題
 (引用者略)
 また、子どもの就学に関しては、被害者が住民票を異動していない場合でも区域外就学手続を行うとともに、転学先や居住地等の情報管理について配慮をしている。保育所入所に関しても、市外に住民票がある被害者でも市内居住者と同様の取扱いとし、情報管理について配慮をしている。

今後の取組み
施策の方向1 就学等における支援と配慮等
住民票を異動していない被害者の就学手続について、引き続き対応する。保育所入所手続についても、市内在住とみなして申請を受け付ける。
・子どもの転居先や居住地等の情報管理について、学校、幼稚園、保育所への周知を徹底する。

■にもかかわらず「住民票を移せ」の脳天気な政府広報

 このような施策を展開している政府がマイナンバーの導入にあたってすべきなのは、CMや新聞折り込みで「マイナンバーの通知を受けるために住民票を移せ」と脳天気に繰り返すことではないだろう。
 「DVなどやむを得ない事情により住所地に住民票を移していない、移すことが出来ない人は、マイナンバーの通知を届けることができませんので、相談窓口までご連絡ください」ではないだろうか。もちろんその前提として政府が責任を持って、相談窓口の設置(市町村単位など)を含む具体的な対応策をとることが必要なのは言うまでもない。

■マイナンバー通知がDV夫に届く恐怖

 また、もう一点、マイナンバーの通知で問題になるのは、通知が住民登録地に届くと、DVの加害者に被害者のマイナンバーが知られてしまうことである。政府広報が「マイナンバーは一生使うもの。大切にね!」と呼びかけていることからも、マイナンバーが知られることによって、あらたなる被害が生じることは容易に想像できる。またそうした想像から恐怖にかられている被害者も多いのではないだろうか。
 だからこそ、「マイナンバーの通知を受けるために住民票を移せ」などと無責任に広報するのではなく、政府は具体的な対応策を国民にわかりやすく、かつ早急に示すべきであろう。

関連記事

 → 「DV等の被害者、申出すれば通知カードの送付先変更が可能に?

 → 「【続報】DV等の被害者、申出すればマイナンバーの通知カード、送付先変更が可能に?

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2015年3月27日 (金)

マイナンバーに関するリンク集(政府関係)

 内容を更新しましたので、こちらをどうぞ

2015年3月21日 (土)

神奈川県保険協会主催の講座でマイナンバーの講演をします

 神奈川県保険医協会が主催するシリーズ講座「共通番号(マイナンバー)を斬る」の第1弾の講師として招かれました。

 神奈川県保険医協会の案内ページ

日時 2015年4月10日(金)19:30-21:00

会場 保険医協会・会議室  アクセスマップ

参加対象 一般の方、会員、未入会の医師・歯科医師、医療従事者など

参加費 無料

お申込み・お問合せ 事前に医療情報部までお電話にてお申込みください
                (TEL 045-313-2111)

主催 神奈川県保険医協会・医療情報部

 講演のテーマは 「マイナンバーの目的は何か、社会をどう変えるのか」を予定しています。詳しく言うと

 10月に始まるマイナンバー制度、プライバシー侵害を危惧されている方も多いでしょう。しかし、問題はそれだけでしょうか。
 マイナンバーのルーツは、社会保障費の抑制を進めていた小泉政権にあります。国民全体に痛みを強いるのでは抵抗は大きく限度がある、なら痛みに差をつけよう、誰により大きな痛みを与えるのか選別(政府は「真に手を差し伸べるべき方を見つける」と表現)しようと考えたのです。あなたは多額の医療費を使う資格はもうありません、生活の保障を受ける限度を既に超えていますといった選別を行うために、様々な個人情報を正確・迅速に集約する道具、それがマイナンバーなのです。
 一方、企業も販促やリスク回避のために消費者の個人情報を集め選別をより効率的に行いたいと考えています。マイナンバーが一旦始まれば民間利用へと進むのは明らかです。
 マイナンバーによって、個人情報を集められ、政府や企業によって、一方的に選別される、そういった社会が目前に迫っているのです。
 今回は、マイナンバーの目的や動機、背景とともに、それがどのような社会をもたらすかについてお話をしたいと思います。

2015年3月20日 (金)

マイナンバー反対運動への問題提起

 2015年2月21日に東京で開催された「共通番号いらないネット 全国交流会」にて、マイナンバー反対運動への問題提起を行った際に作成したメモです。
 若干手を加えていますので、当日の話と多少異なる部分があります

1 共通番号制度が社会にもたらす効果(影響)は、推進者(政府、財界等)によってあらかじめ設定された意図の範囲で治まるとは限らない
1-1 推進者の誰かによって全てがコントロールできているわけではない
◎推進者には様々な立場があり、それぞれの思惑が複雑に交差している

◎一度始めると、推進者の意図(想定)を超えて暴走する恐れが強い
 → 日本の社会を根本的な変えてしまう可能性
   名前より番号、本人よりもデータが優先される社会

1-2 推進者の意図の範囲(例えば番号法の範囲、国会での政府答弁、国民への説明など)だけで批判しているのではダメ
◎想像力をたくましくすることが必要・・・想像力を超える可能性も
 ただし、私たちの日常の感覚・生活に則して

2 共通番号制度とは、いかなるシステムなのか
2-1 個人特定のシステム
◎一生に渡って、個人のトレース(追跡)が可能

2-2 プロファイリングのシステム
◎散らばった個人情報を集め仮想的に個人を再構築する
 ← 本人の与り知らないところで

◎ただし、再構築された個人≠本人 必ずしも正確ではない・・・人の多面性

2-3 分類・選別・等級化のシステム
◎価値のある人間なのか
 「真に手を差し伸べるべき者」は誰か・・・値踏みする
  ・・・社会保障や医療給付の制限、キャップ制度

2-4 排除のシステム
◎個人の「特定」は「排除」と表裏の関係
 番号を持っているのか否か・・・名簿に登載されているのか否か
  適法でない人の雇用や社会保障からの排除

3 共通番号制度は、生活・人生の様々な場面で作用し、影響を与える
3-1 社会保障
◎医療、健保、年金、介護、生活保護
 対象者である国民を様々な指標や基準で、分類・選別・排除する

3-2 税  雇用からの排除
◎番号を示さない、示せないものは雇用できない
 → 生存権を奪う ・・・社会保障からの排除も伴う

3-3 民間サービス
◎当面の「民間利用」 ・・・個人番号カードを身分証明書に
 ← プライバシーの侵害  例えば、年齢、性別、住所、名前

4 人びとの関心と反対運動
4-1 プライバシーとの関係
◎比較的イメージしやすい
 漏れる、悪用(犯罪)される ←現実社会が反映

◎しかし、合法と非合法が理解されていない

4-2 憲法や右傾化、戦争出来る国づくりとの関係
◎わかりやすい  例えば徴兵制
 ・・・しかし、徴兵制だけのためのシステムとしては大げさすぎる

◎一方、考えすぎ(陰謀論)の批判も
 「いくらなんぼ何でもそこまでせんやろ」

4-3 社会保障、税(雇用)との関係
◎残念ながら非常に弱い
 しかし、ここが推進者の意図の本丸 ← マイナンバーの出発点の一つは小泉・竹中

◎課題は、どう関心を引き起こし、運動を広げていくか
 例えば、中小企業の経営者、個人商店、従業員も個人番号関係事務実施者になる

5 しかし、現代社会において(広義の)監視は、もはや必要不可欠
◎ポイントカード、通勤・通学、ネット予約・通販、行政サービス、携帯電話等々

◎憲法、基本的人権擁護の面から、どう監視をコントロールしていくのか
 システム、制度、法 ←これらを担保するためには「国民の不断の関心」が必要不可欠

◎民主的コントロールの可能性の追求

2015年3月18日 (水)

マイナンバーに関する黒田のツイート(2015/3/15)

 3月15日に黒田充(当研究所代表)がTwitterwで行ったつぶやきを集めました。言葉足らずのところも多いので、できれば近いうちに文章にまとめたいと思います。

戸籍が全ての国民を記載した名簿としての性格を有している以上、こうなるのは必然の流れ。住民登録だけでは抜け落ちる国民が多数おり、全ての国民を網羅するという点では不十分
【戸籍にもマイナンバー適用 結婚・相続で謄本不要】日本経済新聞 http://s.nikkei.com/1xnfyfy

マイナンバー、まだ制度はスタートしていないのに利用拡大の話がどんどん湧き出てくる。これも安倍政権のなせる技。やれる内に何でもやってしまえ。

戸籍にリンクしないと、マイナンバーのシステムだけでは3親等以内の親族を見つけられませんからね。なんの話? 生活保護ですよ。
当然資産(預貯金、固定資産、自動車登録)にもリンクします

マイナンバーが戸籍とリンクするということは、マイナンバーのシステムが住基ではなく戸籍に基礎を置くようになる可能性が出て来たということ。もしそうなれば、市町村が住基で住民を管理する必要がなくなるかも。直接、国(天下りの機関?)が管理すれば済む。市町村の仕事は激変するぞ

次は死者の戸籍にもマイナンバーと言い出すかも。固定資産の所有名義が死者のままになっているケースは全国に山のようにあるだろう。この資産を国がマイナンバーのシステムで把握するには、死者にもマイナンバーをふる必要がある。

日本社会の妙なというか行き過ぎた几帳面さが、マイナンバーをとことんエスカレートさせるだろうなと思う。

従来の徴兵制は「兵」だけを選ぶことしか出来ないシステムだが、マイナンバーはもっと多様で効率的な「選択」を国家(一部の企業にも)に提供することになろう。「あなたは兵には向かないが、○○には向いているのでそちらを」的な何か。

だいたい兵隊を選ぶだけなら、こんなごたいそうなシステムなんて要らない。従来の住民基本台帳をもとに市町村に兵事係でも復活させてやらせれば簡単に実現できる。

昔、マイナンバーを推進する立場の先生と話をする機会があった。色々話した結論は「国を信用するかどうか」。「私は信用しないからどこまで行っても反対だ」と。まあ結局それだけの話。北欧がどうとこかいっても、日本の政府は、北欧の政府ではありませんから

以前、マイナンバーを推進する官僚と話をする機会があった。色々話した結論は「国を信用するかどうか」。私は「大阪で起きているような事態が国レベルで生じたとしも、それでも法がシステムがキチッと作られているから大丈夫だと言えますか」と。当たり前だが明確な回答はなかった。

マイナンバーによって、戸籍と住民登録が一本化される可能性が大きくなってきた。マイナンバーをもとに戸籍を整理し、あらたに国民登録簿(DB)を作る。親族関係の情報も居住関係の情報もこれに一元化する。生死、婚姻、転居等の際には、国民登録簿をネット経由で更新する。

マイナンバーは民間利用できないが、「なぜ使わせないのか、こんなに便利なのに」という声が制度がスタートすればすぐに強まるだろうな。国や財界から? いえいえ一番強く声を上げるのは何とかカードを日々使うことに慣らされている国民からでしょ。

政府が示している制度について、色々と議論することは必要だが、このシステムが社会をどう変えるのかを議論することも大切ではないか。私は主に後者の話をしている。だから例えば3月議会で市からマイナンバーの関連予算が出ているがどこに注意すれば良いかなどと考える上では役にたたないかもしれない

唇が動いているかどうか校長がチェックすることが大問題にならない国で、マイナンバーを導入するんだよ。そこんところよろしく。
ですよ、本当に。

マイナンバーを活用して住民登録と戸籍を一元化し国民登録簿を作ることが出来れば、住民の概念が事実上なくなるかも。住民がいなくなれば地方自治体は存在し得なくなり、二重行政ははれて解消されるわけだ。都構想ももはや関係ないし、「消滅可能性都市」の問題も解決

マイナンバーに関して、法や制度をどれだけきっちり作っても、政府が守らなければ意味ないわけです。憲法で懲りているはずですよ国民のみなさんは。
違います?

これからますます高齢化が進む中で人々の定住化が強まるだろう。そうなれば市町村が把握している個人情報を全国的な規模でネットワーク化する必要性はむしろ薄れるはずだ。しかし、これを企業が使いたいとなると話は変わってくる。マイナンバーを真に欲しているのは誰か考える必要があろう

戸籍の電算化が全国的に進んでいるが、戸籍簿の各レコードには法務省の指導の下、なんらかの統一基準に基づく管理番号(コード)をつけてあるのかな。もし既に番号が付いているのなら、これとマイナンバーの突合表を中間サーバーに儲けることになるな。

てんでバラバラに進めた住基の電算化とは違い、戸籍の電算化は法務省の強い指導の下に行われてきたと聞く。だからネットワーク化は住基ほどたいへんではないとも聞く。どこまで本当かはわからないが。統一的なコードは既にふられているのだろうか? どなたか知りませんか?

データベースにコードは付きもの。住基も電算化に際し住民にコード(仮に住民番号)を付けた。住民番号は各市町村が自由に付けたので、住民票コードとの突合表は市町村が持つことになった。もし戸籍の電算化に際し統一的な付番ルールが採用されているなら、突合表は中間サーバーで持てるのではないか

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